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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「氷河期が戦国時代を作った?『桶狭間戦記』」

2017/02/01 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/02/01

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、岡田斗司夫ニコ生ゼミ1月8日配信「『真田丸ロスに応える戦国オタ話』ゲスト:房野史典」の内容をご紹介します。
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岡田斗司夫ニコ生ゼミ1月8日配信の内容一覧

氷河期が戦国時代を作った?『桶狭間戦記』

岡田:僕が今回、お勧めの戦国漫画として持ってきたのが『桶狭間戦記』。

房野:ありがとうございます。教えていただきたいです。

岡田:これは、『センゴク』というマンガを描いた宮下英樹さんが、描いている織田信長対今川義元というやつなんですけども。

房野:まさに、有名な。

岡田:これは冒頭がすごくて、戦国時代とは何かというところから始まっているんですよ。通説では、1467年天下のお家騒動、応仁の乱、房野さんも本で書いてましたね。

房野:書きました。

岡田:足利将軍のなんとかさんが、「俺、男の子がおれへんわ」と言って、仏門に入った弟に、無理矢理、跡を継いでと頼む。

房野:戻ってきてって。

岡田:ところが弟が戻ってきたら、自分に子どもができてしまう。

房野:産まれちゃう。

岡田:大揉めに揉めたという。

房野:それですよ。

岡田:幕府の力が衰退、下克上の社会が現れる……というのが通説。でも、この通説には、疑問が残る、と。

房野:おー、すげえ。

岡田:支配階級による権威の失墜、これが日本史史上かつてない動乱の原因となりうるのであろうかということで、どういう風に、土一揆が起こっていったのか?
 『桶狭間戦記』では、戦争によって飢餓が起こるのではなく、飢餓からの回避として戦争が起こると説明しています。つまり、世が乱れて一揆が起こるのではなくて、まず貧困とか、御飯が食べられないという状況があって、その結果として内乱が起こり、それを中央が治められないから、戦国時代になったという。

房野:なるほどね。

岡田:時の権力者が、飢饉に苦しむ民衆を統治できなくなった、その結果として、応仁の乱があっただけだと。

房野:おもしろー。

岡田:この日本史史上かつてない動乱を引き起こした大飢饉の原因は、リトルアイスエイジ、気象学で小氷河期と呼ばれるものである。

房野:えー?

岡田:これ、本当なんですよ。小氷河期。最新の気候学によると、1450年から1600年の間、太陽の活動全体が、すごく低下している。いわゆる太陽黒点の数が、極端に少なくなってきて、シュぺーラー極小期とマウンダー極小期というのが、この時期に前後していて、地球全体の温度が下がってるんです。

房野:マジっすかー。

岡田:マジです。さまざまな文献にも同様の記述が見られるんですよ。この時期、5月なのに氷が張ったとか、6月なのに雪が降ったみたいなことが書かれていて。
 実は小氷河期が戦国時代を作ったと。戦国時代の本質は何かっていうと、武将同士の戦いではない。それぞれの地方ごとに、飢餓を免れようと自衛のための組織を作っていった結果が戦国時代。そうやって天下統一まで、延々とみんな戦い続けることになったという考え方なんですよ。

房野:新しすぎますわ。ちょっと。え? すごかった、今の。おもしろい。

岡田:これ、すごく面白くてですね、僕もこれがどれくらい本当かと調べてみたら、確かにシュペーラー極小期というのがある。屋久島にある屋久杉の年輪が1416年あたりから急に細くなってるんですね。炭素同位体を計測してみると、その時代は屋久杉の成長がものすごく遅い。と同時に、1452年あたり、つまり応仁の乱前後に……。

房野:応仁の乱のちょっと後ですね。

岡田:南太平洋のバヌアツ共和国にクワエ火山があるんですが、これが人類の歴史上最大級の噴火を起こしているんですよ。おそらく20年から30年、大気の中にエアロゾルという粒子が混じっていて。

房野:恐竜の時代に起こったまさにそれが。

岡田:あれと同じです。恐竜を滅ぼしたのと同じような現象が、20年くらい続いて、おそらく北半球の気温が1度から2度下がってるんですね。

房野:うっそー!

