岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/10/13

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/09/17配信「【コヴェナント公開記念】本気でまるごと『エイリアン』大特集!!」の内容をご紹介します。
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2017/09/17の内容一覧

もう1人の完璧主義者、ギーガーの変態伝説

 そんなリドリー・スコット監督の外に、もう一人、完璧主義者がいましたよね。そう。エイリアンをデザインしたH・R・ギーガーです。

 まあ、完璧主義でもあるんですけど、それ以前に、やっぱり人格的にもすごい問題があってですね。
 例えば、『エイリアン』にはエイリアンが残した謎の宇宙船が乗り込むシーンがあるんですよ。宇宙船に穴が開いてて、そこから宇宙服を着たクルーが乗り込むんですけども。このセットがとてつもなくデカいんですよ。高さが12mで横幅が20mのセットを作ったんですけども。
 ギーガーは「このセットは「本物の骨」で作らなければいけない!」と言って、イギリスの食品工場に連絡して、動物の巨大な骨とか、いろんな部品を集めて作ったもんから、スタジオ中が、もう、すごいニオイなんですね。
 そんな中、ギーガーだけが真っ黒な服で、マスクも付けずに、喜々として作業をしている。セットの上に「もっと臭い液」とかを塗ってるんですね(笑)。
 だから、もう、みんな嫌がって嫌がって。
 「フェイスハガー」という、エイリアンの卵から出てくる、顔にベタッとくっつくモンスターがいるんですよ。これのデザインをした時にも、とりあえずイギリスのスタッフが、「こんな気の狂ったデザイン嫌だ! これはもう本当に悪夢じゃないか! デーモンじゃないか!」と言い出しました。
 そんな嫌がるスタッフを見て、ギーガーは「それができないって言うんだったら、俺がやる俺がやる」と言って、すごく人数が多いと言うのに、スタッフの仕事を次から次へと奪っていきます。

 そういう時、彼は一切、会話をしないんですね。あらゆる異論を認めない。
 「スペースジョッキー」と呼ばれる巨大な宇宙人の死体とか、エイリアン本体のデザインも、ギーガー本人が手を抜かずに作ったから大混乱になったんですよね。

(パネルを見せる。喜々としてエイリアンのセットを作るギーガーの写真)

 これですね。真っ黒ずくめの服を着て、エイリアンが産まれる卵のセットに、自らドロドロのラテックスを塗ってるギーガーなんですけども(笑)。
 この「エイリアンが産まれる卵」も、最初にギーガーがデザインしたのは、まるっきり女性器の形だったんですね。横にパカッと開いて、もう、あらゆるディテールがそっくりで。上になんかポッチがついてるくらいそっくりだったんですけども。
 これにもスタッフは大反対。そして、流石のリドリー・スコットも、「いや、ギーガー、これはないよ」というふうに言い出して、仕方なく、この4つに開く形にしたんですね。
 ただ、まあ、こっちの新たなデザインは、すごい良い判断だったみたいです。

 エイリアンのデザインも大問題になりました。
 最初は「エイリアンのデザインは、最初に見た絵のデザインのまんまで行こう!」というふうに言ってたんですけども、途中でリドリー・スコット監督が、「この眼が見える顔が嫌だ」って言ったんですね。そこで、「この部分にカバーをかぶせましょう」ということになりました。

 結局、完成版はこういうデザインになったんですね。

(エイリアンの巨大なフィギュアを取り出す)

 これ、よくよく頭のカバーを外してみると、ちゃんと人間の頭がい骨が頭の中に入っているとう、すごい秀逸なデザインになってます。
 「この人間の頭がい骨が見えちゃうと、なんか変な意味になっちゃう」ということで、半透明のカバーを被せて見えなくしてるんですね。
 だから、エイリアンって、目がないように見えて、実はこのカバーの奥に頭がい骨があるという、メチャクチャ格好いいデザインになってるんですね。

(パネルを見せる)

 これは、劇中でダラスっていう船長が通風孔の中で襲われるシーンなんですけども。エイリアンが襲ってきて、初めてこの怪物の顔が見えるというシーンです。
 この映像の1ショットの中でも、かすかに影のような形で、目みたいなものがちょっと入っています。こういうところが、エイリアンの怖さというのを出しているんですね。

 ギーガーは、ここでも「本物の頭がい骨」を入れることにこだわって……エイリアンの、その、映画の中のセットですよ? 着ぐるみですよ? それに、わざわざインドから取り寄せた本物の人間の頭がい骨を入れました。
 そうやって、彼がニヤニヤしていると、やっぱりスタッフは気持ち悪がるという。そんなことばっかりが続いてました(笑)。

 こういったエイリアンのデザインを、実はリドリー・スコットは、出演する役者たちに徹底的に隠してたんですね。
 「見せて」と言われても見せなかった。「俺ら、この映画に出るし、演技プランに必要だから、見せて」と言われても、リドリー・スコット監督は、「いや、初めて「あれ」を見た時の驚きっていうのをカメラで撮りたいから、見せない」っていうふうに言って、スタッフにも「絶対に見せちゃダメ」と厳命したんですね。

 だから、リハーサルの時は、みんな「怪物がいるフリ」をして演技をするんだけど、本番まで、どんな形のものか一切わからない。そして、本番でちょっと見えても、またすぐに隠しちゃうんですよ。
 劇中にて、最初に出てくるエイリアンが、ケインというノストロモ号の乗組員の胸の中からガバッて出てくる、いわゆる「チェストバスター」と呼ばれるものですね。胸を破壊して、中からエイリアンが産まれてきて、ガーッと外に逃げるシーンというのがあるんです。

(パネルを見せる。人間の胸部から怪物が飛び出してくる瞬間の写真)

 これですね。「血まみれのケインの胸からチェストバスターが出てきて、口を開ける」という、すごい印象的なシーンがあるんですけども。
 このシーンを撮影したときも、もう本当に、俳優のみんなは何が起きるかを知らないんですね。ただ「ケインの胸からモンスターが出てきて、みんなで押さえつける。しかし、モンスターが出てきて逃げる」というあらすじだけを聞いていて、その段取りでリハーサルを何回も何回もやってきたんです。
 だけど、いざ、そのシーンの撮影がはじまったら……とりあえず、みんなリハーサルでどういう動きをするかは確認してるんですね。でも、ケインの胸からあんなに血が出るなんて誰も聞いてないんですよ。ケイン役を演じている人もビックリするくらい、ものすごい量の血のりが胸からバーッと出て、まわりの人間の顔に飛び散って。
 ヴェロニカ・カートライトっていう役者なんか、顔に血が掛かって、マジで「ギャアー!」って言ってるんですけど、リドリー・スコット監督は、「よーし! みんなそのまま!」って言って、8台のカメラを使ってですね、全員の顔を舐めるように撮ってるんですね。

 もう、そのシーンでは、リハーサルの時点ではなかったんですけど、全員がテーブルの上のケインから、思わず一歩引いちゃったんですよ。一歩引いて、また近づくから、演技にめちゃくちゃリアリティがあるんですね。
 ケインの胸から出てきたチェスとバスターを見るのは、みんな初めてだから、「えー!?」って顔で目を剥いて注視する人や、逆に怖いから目を背けて見ないようにするという、「役者さんの演技」じゃなくて、「素のリアクションそのまんま」になってるんですよ。

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