岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/01/29
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/01/21配信「史実として語る『ゼルダの伝説』と,違法マンガアップロードサイト問題」の内容をご紹介します。
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2018/01/21の内容一覧
- 今回は「ブラゼルダ」
- 海外ドラマ『ブラックミラー』の第4シーズンがすごい
- 『ゼルダの伝説』をプレイする気のない人へ
- ハテノ砦の奇跡
- 100年前に廃れた乗馬練習場
- 京都の地理を使ったゼルダの世界
- 悲劇のアッカレ砦攻防戦
- なぜ最後の1人になるまで戦ったのか
- 『ゼルダ』の弱点
- Netflixの『DEVILMAN CryBaby』
- 大御所声優の登場が楽しい『ポプテピピック』
- マンガ無料サイトを語る
- 来週はお便り特集
歴史物語としての『ゼルダの伝説』
今回の『ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ワイルド』の一番面白いところはどこかというと、100年前の大戦争なんですよね。
100年前の大戦争では、ゼルダ姫を中心に、超絶的な剣士であるリンクや、巨大ロボットを扱う4人の英雄たちなど、とりあえず正義の味方も全部揃っていた。おまけに、悪の側にも、復活したガノンとか、敵に乗っ取られてしまった巨大ロボットとか、殺人マシーンであるガーディアンなんかが肩を並べている。
このガーディアンというのは、まあ、メチャクチャデカくて、目からビームが出たりと、すごく強い。これは「巨神兵」だと思ってください。そんな巨神兵が何千何万とワラワラと現れて、人類を襲って、文明世界を破壊していくんです。
この100年前の大戦争は、絵的に一番面白くなるはずなんですけども。ゲームの中では「昔語り」でしか出てこないんですよ。つまり、『ナウシカ』でやっていたような「腐海で巨神兵が復活した! でも、王蟲が向こうからやってくる! さあ、どうなるのか!?」みたいな描写は、100年前、つまり、ゲームの中では描かれない所で、すべて終わってしまっているんです。
「なんでこの場面を描かないのか!?」って、ついつい思っちゃうんですけど、実は、これこそが『ゼルダ』の優れている所なんです。
古今東西、いろんなゲームがあるし、「ビジュアルがすごいゲーム」というのもいっぱいあるんです。だけど、それらの多くは、すごい映像を見せようとしちゃってるんですね。
そして、すごい映像を見せようとする限り、つまり「段取りに沿って絵を見せて行くことで観客の感情を揺さぶる」という仕組みで勝負する限りは、映画には敵いっこないんですよ。すごい映像を見せようとすればするほど「ハリウッド映画の出来損ないみたいなゲーム」になってしまうと僕は思うんです。
その点、今回の『ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ワイルド』では、この映像的にすごく盛り上がることになるはずのシーンを、「見せたいところはそこじゃない」と、すべて切り捨てているんです。
では、今回の『ゼルダ』で何をしているのかというと、100年前の大戦争という一番すごい出来事を、あくまでも過去の出来事として置いておき、「そういったすべての記憶を失ってしまった主人公のリンク」というのを出発点にしているんです。
僕は、このやり方ことが「体験を伝えるメディア」であるゲームとしては、最もふさわしいやり方だと思うんですね。
映画というのは映像を伝えるメディアです。それに対して、ゲームというのは体験を伝えるメディアなんです。こういった特殊な関係性があるからこそ、このゲームを体験することを通じて、リンクが少しずつ過去の出来事を思い出していくように、プレイヤーはこの世界を知っていく。そして、その結果、100年前のものすごい出来事をありありと感じることが出来るようになるんです。
このゲームのラストで、ヒロインであるゼルダ姫との会話があるんですけど、その時の彼女の台詞が、とんでもなくすごいんです。
なぜかというと、ゲームをクリアするまでの体験を通じて、彼女のことを、あたかも生身の人間であるかのように感じるからなんです。ゲームの中の世界で、走って、歩いて、ご飯を作って、矢を射って、野生の獣を獲って、また食って、悪いヤツと戦って……というふうにやっていくうちに、最初は単なるゲームのキャラだと思っていたはずのゼルダ姫に対して、「本当に会えた!」という気持ちが生まれるんですよ。
このゲームは「体験を伝える」ということに成功しているんです。だからこそ、ゼルダ姫との本当に何気ない最後のやり取りが、メチャクチャ重く、心に響いてくるんです。ものすごく感動しますよ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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