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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「映画『ドリーム』が100倍楽しめる宇宙講座」

2017/10/02 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/02

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/09/24配信「映画『ドリーム』が100倍楽しめる宇宙講座」の内容をご紹介します。
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2017/09/24の内容一覧

マーキュリー計画を支えた3人の黒人女性を描いた映画『ドリーム』

 ではですね、映画『ドリーム』の話から始めます。
 アメリカ初の有人宇宙飛行計画である「マーキュリー計画」を支えた3人の黒人女性の話です。
 左からメアリー・ジャクソン、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ヴォーン。この3人の実話を元にした作品です。
 ただ、「実話を元にした」と言ってもですね、原作が本当に長いノンフィクションなんですね。「昔、知り合いがNASAで働いていた」という話を聞いた黒人のある女の人が、「え? 本当にそんなことあったの?」と思って調べたら、いくらでも知り合いの話が出てきた、というところから始まった、アメリカの歴史からはほとんど無視されてきた「隠れた存在」であった女性たちの話です。
 実は「コンピューター」(計算手)と呼ばれる、昔の手回し式の計算機とか、暗算を使って、ロケットの軌道計算のような、航空学にとっても宇宙工学にとってもすごく大事な計算を、女性が支えていたんですね。
 当時の女性は、数学で博士号を取っても、一番いい就職先は学校の先生止まりだったんです。そんな中、バージニア州ラングレーという土地に呼ばれて、NASAの秘密計画に参加するようになったという、一説によると5千人とも7千人とも言われる膨大な黒人女性の数学者たちの話というのがベースなんですね。
 お話のクライマックスとしては、ジョン・グレンというアメリカでは英雄になっているほどの大変有名な宇宙飛行士が、地球を周回して、アメリカで最初の宇宙飛行士になる手助けをしたというお話になっています。
 これが、映画『ドリーム』の大まかな内容ですね。

(中略)

 では、そんな3人の女の人の中から、右端に立っている、ちょっとぽっちゃりしたドロシー・ヴォーンの場合から話を始めます。
 ドロシー・ヴォーンは、実はこの原作本の主役なんですね。
 実際に、第2次大戦中だった1943年から、このぽっちゃりお姉さんのドロシーは、ラングレー研究所に勤務していました。
 この3人ともそうなんですけど、とにかく子供の頃から数学の天才で、学校なんかも4年飛ばし5年飛ばしの飛び級なんか当たり前の超天才ばっかりなんですね。ところが、数学の天才といっても、黒人で女性だから、どこにも勤めるところがなくて、学校の先生をやっていました。
 そんな中、新聞広告で「ラングレー研究所では、とにかく算数のできる人を募集しています!」っていう広告がしょっちゅう載っていたんですって。
 そう言われても、ラングレー研究所がどこにあるかもわからない。調べてみたらバージニア州だと。ドロシーにしてみたら、家からえらい離れたところだから、そこに勤めるとなると3人の子供を家に置いて、1人っきりで行くしかない。

(中略)

 ラングレー研究所で算数ができる人を募集している。「自分の力を生かしたい」と思った彼女がそこへ行くと、何をやっていたかというと、これから日本を爆撃するための「B-29」という秘密の爆撃機を作っていたんですね。……また出てきた。このゼミではよく出てきますね、B-29(笑)。
 B-29っていうのは、当時はその形も秘密だったんですけども、これをラングレーにある、超高速の風洞の中に入れて実験することになっていました。
 だけど、その前の段階では、「空気抵抗がどうなっているのか?」、「揚力がどれくらいになるのか?」、「本当にこいつが飛べるのか?」、「こいつはどれくらいの重さの爆弾を積めるのか?」ということを計算で出すしかないんですね。

 さて、ラングレーに行ってみてわかったんですけども、このドロシーは、当時のラングレーの男性女性をすべて含めた中で、最も計算能力が高かったんですね。なので、あっという間に「ウェスト・コンピューター」(西計算手)というビルの中でトップの役職になってしまいます。
 まあ、このドロシーが頑張ったおかげで、日本は大変な目にあったんですけれども。

(中略)

 そんな人生でありながら、彼女にも不安はあったんですね。
 というのも、1940年代に、すでに「ベル研究所」という、アメリカの電話を発明した研究所が、ラングレーに猛烈な売り込みを掛けて、ついに電子計算機の売り込みに成功するからなんですね。
 ドロシーは、それを見てビックリします。

(中略)

 入力するのに手間が掛かる。それをまた書き出すのにも手間が掛かる。ただし、計算だけはやけに速い。「これ、私、ヤバいぞ」と。
 ドロシーは、西区画の計算手のリーダーだったんですけど、この「西」っていうのは「黒人」っていう意味なんですね。東区画っていうのは白人たちのことなんです。
 「今は西のリーダーというポジションだといっても、このままでは安心できない」ということで、ドロシーは、映画の中でも描かれているんですが、1冊の本を図書館から盗みます。なぜ盗んだのかというと、当時の図書館には「白人しか入れないコーナー」があったからなんですね。

 彼女が手にした本には『FORTRAN(フォートラン)』というタイトルが書いてあります。
 FORTRANというのは何かというと、「フォーミュラ・トランスレーション」の略ですね。フォーミュラというのは数字、数列のことです。つまり、「数式翻訳」という意味です。
 FORTRANは「COBOL」(コボル)と同じく、「世界初の」と言ってもいいくらいのコンピューター言語ですね。機械語しかなかったところに、FORTRANという様式であれば、いろんな形式のコンピューターであっても扱えるという、大変進んだ言語です。
 この本を図書館で、見つけるんですけども、黒人が入ってはいけないエリアにあったので、ドロシーは子供と一緒に行っているフリをして、この本を盗みます。いつも「間違ったことをしてはいけないよ」と言い聞かせている子供から、「ママ、そんなことしていいの? 盗んだの?」って聞かれた時に、「ママは税金を払ってる。これは税金で買った本よ。あの図書館の方が間違ってるわ!」と言いながら(笑)。

 そうやって、FORTRANの本を図書館から盗むんですが、盗むだけならともかく、同僚に教え始めるんですね。
 「私たちがやっている仕事は、もうここから先細りだ!」ということで、西の建物に入っている黒人女性を全員集めて、FORTRAN教室を開いちゃうんですよ。
 「私たちの何倍もお給料を貰っている、小奇麗なハイヒールを履いて真珠のネックレスをつけている白人のお姉さんたちはまだ気が付いていないけれども、これからは絶対にコンピューターの時代だから、みんなで勉強しましょう!」と言って、残業しているフリをして、みんなでFORTRANを学び出すんですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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