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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「爆発こそ、庵野秀明の作家性だ」

2017/10/21 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/21

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/05/22配信「100倍『シン・ゴジラ』が面白くなる、クリエイター・庵野秀明大解剖」の内容をご紹介します。
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2016/05/22の内容一覧

「爆発」で「世界を実感する」庵野秀明作品

 今回『シン・ゴジラ』を作る庵野秀明というのはそもそもどんなクリエイターなのかというのをちょっと話してみたいと思います。
 僕、今回庵野秀明論をやろうと思った理由は、『ガルムウォーズ』の押井守とか宮崎駿みたいな、明らかにわかる思想性みたいなものが庵野秀明にわかりにくいんですね。
 押井守、わかるじゃないですか。押井守、どの映画撮ってみても「なにが本当か嘘か」とか、すごくわかりやすい押井守らしさがある。
 映像自体を見たら、押井守というのは萌えキャラが嫌いで、目の小さいキャラクターを出すとか。あとは色彩がちょっとエキセントリックだという絵的な特徴もあるんですけども。
 何よりも押井守の特徴は、長いセリフであったり、社会主義の学生さんたちの論争みたいな言葉遣いとかですね、が、すごくあるし。
 その中で「虚構とは何か?」「現実とは何か?」「映画とは何か?」というのを常にテーマにするということで、すごいわかりやすい作家。

 宮崎駿も、『風立ちぬ』の頃ぐらいになってくると、かなり複雑なんですけども、初期の頃の宮崎駿っていうのは、いわゆる本人がいくら否定しようとも、エコロジーであったり、機械文明批判であったり。
 それでありながら、戦車とか兵器が大好きとか、空を飛ぶシーンが大好きみたいなもので。
 ハッキリと作家性とかテーマがわかりやすいんですね。

 それに対して庵野秀明っていうのは、何が庵野秀明なのか? 何が庵野秀明らしいのか? っていうが、凄くわかりにくいんですよ。
 たぶん、僕が似てると思うのは、ティム・バートンとかタランティーノなんですね。
 タランティーノも、何がタランティーノらしいのか、よくわからないんですよ。
 唯一わかるのは、タランティーのと言うと、「東映のヤクザ映画のファンだろ」とか、もしくは「ソニー千葉が大好きなんだよね」と。
 庵野秀明と同じなんですね。
 「ウルトラマンが好きなんだろ」「仮面ライダーが好きなんだろ」「だから、それのパロディーをやるんだよな」ぐらいの解釈で、みんな終わってる。

 で、タランティーノが何であんな映画ばっかりを作るのかは、よくわからない。と言うよりは、タランティーノの映画に一貫性があるのかないのかすら、わからないと。
 で、ティム・バートンも、今コメントに流れた「オタクだから」とか、「元ビデオ店の店員だから」とか。
 そうなんですよ。
 みんな、モチーフはわかるんですよ。
 つまり、タランティーノが出す素材はわかるんですね。
 庵野秀明も「オタクだから」って考えたら、庵野秀明の出す素材はわかるんだけど、「何でそれを出すのか?」っていう、さっき話した宮崎駿とか押井守のような作家性というのが、よく見えないんですよね。
 作家性が見えないからないのかというと、そうじゃなくて、『エヴァンゲリオン』とかを見たらわかるとおり、作家性はメチャメチャあるのに、よくわからないという作家だと、僕は思います。

(中略)

 昔、庵野くんが話していたのが、子供の頃に新幹線に始めて乗せてもらった時に、お父さんに、「お前が肉が嫌いなのはわかったけども、それでは一人前の男にはなれない」と。
 で、「ここにプリンがある」と。
 新幹線の、いわゆる食堂車のプリンですね。
 だから当時でも、たぶん300円以上した、高級プリンです。
 昭和40年代が300円のプリンだから高級ですよね。
 それを出して来て、「肉を一口でも食べたら、プリンをやる」と言われたと。
 庵野くんには、本当に「肉を食べるなんて、人間のすることじゃない」って、オレは真顔で何度も言われたことがあるんですけども。
 好き嫌いなのか、思想なのかわからない。
 まさにナディアが言ってることと同じなんですけど、好き嫌いか、思想なのか、わからない理由によって、ずっと肉を食うのを否定してた男が、ついにプリンという誘惑に負けて、一口だけ食べてしまって、結局、食べさせてもらったプリンも含めて、全部、吐き出してしまうことになってしまった。
 その時に、「何であの時に、僕は肉を食べたんでしょう」って。
 で、「何てダメな俺」っていうのを、延々と大学生になって語ってて、僕は僕で「ちょっと凄いな」って思ったんですけども、横で聞いている赤井くんとか山賀くんは、大爆笑してるんですよね(笑)。
 ストイックというか、自分が否定すると決めたものは、何が何でも取り入れないっていうモノがあるなと思ったんですね。

 たぶん、宮崎さんとか押井さんと比べた時の差っていうのは、このストイックさですか。
 一度否定すると決めたものは、何が何でも取り入れないっていう頑なさがあるんですよね。
 それは、自分の得になるとわかっていても、どうしても取り入れられないし、結局それを入れたつもりでも、吐き出してしまうっていうのが、「そういえば庵野の映画のモチーフとかストーリーの中に、ポコポコそういうのが出てくるよな」と、ようやく最近は考え方が繋がるようになってきたんですね。
 僕も、本当に最近まで、庵野秀明の作家性というのが、よくわからない一人だったんですけど、特徴を、まとめてみました。

 まずは、爆発の庵野です。
 『DAICON3 オープニングアニメ』というのがあります。
 庵野秀明がおそらくアニメ業界で始めて名が知られたのは、『アオイホノオ』の中でも出てくる、DAICON3のオープニングアニメのパワードスーツですね。
 人間が着る、アイアンマンの強化スーツみたいなもんですね。
 ものすごく線が多くて、当時のアニメでは絶対に動かせないといわれた。そういう物を、手で簡単に描いて動かしてしまうと。
 後は爆発のシーンがある。
 その時に庵野秀明の作家性というのが始まったんですね。
 庵野秀明というのは、頭だけの作家性じゃなくて、手にも作家性がある人間なんですね。描いて動かすことが、彼の作家性でもあるんですよ。
 パワードスーツとか、そういう複雑なものを、それまでみんなが避けていたものを動かすというのは、無いものを有るように見せるってことなんですね。
 特撮で、まだそんな物を作れるはずがないのを、アニメーションで動かせないようなものを動かした瞬間に、この世の中にないものを、有るように、存在するように見せかけることができる。
 これがその庵野秀明の作家性の、まず第一ポイントなんですね。
 それの象徴が、僕は、爆発だと思うんですよ。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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