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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「アメリカ人にとって「よい戦争」だった第二次世界大戦と、エノラ・ゲイ」

2018/08/18 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/08/18

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2014/11/02配信「原爆投下のエノラゲイに揺れるアメリカと『その問題、経済学で解決できます。』」の内容をご紹介します。
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2014/11/02の内容一覧

エノラ・ゲイと『よい戦争』

 もともとニューヨークだけ行くつもりだったのが、どうしてもスミソニアン博物館に行きたいというふうに思ったので現地でホテル、キャンセルしてワシントンの切符とってというふうなことをやって、いやぁーやっぱり今ね、スマホあるからすごい楽だよ。

(中略)

 で、やっぱりね、エノラ・ゲイが見たかったんだよね。
 エノラ・ゲイっていうのは、日本に原爆を落とした、広島に原爆を落とした飛行機で、もともとこれはもう15年くらい前になるのかな、スミソニアン博物館、いわゆるワシントンのホワイトハウスの近くにあるスミソニアン博物館の本館に置かれる予定だったんだよね。
 ちゃんとこれまでモスボール保存というのがされてて、我々を平和に導いてくれた、平和の象徴としての飛行機としてエノラ・ゲイをスミソニアン博物館に入れようとしてたんだ。
 その時にはエノラ・ゲイのパイロットとか、原爆を落とすと判断した当の将軍とかの功績をたたえるプレートまで用意してたんだ。
 当たり前だけども、在米日系人、つまり日本人の二世三世たちとか、あと日本人たちが猛烈に抗議したわけだよね。
 「ちょっと、いい加減にしろ」と。「エノラ・ゲイによって、広島にどれくらいの被害があったのか、わかってんのか」「だいたい、原子爆弾の投下というのは人道的に問題があるじゃねえか」というふうなことを言ったんだけども、ここがアメリカの庶民感覚との温度差がすごいんだよな。
 っていうのは、アメリカって、原子爆弾の投下に関しては、なんだろうな、もちろん、一部の有識者とか意識高い人はべつなんだけども、庶民感覚でいえば全然悪いことと思ってないんだよね、それは日本人差別でも何でもなくて、「原爆落とさなければ、日本人は徹底的に戦ったに違いない」って、その恐怖心があるわけだよ。

 ていうのは、最後はやっぱりカミカゼ・アタック、いわゆる特攻までして、自分の命を犠牲にして突っ込んでくる日本人に対してすごい恐怖心があったと。対ドイツ、対イタリア戦、第2次世界大戦でいうと、それは早々と降伏してくれたし、たとえばヒトラーも自分で自殺までして戦争が終わったわけじゃん。
 でも、日本はまったく、ドイツよりもひどい状況になってるのに、いくら都市部を爆撃しても、東京を空襲しても、大阪を空襲しても、いわゆるこっちのほうが戦争犯罪なんだけども、一般市民に対して無差別爆撃やっても、まったく降伏してくれないと。こいつら、一体どうなってるんだと。ひょっとして、俺らと刺し違えるつもりなのかと、恐怖心を抱いていたところに、原子爆弾を投下して、その原子爆弾の投下によって軍部と天皇が戦争をやめると決心して、結局降伏して戦争の幕が下りたわけだ。
 戦争が終わったというのは、アメリカの本土ではものすごくハッピーなことなんだ。で、万歳になるんだ。
 当然、アメリカに若い軍人たちが帰ってくる、いわゆる戦争に行った、わたしたちの兄、弟、息子、恋人が帰ってくるということで「よくやった、よくやった」と。ついに世界をファシストの手から護った。それはどうやって護られたのかというと、アトミック・ボム、原爆のおかげだっていうことで原爆大ブームになったんだ。
 1945年のアメリカで。
 アトミック・カクテルというのが作られて、戦争を終わらせてくれた原子爆弾に感謝、アトミック・カクテルというのをみんなで飲んで、アトミック・ダンスが流行って、その結果、膨大な数の軍人がアメリカに帰ってきて、やっと待たせていた故郷の恋人と結婚して、子どもがいっぱいできた、それがアトミック・ベビーと呼ばれている世代。
 アメリカには、今そのアトミックベビーと呼ばれている世代の人たちが、いっぱいまだいるんだよね。
 だから、そういう人たちにとっては原爆って、日本人の僕らからしたら「何で!」って思うんだけども、平和の象徴であって、正義の象徴でもあって、なによりも自分たちがこの世の中に生まれてきた根拠の一つでもある。

 アメリカの歴史の肯定的な面、いわゆるその『よい戦争』(The Goog War)っていう、スタッズ・ターケル(Studs Terkel)が書いたものすごい分厚いドキュメンタリーの本があるんだけども、『よい戦争』という本があって、これが第2次大戦の時のナチス・ドイツとか日本人と戦った前線の兵隊とか、当時、軍隊に勤めてた人とか、銃後でアメリカを支えた、戦争を終わるのを待ってたお母さんとか娘たちの膨大なインタビュー集なんだけども、それをスタッズ・ターケルがピュリッツァ賞を受賞した作品なんだけども、ノンフィクションとしてまとめるときに『よい戦争』、グッド・ウォーってタイトルつけたんだ。
 それはなんでかっていうと、アメリカ人にとって結局、いい戦争と言えるのは第二次世界大戦だけだったという考えなんだよね。
 その前の第一次世界大戦っていうのは結局、そのあとでヨーロッパを荒廃させて、ナチスドイツを生んでしまった。
 そのもう1つ前になってくる南北戦争っていうのは、アメリカにとって国を2つに分ける戦いで、やっぱり悲劇だったという印象がどこかにあるんだよ。
 独立戦争は別なんだけどさ。
 だから、アメリカ人にとっていい戦争、グッド・ウォーというのは第二次大戦を示す。
 それくらい、ベトナム戦争とかその他の戦争に対しては、いつもいつもなんか後ろめたいものを感じてるし、僕らが子どもの頃に見てたインディアンから白人がアメリカという土地を譲り受けた、もしくは奪い取ってアメリカを建国してきたというのも、もう当然のことながら、そんなこと、はなから信じてるアメリカ人なんて一人もいないわけだよね。
 なので、グッド・ウォーを最後、完全に勝利に導いた、いわゆる『ドラゴンボール』でいうと元気玉みたいなもんだよな。
 そういうものの象徴として、原爆がある。

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