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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『紅の豚』で宮崎駿は自分を否定し、そして開き直った」

2017/09/12 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/12

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/07/10配信「宮崎駿~アニメで闘争を続けた生涯・『風の谷のナウシカ』SP」の内容をご紹介します。
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2016/07/10の内容一覧

自己否定と開き直りの『紅の豚』

 『紅の豚』は最初に言いましたとおり、『ルパン三世カリオストロの城』のリメイクというか、決着をつけるアニメと僕は受け取っているんですね。
 つまり、国を捨て、家族を捨てて、仲間を捨ててでも、「自由」というものが欲しかったんです。
 気持ちは、よくわかります。
 自由になった泥棒の行き着く先は何か。
 ポルコ・ロッソが得た自由っていうのは、かつての仲間を見放して、自分は気ままにアドリア海で暮らしてる。本当は「空賊」といったら、自分と同じようにもともとは第一次大戦で空を飛んでいた仲間たちなんですね。
 あのアニメのなかでは描かれていないんですけど、あの当時の空を飛ぶ飛行機に乗るパイロットっていうのは、絶対に全員、第一次大戦のパイロットなんです。
 イタリアのため、祖国のために空を飛んだ男たちが、第一次大戦が終わった瞬間に、イタリア空軍もフランス空軍もアメリカ空軍も、「べつにもう、飛行気乗りなんかいらないよ。だって戦争なんて終わって、もうないんだから」ということで、全員クビにしちゃった。
 なので、みんな職を失った。
 運がいいヤツは定期便のパイロットとか、あとは郵便飛行とか、サーカスの曲芸飛行みたいな職にありついたんですけど、それも、ほんの数パーセント。残りのほとんどの人たちは、食うに困っていたので、空賊みたいなものを宮崎駿さんが考えたわけですね。
 なので、空賊たちお尋ね者を捕まえて、賞金を稼ぐポルコ・ロッソというのは、まさに男としての裏切り者。
 もし筋を通すのだったら、空軍に残ればいいし、真っ当な仕事をすればいい。そうじゃなくて、もし無頼の道に生きるんだったら、空賊になればいい。
 でも、どっちもやらないんですね。
 空賊を捕まえて金を得ておきながら、「イタリアのために戦わない」ってウソ吹いているポルコ野郎。「こんなのは本当に豚野郎だぜ!」っていうのが、『紅の豚』の豚たる所以なんですよね。

 それで、そんな人間がそれでずっと生きていけるのかというと、そうじゃない。
 つまり、『カリオストロの城』で描かれていたルパンたちの旅っていうのは、ずーっとどこまで続けて行けるのかというと、そうじゃなくて。
 クラリスみたいな女の子が、もしくはフィオナみたいな女の子が現れてしまったら、どうなっちゃうのかというと、最終的に「俺はべつに豚でいいんだ。自由に生きるんだもん」と言っていたのがキスをされてしまって、魔法が解けてしまって、「どうしようか?」ということで、昔から自分のことを「好き好き!」と言っていた未亡人と再婚してしまって、元の鞘に収まるという(笑)とんでもないジジイの夢物語というのを宮崎駿は描いて、「かっこいいとは、こういうことさ」ってタイトルを付けて宣伝をしたわけですよね。
 まぁなかなか、リハビリっちゃあリハビリなんですけどね(笑)
 それは「自由に生きる代わりに、幸せにならない」って言っていたルパンなり、ポルコ・ロッソの生き方を、一回、自分で否定しちゃったわけですね。
 一回、自分で否定して、開き直ってきて、ようやっと宮崎さんの長ーいリハビリは終了します。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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