岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/05/26
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/04/30配信「深掘り映画解説『アンタッチャブル』&『ブルースブラザーズ』」の内容をご紹介します。
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2017/04/30の内容一覧
- 前説
- スターウォーズのモノポリー
- 海洋堂センムのお誕生会
- 宇野常寛がニコ生超会議に激怒
- 山賀にあって庵野にないもの
- ジョージ・ロイ・ヒル監督の感覚
- ティッカーテープ
- シカゴ・トイ・ショー
- 『ブレードランナー』のミニカーを買った理由
- シカゴの街並みの良さ
- 核シェルターが売れている
- ブラックミュージックを一般化させた映画『ブルース・ブラザーズ』
- ジョリエット刑務所の内部の話
- Uボートの実物展示
- ホットドッグの話
- アル・カポネの最盛期は20代
ジョリエット刑務所の内部の話
映画は、ジョン・ベルーシーが演じるジェイク・ブルースというキャラクターが刑務所から出所するところから始まるんだけどもさ。その刑務所っていうのが、さっき『スティング』でも話した「ジョリエット刑務所」というところなんだ。
ジョリエット刑務所というのはシカゴの街から1時間くらい、ルート66をずーっと走ったところにあるジョリエットという街にあるんだけども。このルート66という道がなんでこんなに面白いのかっていう話は、たぶん、この夏に『カーズ3』が公開された時にまとめて話すね。まあ、今回、そのジョリエット刑務所に行ってきたんだよね。
ジョリエット刑務所って『ブルース・ブラザース』で使われてるし、あとは『プリズン・ブレイク』とか、他の映画でも使われたこともあって、観光名所になってるんだよ。ただ、刑務所としては2002年か3年くらいに閉鎖されていて、鉄条網で囲われて中には入れないんだよ。
一応、見に行ったんだけど、駐車場とかもガラガラなんだよね。だって、フェンスが張ってある外から外観が見られるだけだから。ただ、そのブルース・ブラザースの冒頭に出てきた、黄色い壁がずーっと続いている中に監視塔がポツポツと建っている場所があって、「ああ、この周りをライフルを持った見張りのおっさんがずっと歩いてたんだろうな」という雰囲気があったから、いいところだって思ったんだけど。
帰国した後で映画を見返したら、本当に、その周りを歩いている中で僕が見つけた「ここがベストアングルだ! ここで写真を撮ろう!」って思った場所に、劇中のダン・エイクロイドが腕組んでこう立ってて、「やっぱり、あそこが一番いいポジションだったんだ!」って、すごい嬉しくなったんだけども。
でも、まあ、「中に入れないし、もう帰ろうかな?」って思ってたら、そしたらフェンスの一部が破れてるところがあるんだよ。
(中略)
この『ブルース・ブラザース』っていう映画は、ジョリエット刑務所から釈放されるところから始まって、騒動を起こして、最後はもう一回、今度は騒動に関わった全員がジョリエット刑務所に放り込まれるというシーンで終わるんだ。
劇中でも、いろんな曲を演奏してミュージカル風にもなった後、最後の最後でジョリエット刑務所の中で『監獄ロック』っていう曲を歌うんだ。この監獄ロックっていう曲がね、なんか俺、今回、自分でそういう経験をした後で見たら、すごい心に沁みたんだけども。やっぱり、この曲を最後に持ってくることからも、この映画は「ブラックミュージックに対するリスペクトの塊」なんだよね。
というのも、監獄ロックを歌ったエルビス・プレスリーは白人なんだ。彼はアメリカで一番有名なミュージシャンなんだけどもさ。
プレスリーという人が「ロックンロール」っていうスタイルを最初に作って歌った時は、世間から大バッシング浴びたんだ。なぜかというと、ロックンロールっていうのが「黒人っぽかった」からなんだよね。不良っぽくて、黒人っぽかったからなんだ。
そういうブラックミュージックというものを黒人が歌ってヒットさせていくという過程なんかは、後に『ドリーム・ガールズ』みたいな映画で説明されるんだけども。そういう映画の中では、「白人が俺たちの歌を奪った」って捉えられがちなんだよね。
でも、当時の人にとってはそうではなくて、「どうにかして自分たちが持っている黒人音楽、リズム&ブルースとかジャズといった音楽を、もっと多くの人々に聞いてほしい」と思っていた。だから、エルビス・プレスリーが出て来て、監獄ロックを歌った時には「うわー! すごい! 俺たちの音楽を白人の兄ちゃんがちゃんと歌ってくれて、白人の大人たちからは大バッシングを受けながらも、自分たちの音楽を広めてくれてる!」となったわけだ。
そういう流れの中で、『ブルース・ブラザース』という映画を見たら、黒人音楽を本当にリスペクトしているのがよくわかるんだよ。
刑務所から釈放された後、最初、兄弟は「俺たちはどういうふうにすればいいんだ? そうだ!バンドを作ろう!」って思い立つ。そこで転機となったのが、ジェームス・ブラウンが演じる黒人が教会でやっていたゴスペル音楽。それにガーンとショックを受けた二人は、そこからいろんな黒人たちの元を旅する。レイ・チャールズの音楽ショップみたいなところで曲を聞いたり、いろんな黒人たちの音楽に触れて、最後の最後は観客たちをワーッと湧かせ、そして最後はまた刑務所に放り込まれて、そこで監獄ロックを歌う。
白人たちが、黒い背広を着て、黒いメガネをかけて、黒い帽子をかぶって、監獄ロックを歌うっていうのは、あの当時の音楽シーンていうのを知っていたら、単なる「黒人と白人の融和」とか、そういうのを超えて「こういうことだったのか!」という大感動があるんだよね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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