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のすじいの小説もどき・・どれみふぁ・らぷそでぃー⑤

2019/10/21 01:16 投稿

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第5章 五月のバラ(笑)

その夜、ドリル練習後の謎の椿事発生後・・夜の合同練習を終えたのちの
・・まあ、此のキャンパスにほど近い、見るからに安そうな学生居酒屋。

客は殆ど学生コンパ対象と言うチープで大量の食い物と安酒が売りの店。

吹奏楽研究部の3~4回生男女がまあ如何にもこの部の学生らしくと言うか
ちょいと金満な4回生の奢りでささやかな酒宴と言うか夕飯を満喫中。

1合180円の出所不明産地不詳の熱燗すぎるくらい熱い日本酒の徳利を
レースのハンカチ使って持ちながら妙に色っぽく酌などする=ますみ=女傑・・
もちろん、相手は現=主将=の山内だ・・まあ、こっちも満更ではなさそうな顔。

其の隣で統制の蒼山が田原と言う同じ4回生のクラリネットのリーダー女子と
妙に中年夫婦のような会話をしつつ仲良く梅チューハイを舐めている・・。

$のすたる爺の電脳お遊戯。

つまみは妙に皮ばかりの焼き鳥、量が半端じゃない茄子とピーマンの炒め物。
サラダと称したレタスとキャベツとスィートコーンのマヨネーズぶっかけに
此れはかろうじて日本酒の、と思われる結構大量のイカの脚のみの塩辛。

ビールは高級品なんで最初数本で我慢して酔っ払いやすい日本酒に移行し
最後はお茶漬けやおにぎり回し食いしてお開きと言う貧乏学生酒・・・

ちょいとプチ・ブルな管理の深沢は=べがーず・ばんけっと(乞食宴会)=と
密かに揶揄しつつ、実に旨そうにこっそり追加した生ビールなぞ飲んでいた。
まあ、今夜の重要な金主の一人なのだから当然の権利だよん、と書いてある顔で。

其の隣で此れも其の生ビールにお付き合いしてるのは庶務の美樹女史。
普段お堅い彼女もうまく深沢にあやされて結構酒が進んでるご様子だ・・
無論、=女の子=ってことで、深沢の特別な=奢り=であるこたあ言うまでもない。

此の兄ちゃんは此の辺り実に上手いと言うか慣れてると言うか・・・流石である。

ともあれ・・まあ、学生の精いっぱいの背のびのような・・夜の=異学年交流会=。

これら4回生に、今日は・・3回生のホルン吹きの平田と久保・・
無論=まさみ=女傑、其れとサブメジャーのクラ(リネット)の前田
・・彼らが引っ張ってきた3回生の女子、クラの吉田とパーカッションの久住。

下宿住まい門限なしのメンバーが時折集う此の不定期な飲み会の話題は
・・・案外、真摯な部の方針議論だったりすることが多いのだが
今夜は、流石に全員があの話題に触れずにはいられなかったらしい。

まあ、最大の肴は昼間のあの突発的大惨事(笑)と言う訳だ。

苦笑しながら蒼山がちょいと皮肉っぽく口を開く・・幾分酔ってる風情。

「だいたいなあ・・あのドリルで喉からっからになってるとこにだなあ・・・
レモンとか冷たいもんならまだ判るけどな、拠りによって、まあ、
 ご丁寧に・・手作りの=おにぎり=なんざ持参してくるかっつーのぉ。

しかも・・汗かくからって、疲れた時には良いからって
何だあ?・・・あの、お稚美(ちび)のやつ・・ご丁寧に・・
種抜いた梅干3個入りとか、塩鮭2切れ入れた、とか・・・
挙句に、飯の上にも塩、見えるほど振ってから海苔巻いたって?
 
そ、そんなもん喰ったらのどに閊(つか)えるどころか・・悶絶するわあっ。

あ、明らかに・・馬鹿じゃね?喰わせたほうも喰ったほうもよお。
・・な?・・な?・・そう思わん?・・な、山内ぃ?」

主将の山内が此れも結構ご機嫌な顔色で其れを肯定しつつ

「 しかも、だ・・あの=哲つぁん=が、・・くくっ。

好物は梅干しと鮭のお結びだって、自分が言ったにしてもなあ・・・
何も聴かず、文句も言わずに、あの状況で一気に喰う・・ってのがなあ。
絶対、あのお稚美(ちび)に、気ぃ使ったんだろうが・・・

まあ、あいつらしいっちゃあいつらしいってか、なあ?

