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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「オタク業界を破天荒に生き抜いてきた、出版プロデューサー高橋信之さん」

2017/07/23 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/07/23

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/07/16配信「6歳から60歳までみんなお世話になりました~オタクも極めれば銭の花実例集 対談・高橋信之(出版プロデューサー)」の内容をご紹介します。
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2017/07/16の内容一覧

高橋信之さんのプロフィールと梶原一騎

岡田:高橋さんは、つい最近、『オタク稼業秘伝ノ書』という本を出されました。

 山中伊知郎さんの出版社、山中出版から出てるんですけども、Amazonでも売っております。上の方にリンクが出ていますのでよろしくお願いします。
 どんな方かと申しますと、一応、ここにパネルを作ってまいりました。
 出版プロデューサーですね。1957年生まれだから、僕より1つ上。なので、今年でもう60ですね。

高橋:はい、還暦ですね。

岡田:還暦迎えてサメ映画、という(笑)。

高橋:バカなことをね(笑)。

(中略)

岡田:じゃあ、今日は高橋さんの人生をすべて振返って解説して頂くということで。
 まずは1970年代ですね。一応、大きなトピックスを2つにまとめました。「マーケティングで必要なことは、すべてヤマザキパンで学んだ」と「カリオストロの城で1000万円儲けた」という、この2つなんですけども。

高橋:カリオストロについては、1000万円どころじゃないかもしれないですね。
 まず、ヤマザキパンの話は、僕が高校生の頃から出入りしていたデザイン事務所があったんです。僕は高校生の頃、家の近くの印刷会社でバイトしてたんですけど、その縁で「フリー・タイムス千葉」という千葉のタウン誌を作っているデザイン会社に出入りすることになったんです。
 そのデザイン会社は、東京で広告デザインもやっていたんですけどね。本社は千葉だったので、社長が中野の会社と千葉の会社を往復してて。その社長というのが僕の最初の恩師である福嶋烈さんという人なんですけど。この福嶋さんは、実はヤマザキパンのフィルムのデザインを全部した人なんですね。

岡田:いわゆるお菓子のパッケージというか、透明フィルムの。

高橋:菓子パンの。
 福嶋さんのスタジオの資料室なんかに行くと、スクラップブックがあって。そのスクラップブックの中には、ありとあらゆるアメリカの菓子パンのフィルムが入ってるんですよ。
 雑に切りとってあるから、クリームがついているやつとかもあったんですけど(笑)。

岡田:中にまだ具がはさまってたり(笑)。

高橋:20年前のチョコとかがくっついたやつとか。ものすごく入っていて。

岡田:その福嶋さんという方が、自分のデザイン事務所にそういうのを保存されていた、と。

高橋:「なんでこんなに取っておいてるんですか?」という話をしたら、「これは大事な資料なんだよ。昔はこれですげえ儲けたんだ」と言う。「なんでですか?」って言ったら、実は、僕らが子供の頃、菓子パンというのは、焼くと木箱に入れて運ばれて―――。

岡田:そうですね。パン屋で普通に並べてましたよね。

高橋:それでは空気に触れてるんで、やっぱり痛みが早いわけですね。すぐに乾燥しちゃって、カスカスのパサパサになっちゃう。
 ところが、その後アメリカから「食品包装フィルム」という技術が入ってくる。

岡田:今だったら当たり前のフィルム包装ですね。

高橋:そうです。フィルムに入れると雑菌がつかないし、しかも窒素ガスという不活性ガスを封入しているので、中に酸素が入っていないんですね。さらに、袋の状態なので、保存する場合にも、上から多少押されても、パンが潰れない。酸素が入っていないことで腐敗菌の腐敗活動も止まる。
 そういうアメリカで作られたパテントを、日本でいの一番に、第一パンだったかヤマザキパンだったかが導入して、菓子パン工場にアメリカ製のフィルムのパッキング装置が入って、ドカスカと日持ちするパンを作ることになった。

岡田:福嶋さんは、そういうことを事前にアメリカの旅行で知っていた?

高橋:そうですね。なおかつ、組んで仕事をしていた印刷会社の人と一緒に見学に行ったので、印刷のためのノウハウも貰っていた。

岡田:すでにアメリカで、いろんなお総菜パンみたいなものを買い漁って「日本も次に、こういうふうになる」と。

高橋:で、「今後はフィルムのデザインを始める」と言って、印刷会社と一緒に始めたわけですね。
 ここで面白いのが、福嶋さんたちは、そこで「ロイヤリティ」という概念も教わってきていたんです。
 当時、ヤマザキパンがまだ「よし、これからやっとトラック配送を始めるぞ!」って言ってたくらいの時に、アンパンとかのパッケージフィルムにね―――。

岡田:パッケージでロイヤリティを取ったんですか? すげー!

高橋:当時は、ヤマザキパンの人たちも「ロイヤリティ」なんて言ってもわかんないわけ。

岡田:ヤマザキパンもようやっと、いわゆる関東の小さなパン屋からトラック配送するくらいになったところだから、まさかそれから「毎春テレビCMやって皿を配るようなメーカー」になるとは思ってないわけですよね。はあー!

高橋:そうそう。
 その時も、パッケージデザインへのお金の払い方がわからなくて、なおかつ「パッケージごときに何十万とか払うのかな」となっていた。
 ところが、デザイナーはパッケージの印刷会社とコンビになっている。印刷会社はフィルムを納品する時にお金が入るわけですよ。「だったら、そこにロイヤリティを乗っければいいんじゃないか?」という話になって、ロイヤリティ契約を交わしたんですね。フィルム1枚につきで10銭とか30銭60銭みたいなものなんですけど、これがね、毎日何10万個と売れるようになったわけです。
 それによってものすごいお金が入って、マンションも2つくらい買って、3カ月間ヨーロッパで豪遊みたいな。そういう、60年代頭から真ん中くらいまでの彼の栄光を聞いた時に、高校3年生の僕は「ロイヤリティってすごいな!」と思ったわけですよ。漫画の印税よりも。

岡田:高校時代に遊びに行った先が、てっきり千葉のミニコミ誌の編集部だと思っていたら、その千葉のミニコミ誌というのは大金持ちのじいさんが趣味でやってたものだったんですね。

高橋:そうそう。まあ、当時はじいさんでもなくて、40代真ん中くらいだったんですけどね。彼が成功したのは20代なんですよ。20代の終わりくらいの時に成功して、それでまあ、そんなことを教えてもらって。

岡田:パッケージ代で、当時のお金で10万20万と言ったら、大学生の初任給の2か月半。

高橋:デザイン買い取りだと、それを貰っておしまいじゃないですか。

岡田:「そんなものよりは、1つにつき1円の10分の1でいい。それをください」と言ったと。ヤマザキパンも安くついたと思ったでしょうね。

高橋:結果はものすごいボロ儲け。
 ちなみに、その人はその後に、伊藤園というところがアルミ蒸着の真空パックのお茶を開発した時のパッケージも全部作ったんですよ。そこでも同じことをやったんですけど、ところが伊藤園の時は、早々に「買い取りにして」って言われたらしいんですけど(笑)。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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