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[感想] SHY 週刊少年チャンピオン 2017年07号

2017/01/14 17:42 投稿

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こんにちは、ヘルシアです。

 実に7年ぶりぐらいに、週刊マンガというものを買いました。

 最後に買ったのは、確か週刊少年ジャンプで、ワンピースの魚人島編が終わった頃だったと思います。

 そんな私が買った、1/12(木) 発売の週刊少年チャンピオンに掲載されている読み切り漫画、実樹ぶきみ先生作「SHY」の感想を書きたいと思います。

 注意1:ネタバレは有るので、ご理解ください。ただ、この作品は、ネタバレしても害は少ないと思います。

 電子書籍版も有るので、未読の方はぜひ御覧ください。

 Kindle版:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N5MH6BJ

 ニコニコ静画:http://seiga.nicovideo.jp/watch/bk390654
 ※143頁あたりに掲載されています

 注意2:長文です。


■実樹ぶきみ先生とは
 そもそも、実樹ぶきみ先生とは誰ぞや。

 雑誌としては、第二回チャンピオン三誌合同新人まんが賞で、大賞を取った方です。

 不気味遺産さん、という名前を聞けば、アイマス二次創作界隈ではご存知の方もいらっしゃるでしょう。

 Pixiv:不気味遺産さん
 http://www.pixiv.net/member.php?id=231628

 Twitterにも、Pixiv未公開の絵を上げていらっしゃいます
 Twitter: https://twitter.com/bukimi397/media

   不気味遺産さん「風邪」
 どのような絵を描く方かというと、Twitterから1枚紹介致します。

 アイドルマスターにおける、アイドルの輝きを描くよりも、彼女らをモチーフにしてメッセージを伝える絵が得意な絵師さんと、見ております。

 重いメッセージですが、左記の絵「風邪」も、好きな絵の一つです。

 アイドルとして輝こうと、心を奮い立たせる力は沢山ある。でもそれらは、時として貴方を苦しませる。辛い時、貴方にとってそれらが病原体であるかの様に見えるだろう。あるいは、ただ風邪で心が弱っているのか。
 そんな時、静かに休むことをおすすめする。


■恥ずかしがり屋のヒーロー「SHY」
 物語を作る時、ヒーローには弱点を作れと漫画家小池一夫先生は、言いました。

 紅葉山テル、中学二年生。趣味は映画鑑賞。ちょっとした手違いから、怪獣退治のためのヒーローをやらされることになる。

 ヒーローは、テルの他にも何人か居る。ヒーロー達が、人智を超えた怪獣をなぎ倒していく姿に、人々は恐怖よりエンターテイメントを見出していた。メディアは、ヒーローをアイドルとして扱うようになる。

 当然テルも、注目の的となるのだが、致命的な弱点があった。人目が怖いのだ。故に、人々から「SHY(シャイ)」と呼ばれた。

 ただ、その恐怖というのは、彼女の心に自信が無いところによる部分が大きい。トラウマが有るわけではなく、漠然とした自己嫌悪、自己否定が心を支配しているように見える。

 もしかしたら、テルの家庭環境が悪かった可能性がある。趣味に映画鑑賞とあるので、親が面倒を見たくないために、テレビや映画を見せていたのだろうか。

 少し前、育児放棄の問題として話題になったこともあり、現実の世界においても、彼女のような人を見かけることがある。そのままというわけではないが、人の心の弱い部分というところに、共感が持てる主人公だ。逆に、自己否定、自己嫌悪を理解できない方には、この漫画は難しいだろう。


 漠然とした恐怖を持ちながらヒーローを続けている彼女は、ついに怪獣の被害から救えなかった者の憎しみの目を知ってしまう。

 自己嫌悪という妄想に近い「人目」ではなく、本当の「人目」に出会ってしまった彼女は、今まで以上に弱い心から逃げていくのだった。


■怪獣と恐怖
 この漫画、ヒーローが主人公であるにも関わらず、ヒーロー漫画ではない。

 作中にも言われているが、不屈の精神、強靭な肉体、そして正義の心なんて描かれない。

 主人公は、とにかく逃げる。逃げの一手。いや、怪獣は倒すんだけれども。

 怪獣への恐怖や、倒した達成感など無く、ましてや悪の組織なんて存在しない。

 シャイの敵は、常に自己否定してくる「自分」だった。
 「ただの凡人が何をしている」
 「お前のせいで沢山の人が死ぬ」
 「お前のどこがヒーローなんだ?」

 近眼という設定が、まさに彼女にふさわしかった。本来は恐怖の対象であるはずの怪獣は、彼女の関心ごとでなく、彼女は内なる「自分」への恐怖を、常に見続けているのだった。それは、目も悪くなる。


 そしてある日、その近眼がたたり、怪獣に追い詰められてしまう。

 「自分」からの強烈な恐怖と、怪獣に追い詰められる恐怖で、辛うじて耐えていた心が、限界を迎える。

 思考がグチャグチャになり、テルは自暴自棄を選択する。この、自暴自棄を選ぶまでの思考をトレースするまでが、この漫画最大の山場だ。

 恐怖が大きれば大きいほど、敵が強ければ強い程、殴りがいがある。感情移入に比例して、この漫画のラストは、面白さが増すだろう。

 小さな勇気を借りて、自分の心の中にあった恐怖=怪獣を、シャイが全力で殴っていく姿に、恐怖から立ち上がろうとする勇気と、カタルシスを感じるのだった。


■シャイからのメッセージ
 シャイの弱点は近眼であること。

 恥ずかしがり屋な部分も確かに弱点に見えるかもしれない。実際、この感想文を書くまでは、私はそう思っていた。

 しかし、オチを考えると、自分の心に目を向けすぎて、応援してくれる人、勇気をくれる人を見ていなかった為に、自分の弱さから立ち上がれなかった点で、近眼が弱点なのだと思う。


 フォトショップ等の開発元であるAdobe社が2016年、世界5カ国で行ったアンケケート調査で、自らを「クリエイティブでない」と考える人が最も多かった国として、日本を上げた。

 Adobe:「State of Create: 2016」の結果を発表
 http://www.adobe.com/jp/news-room/news/201611/20161110-state-of-create.html

 単純なナショナリズムで語れるわけではないが、あるいはシャイの様な自己否定から生まれた結果なのかもしれない。


 かく言う私も、こうして感想文を書いているのですが、文に自信があるから書いているわけではないです。

 この記事が、ぶきみ先生に対し失礼に成らないのかと、戦々恐々としております。

 しかしシャイの様に、自分自身の恐怖を見続けているわけにはいかず、ブロマガ管理画面に表示される閲覧数と、読んだ作品を応援したいという気持ちで、こうして今も記事を書いております。


 シャイは、恥ずかしがり屋な面を克服することはできなかったけれども、応援してくれる人がみえて、やっと本当のヒーローに成れたのでしょう。願わくば、自分もそう有りたいものです。


■ところで、雑誌が電子書籍で読めるって便利ですよね?

 Kindle版:https://www.amazon.co.jp/dp/B01N5MH6BJ
 ニコニコ静画:http://seiga.nicovideo.jp/watch/bk390654

以上

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