 で、案の定、閊(つか)えて悶絶して苦しみだしたとこに
更にあの新人が慌てて出したのが・・・その、何だあ・・・
えっと・・・ああ・・・何だったけが?・・・雅村ぁ?」

「えっとですねぇ・・=お砂糖とぉ蜂蜜ぅいっぱぁい入ったぁ=
=熱ぅい=・・=せんぱぁい=のために作ったぁ・・・
=お手製のぉ、みるくせぇーきぃ=だったんですぅ・・・って、
くふふっ、其れ、哲先輩、無警戒で一気飲みしたんですよねえ。」

其の強力無比な=みるくせぇーきぃ=以上しこたま甘そうな鼻声と
微妙なくねくね具合は媚びてんだかフォローしてんだか、な・・・=ますみ=女傑。

「まあ・・一気に飲んだらまず、吹くよねえ・・甘さと熱さで、普通。
確か、哲くぅん、猫舌っぽく無かったっけ?実際のとこ・・・。
其れもあの練習の後じゃさあ、自殺行為だよねえ、ほとんど・・」

=管理=の深沢が存外冷静な口調でさらりとまとめ、
冷えた生ビールを実に旨そうに飲みほしたのを切っ掛けに・・・

全員がお手上げと言った感じで肩を竦め溜息をつき
其の後誰からともなく、くすくすと笑いがこぼれ始め・・
最後は宴席の天井から埃が落ちそうな大爆笑へと変わる。

「だ、駄目っしょ、其れ、作る方も変なら、喰う方も変でしょ・・哲先輩っ」
「流石、哲先輩、やっぱ・・哲学科在籍だけにどっかすっ飛んでますって?」
「本気で悶絶してましたよ、哲先輩、絶息涙目状態だったし・・」

「こないだの額・・のぴ、ピンク文字も凄まじかったがなあ・・今度は・・・」
「目の前で起きたもんなあ、破壊力が比類なく強力だったよねえ・・」
「両方とも本気、くそ真面目にやってただけに・・き、効くわ、あのオチは・・」

「あんなもん、本気で怒れる訳ねえよ・・勘弁しろよお・・哲よお。」
「押忍!・・おれ、笑い死ぬかと思ったっすよお・・ほんと腹筋切れるかと・・」

「え~?、そんなに言っちゃかわいそうで・・くふふふっ・・だ、駄目っもうっ・・」

「ある意味凄いですよねえ・・あのお稚美ちゃんの・・・天然破壊力って。」
「しかも騒ぎの相棒が、あの、天然珍獣哲つぁんだから尚更だわ・・」

全員が好意的な罵声をいつもなら此の席の常連の哲学兄ちゃんと
しこたま純情そうで内気そうで果てしなく天然な新人お嬢ちゃんに
酒の勢いもあってか思いっきり学年関係なしの無礼講で飛ばし
座が一気に盛り上がって宴酣(たけなわ)と言う状況の中である。

好意的な罵声に妙に顔をしかめ、ちょいと不機嫌そうな眼の色に成り
独りだけ・・妙に酔眼朦朧と一同に絡み始めた参加者が・・・居た。

「なんでよぉ・・何でそんな事言うのよおぉ・・
あんなに、あんなに可愛いじゃん・・ねえ・・。
少女漫画のセンパイと後輩ぃ・・地で行ってるだけ・・じゃん・・

あれの・・ひっく・・何処が馬~鹿ぁなのよぉ?
・・あんたたちさあ・・ういっ・・そんなに・・さあ・・
・・あの子と哲ちゃん・・笑えるような・・立場なわけぇ?

・・そっちの方がよっぽど・・ひぃっく・・・ば~ぁかよぉ~・・」

全員の視線がテーブルの一角の其の声の主に集まる・・・

$のすたる爺の電脳お遊戯。

「・・あ、美樹っ・・やっ、やべえ・・ふ、深沢ぁ・・お前かぁ・・飲ませたのっ」

「うん、冷たいの欲しいって言うから・・一杯づつ・・生、飲んだよぉ」

「馬鹿、知らねえぞお・・こいつ・・最近飲ませると・・其の、何だ、
・・森村居ても・・・手に負えねえ=大トラ=になんだぞお。」

其の宴席の隅っこにはちょいと小柄な雌トラが鎮座していた。

普段は4回生随一の堅物と言うか真面目と言うか気の強いと言うか、の
ラッパ吹いてる女の子、総務と言う役職の美樹という女子部員である。

小学校時代からトランペット鼓隊でラッパ吹いてたと言う子で
音の方は気風のいい、妙に通る・・男の子のような音色を出すのだが
実は、ちょいとした大きな商家の末娘にして、本質は甘えんぼと言うか
実に少女っぽい部分を色濃く残す、まあ、=お嬢ちゃま=なのだ。