岡田:太陽活動の縮小による気温の下降と、クワエ火山の噴火という2つの原因によって、ロンドンでもテムズ川が凍ったとか、いろんなものが目撃されているんです。

房野:えー! おもしろい。残ってるんですね。

岡田:面白いことに、桶狭間の戦いでは、合戦中に雹が降ったらしいんですよ。

房野:はいはい。言われてます。

岡田:『信長公記』に書いてあるそうですよね。

房野:書いてありました。

岡田:氷の柱が、面に当たったと。でも、桶狭間の戦いを歴史上描いた漫画、小説、映画、テレビドラマ、いくらでもあるんですけど、みんな大雨程度に書いてるんですよ。

房野:確かに。

岡田:でも、永禄3年5月19日ということだから、現在の暦で言うと6月の半ばなんですよ。本来ならそんな時期に雹が、氷の塊が降るはずがない。降ったのはなぜかというと、氷河期だったからですよ。地球が(笑)。

房野:うわっ、面白い。俺、たまたまこんな日もあるのかって、思ってました(笑)。

岡田:この異常気象というのは長くて、1650年とか60年くらいまで、ずっと続くんです。
 小氷河期の間、一瞬あったかくなるのが関ヶ原の後当たりなんですよ。徳川家康は幕府を作って倹約令を山ほど出したじゃないですか。これまでは、徳川家康の性格って言われてましたよね、質素が好きだと。

房野:はいはい、そうです。

岡田:平安の貴族みたいに贅沢していたらダメだから、侍は質素にというではなくて、そうでなければ生き残れなかった。

房野:なるほどね。

岡田:だって、あの時代に、小氷河期、リトルアイスエイジきてたら、これが永遠に続くって思いますよね。

房野:思いますね。物資もなければ、田畑も全然だし。

岡田:室町から戦国にかけて人口自体は増えてるんです。だから、飢饉が来た時のパニックが半端じゃないんですよ。
 人口が1000万だった時に飢饉が来ても1割くらいの人間が死ぬだけなんですけど、1500万の時に、地球規模の飢饉が起きてしまったら、半分くらいが死んじゃうんです。

房野:なるほど。

岡田:という状況だからこそ、家康はあんなにえぐいことをしてまで、質素倹約の国に日本を改造しなければいけなかった。そうなると、信長が立てた派手な世の中、その次に秀吉がやろうとした贅沢な世の中が、絶対にダメに見えますよね。

房野:見えますね。その説が当たってるなら、絶対ダメだと思いますよね。面白い。

岡田:そういう説を描いているので、『桶狭間戦記』お勧めですね。

房野:すごいわ。そんな説あるんだ。

岡田:氷河期の中で何とか生きていこうとした侍。

房野:ちょっと待ってください。この本のオビ、今川義元ですか。

岡田:絵が今川義元。

房野:今までにないくらい、格好いいですよね。

岡田:格好いいです。はい。

房野:戦国時代好きは今川義元をまあまあ好きなんですけど、一般的なイメージとしては、おしろい塗ったデブで、お歯黒の。

岡田:お歯黒のおっさんとして描かれている。

房野:これいいですね!

岡田:この単行本の3分の1くらい、今川義元の家庭教師やった坊主の話ですよ。

房野:太原雪斎。

岡田:そうですそうです。

房野:大好きですよ!ホント。

岡田:それがいかにこいつに影響を与えたのかっていうのが、延々書かれているんですよ。

房野:なるほど、いいですね

岡田:めっちゃ、面白いですよ。

房野:この人、面白いな。

岡田:なんか、目の付け所が違いますよね。

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