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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「君は『HUNTER×HUNTER』の凄さを理解しているか?」

2017/05/21 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/05/21

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/05/14配信「『HUNTER×HUNTER第1巻』解説とアルカポネ」の内容をご紹介します。
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2017/05/14の内容一覧

『HUNTER×HUNTER』に学ぶ、キャラの「起て方」

 今回は1巻だけを取り上げて、軽くやるんだけど。「キャラを起てる」っていう言葉があるじゃん。
(1巻26pを見せる)
 これは、カイトというハンターから、主人公のゴンが、父親であるジンのことをいろいろ教えてもらうシーンなんだけど。
 ゴンの一番大きな目的は「お父さんのジンに会う」ということなんだよ。そのお父さんが作中に出てくるのが18巻くらいなんだよな。グリードアイランド編のラストに、「ケッ、会ってやらねーよ」みたいなセリフとともに、初めてまともに登場する。それまでも、チラッと映るシーンはあったんだけど、18巻まではほとんど出てこないキャラクターなんだ。
 ところが、このジンというのは、主人公であるゴンがそこまでして会いたいようなキャラだから、やっぱ登場するまでの間に「キャラを起てる」必要があるわけだよね。

(中略)

 ここでカイトは、ゴンに対して「ジンさんにいろいろ教えられた。ジンさんに会わなきゃ俺はスラム街で野垂れ死んでた」とか「彼は俺の知る限り最高のハンターだ」とか「ジンさんを探し出すのは一番難しい」というふうに言うんだけども。こういうのを演劇用語で「聞いたか坊主」と言うんだ。
 聞いたか坊主っていうのは、歌舞伎で幕間に小坊主が何人か出てきて、「聞いたか聞いたか」「聞いたぞ聞いたぞ」ということで、観客に状況を説明するシーンを指した言葉なんだけど。「聞いたか? 四十七士が討入りするそうだ」「聞いたぞ。なんとすごいことだ」みたいにね。
 これはマンガでもドラマでもよく使われるよね。関係ない登場人物とか一般人みたいな人物が出てきて、舞台設定をダーッと喋ってくれる。
 今、コメントで流れたけど、『ウテナ』もそうだよね。ウテナも、「聞いた聞いた?」というやつから始まるんだけども、あれも聞いたか坊主の応用というか、用語のままに使うような形でやってるね。
 要するに、ここでのカイトのセリフで、読者に対して「ゴンのお父さんであるジンのスゴさ」というのを説明してるんだよね。
 でも、ここでのカイトの「ジンさんに認めてもらうための最終試験が、彼を探し当てることなのさ。これがどんな狩りより難しい。彼は俺の知る限り最高のハンターだ」というセリフ。これ、セリフとしては大したことないんだよ。サラッと読める。
 ところが、それを聞いたゴンが、家に帰ってから心の中で復誦するシーンがあるんだよな。
(1巻33pを見せる)
 部屋の中で、ゴンが一人、お父さんの写真を見つめる。そうしたら、彼の頭の中に「最終試験は彼を探し当てること。これがどんな狩りより難しい。彼は最高のハンターだ」というさっきの言葉が思い浮かぶ。
 このリフレイン、ジンの写真のクローズアップを徐々に挟みながら、写真に写ったジンの瞳の中の光にゆっくりとカメラが行く。この時のゴンの視線の方向とジンが写真の描写から、「写真の中のジンがゴンを見つめ返している」ということがわかるんだよね。
 こういうシーンの中で、さっきは大したことのなかったカイトのセリフが繰り返されることによって、「すごく良いセリフ」みたいに活きてくる。「彼は最高のハンターだ」これ自体は大したセリフじゃないんだよ。でも、こういう繰り返しの中で言われると、めちゃくちゃ格好良く聞こえてくるんだよな。
 良いセリフっていうのは、良いテキストを作ることじゃないんだよ。それまでのシーンでは大したことなかったセリフを、モンタージュして映像的に並べることによって、ちゃんと良いセリフに作り上げるということなんだよな。
 で、何が言いたいかというと「こういったマンガ表現をいとも容易く使いこなす冨樫の力量のスゴさ」だよね。他の作家は絶対にこんなことをしないんだよ。俺が「『HUNTER×HUNTER』の新作は、どんなに待たされようとも、どんなに適当な絵であっても許す」って言ってるのは、冨樫義博という作家が「マンガ界が生み出した奇跡」のようなやつだと思ってるから(笑)。
 だから、「もうちょっと好きにやらせてみようよ」って思ってるんだ。こんなことが出来るやつって、ほんとにいないんだよな。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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