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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「原作マンガは映画と全然違う!宮崎駿が『風の谷のナウシカ』で語りたかったこととは?」

2017/09/02 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/02

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/07/10配信「宮崎駿~アニメで闘争を続けた生涯・『風の谷のナウシカ』SP」の内容をご紹介します。
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2016/07/10の内容一覧

『ナウシカ』見た・見てないアンケート

 アニメ版の『ナウシカ』と、原作版と呼んでいいんでしょう、マンガ版の『ナウシカ』はどれぐらい違うのか?
 僕もいろんな例えを考えたんですけど。この原作版が歴史そのものだとすると、こちらのアニメ版は『真田丸』ぐらいなんですよね。
 つまり、面白くまとめているし、内容も変わらないかもしれないけども、「『真田丸』だけを見てても、何も歴史はわからないよ」というのと同じようなものです。

(中略)

 たとえば「その者、青き衣をまといて」ってセリフがあるじゃないですか。
 あれもアニメ版のほうでは「ナウシカは伝説の存在で、人を助ける為に使わされた」みたいなもので、「大ババ様! 姉さまが!」「ワシの盲た目に変わって教えてくれ!」
 大ババ様が呪いの言葉みたいなニュアンスで「その者、青き衣をまといて、金色の野に降り立つべし!」とかってセリフがありますよね。
 あれが原作版では、全然違うんです。
 ラストシーンの近くになって、焼け焦げた大地の上に「墓所」といわれる科学文明が最後に隠されていた卵を割って、その体液みたいなものを浴びたナウシカが立っている。
 それが夕日にあたって、たまたま金色の野原に見えるという。
 なにをやっているのかというと、本当に人類の黄昏、終わる時期を描いているんですね。
 だから、全然希望でも何でもない。
 でも、見る人はそれを希望と受け取る。
 たぶん、ナウシカのまわりの人たちっていうのは、それを「希望」と受け取るし、ナウシカの存在を「希望」と受け取るんだけども、その時の人類の未来は、全然「希望」でも何でもないんだっていう。
 7巻を描いた時の宮崎駿は、かなり病んでいるというか、「よくこれを描けたな」というところに達しているんですね。

(中略)

 ジブリの本によると、宮崎駿さんは映画版のラストシーンでも、王蟲が迫ってきて、ナウシカがそこに立っているラストシーンにしたかったんだけど、高畑勲と鈴木敏夫が2人がかりで、「これでは映画としてのカタルシスにならないよ!」と言って、「生き返ることにしよう」と言ったと。
 それで生き返らせたんだけど、本人は「あれで結局、宗教映画になっちゃったよ」と。
 でも、その宗教映画にしたおかげで、アニメ版の『ナウシカ』は大ヒットした。
 なので、いつまで経っても「『ナウシカ』は、そういう話だ」と、みんなに思われてると、いまだに宮崎駿は、あんなラストにしちゃったことを後悔してる。
 人間を描いたはずなのに、ラストにほんの気の迷いで奇跡を入れちゃったばっかりに、鈴木敏夫と高畑勲に口説かれて、奇跡を入れちゃったばっかりに、「俺が一番嫌いな宗教映画を作っちまったよ」と。

(中略)

 ようやく1993年に、最後の連載が再開されて、94年の3月に連載が終了して、7巻が出ます。
 この単行本の最後の7巻に宮崎さんは「腐海が役割を終えた時に来る平和な時代」というのは、否定しているんですね。
 つまり、腐海が存在して、もう一回地球をキレイにしている。
 これは事実なんですけど、そのキレイな世界の中では、人類はすでに生きて行けない。
 なぜかと言うと、1000年前に起きた大戦争の結果、今の『ナウシカ』の世界の人類というのは、すでに改造を受けたものだと言うんです。
 「お前は変だと思わなかったのか?」と。「なんであんな単純なマスクを口につけただけで、人間があんな腐海のなかで生きていけるんだ?」と。
 風の谷の人間が、寿命は短いといっても生きていけるんだと。
 それは何故かと言うと、人間がもうすでにキレイな世界では生きていけないからだと。
 さんざん実験してみた。人間とかいろんな生物をキレイな空気のなかにおいたら、みんな、肺から血を噴き出して死んでいく。
 「もうお前たちは、キレイな世界では生きていけない生物なんだ」と、ナウシカが言われるんですね。
 ここにおいてようやっと、ここにおいてようやっとですよ、『ナウシカ』の1巻2巻のころに、宮崎さんが『ナウシカ』というアニメを作って、「宮崎駿さんはエコロジーの人だ!」とか、「ナウシカはエコロジーだ!」と言われたことに、ようやっと大反論が開始したわけです。
 もう本当に10年がかりで反論した(笑)。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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