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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『もののけ姫』徹底解説:山犬モロの秘密とは?」

2018/11/14 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/11/14

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/10/28配信「新発見『もののけ姫』サンとエボシ姫は親子だった?!シシ神の正体は?」の内容をご紹介します。
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2018/10/28の内容一覧


山犬モロの秘密

 次は「モロの秘密」という話ですね。
(パネルを見せる)
 これは、映画が始まってから1時間をちょっと越えた辺りのシーンなんですけど。傷を負ったアシタカが、モロ達のねぐらで目覚め、外に出る。すると、ねぐらの上に座っていたモロから話しかけられるというシーンです。
 このシーンで、モロ達の住処が出てくるんですけど。単なる山犬が住んでいるにしては、ちょっと不思議な感じの場所なんですよね。

(パネルを指しながら)
 これは、起きたアシタカがモロ達のねぐらの中に立っている様子です。
 このモロのねぐらは、すべてが岩で出来ています。それも、床と天井と壁の部分が、それぞれ巨大な1枚岩で出来ているんです。床も天井も水平なんですね。その上、横の壁もほぼ同じ角度に傾いています。
(パネルを指して)
 こっちは、その翌朝にアシタカが旅立つ場面です。ここで、この不思議な岩で作られたねぐらの全貌が見えます。
 見て分かる通り、完全に1枚板の水平な岩が上に乗っていて、それを両側の岩が支えている。床の部分も張り出して、ベランダ状になっているんですよね。
 これと同じ形のものを、どこかで見た気がするんです。

 その答えは、大阪にあります。大阪府の交野市にある磐船神社の「天岩戸」です。
(パネルを見せる)
 これが、まあ、そっくりの構造をしているんですよ。

 だからといって、「別にサン達が暮らしていたのは大阪だ!」というつもりはないんですよ。
 そうではなく、これは「巨石文明の遺跡」なんですね。

 アシタカが、もともと暮らしていた村も、先週に話した通り、青森の方でもほんのちょっとしか遺跡が残っていないような「巨石信仰」のある村でした。
 縄文人達は、こういった巨大な岩みたいなものを、御神体として神様のように祀っていたと言われています。つまり、アシタカ達の集落というのは、そういった巨石文明の末裔なんですね。
 それに対して、モロがねぐらにしている場所はというと。劇中では何も解説してくれていないんですけど、こんなに水平な床や天井、まったく同じサイズの岩で両側を支えていて、その上に水平な岩が乗ってるような洞窟なんて、自然状態で生まれるはずがないんです。
 これはもう、普通に考えたら巨石文明の神殿というか、神様の座である「石座」(いわくら)みたいなものなんですね。

(パネルを指して)
 これは、大阪府交野市の磐船神社にある天岩戸なんですけど。
 イギリスにある「ストーンヘンジ」も、大体、これと同じです。垂直もしくは同じ角度に立てた岩の上に、水平に岩の板を乗せることによって、神様の座を作ろうとしていたんですよ。
 これが巨石文明の特徴なんです。

 つまり、どういうことかというと、モロのねぐらというのは古代人の神殿なんですよね。
 古代の巨石文明の時代には日本には「本当の神様」が住んでいたんです。モロ達のような一族というのは、巨大な獣であり、おまけに人の言葉を話すことができたので、古代人達から崇められていた。つまり、本当の神様だったわけです。
 なので、神殿を作ってもらって、そこで祀られていたんです。
 しかし、今や、そんなモロの神殿には、誰もお詣りに来ない。これこそが「森が死んでいく」という言葉の意味なんですよ。

 にも関わらず、モロは今でもここに住んでいるんです。
 なぜかというと、モロは「犬の神様」だからです。犬というのは、人類にとって、一番古く、一番忠実な友なんですよ。そんな犬の神様だから、もう誰も訪れなくなった神殿に、今もなお、誰かが帰ってくるのを待ちながら、ずっと住み続けてくれているんです。
 これがわかった時、僕「うわーっ!」って思って、もうマジで、金曜ロードショーを見ながら涙が出そうになったんですけど。

 今でも、人々から忘れられた神殿に住んでいてくれるくらいなんだから、そんなモロが人間を嫌いなはずがないんですよ。
 だから、赤ん坊のサンを育てたんです。捨てられていた人間の赤ん坊を、わざわざ自分の娘として育てるくらいなんだから、むしろ、人間が好きなはずなんです。
 彼女は「人間の行為」が憎いだけなんですよ。サンを捨てたエボシが許せないだけなんですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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