此の普段は堅物で品行方正一方のお嬢ちゃまが、
此のところ、機会があれば此の手の宴席に参加する様になり
元々呑みもせぬ酒なぞ呑み、再々、酔眼朦朧たちの悪いぐだを
同期の連中にところ構わず巻き始めてる理由は明白だった。

そして、まあ、其処には、4回生殆どが知っている=事実=が・・・

今季の幹部4回生で渉外兼メジャーの森村は
一時期、実質二歳下の此の美樹にガンガン迫られ・・
一応、交際相手、と言うことに成ってはいた・・・が・・・

実際、外で数多くの大学や社会人と接して動き回る森村が
学生服のポケットに常時岡本理研の製品を数個忍ばせていたり
どうも、色々と他校のチアリーダーちゃんなどとのお付き合いを覗わせる
色っぽい話題の堪えぬようなタイプの、管理の深沢とは違うタイプではあるが
此の部で極めつけの大人(おっとな~)な兄ちゃんだった事が
此の、気は強いけど実は純情な=美樹お嬢ちゃま=には
付き合うまで判らなかったと言う=諸事情=があったにしても
相当に=浮気者=で=女っ誑(たら)し=な男、と見えたらしく
恋愛?当初から、ついぞ口喧嘩や其れ以上のトラブルが絶えず

此処最近は関係が完全に破綻しかかっている?と言う切ない噂。

まあ、男女関係に意外にクレバーな学生指揮者の薄田や
お洒落系遊び人との噂も高い女扱いに慣れた深沢あたりは
最初からこの組み合わせには無理がある・・と言ってはいたのだが。

其の鬱屈した感情が最近此のお嬢様をちいと危険な存在に変えていたのである。

「も、森村くんだって・・哲ちゃんみたいにぃ・・・
 あんなに可愛いことばっかりしてくれたらぁ・・・
あ、あたしだってぇ・・こんなにぃ・・ああ・・もぉっ・・・
森村のばかぁ・・大ばかぁの・・エロおやじぃっ・・うぁあ~ん」

其の悶々が、今日のあまりにもお子ちゃま風ゆえに、見ように拠っちゃ
最高の純愛少女マンガエピソードと言えなくも無い莫迦さわぎを目撃した事で
かなり、歪んだ方向に刺激されたらしく、今夜の絡み方はちょいとヤバそう。

「おおいっ、誰がこいつ送るんだあ・・結構遠いぞこいつのアパートっ」
「まったく・・あの野郎も・・こいつ居る時くらい付き合えってえのに。」

恋路に迷ってぼろぼろの呑みなれぬ雌トラお嬢ちゃまに掛かっては
主将の貫録も鬼の統制の権威も在ったもんではない・・・

なんせ、此のお嬢ちゃんとはお互いぺーぺーの1回生からの付き合いだ。

主将の山内なんざ、・・おい、博隆(ひろたか)ぁ・・何か言えよ、と名前で呼び捨て。

統制の蒼山に至っては同じラッパ吹き同士?だけに更に酷い。
静止しなだめようと試みるも・・うっせえ、ばかあ、この女ったらしぃ・・と一撃。

主将も統制も、過去に在った色々な出来事を此の雌トラに知られてるだけに
何とも分が悪く、3回生以下は手さえ出せないと言う情けない体たらく。

ああ、やっぱりこいつ(この先輩)・・連れて来るんじゃなかった・・と
統制と主将筆頭に、全員並んで頭抱えるなか、
美樹嬢の=ぐだ=が一気に暴走をし始めようとした・・其の時だった。

「すいません・・・あの、此処に、○大の吹研の連中・・ああ、居た・・。
・・押忍(おす)・・遅れたけど・・途中参加、有りか?・・」

ちょいと照れくさそうに入ってきたのは・・さっきまでの話題の主
あの、のほほん男の=先輩=そのひとだったりする。

「あれぇ・・=哲=ぅ・・お前今夜いつものバイトじゃなかったんかい?」

先程までの噂話と、此のお嬢ちゃんトラを抱えての惨状が
流石に幾分気まずいのか、全員妙にぎこちなくなる中
其れでも、取ってつけた感じではあるが、フォローを出す主将山内。

此の辺り、結構無神経な豪傑風の容貌や言動に反して
流石に此の部の親玉意識からの気配りなのはまあご立派・・・

が、当の=先輩=は・・と、言えばそんな雰囲気に気づいた様子もなく、
何時も通り、=のほほん=と宴席に入ってくるなり・・・おもむろに・・・

「うん、行ったら・・水道関係の故障でキッチンもトイレも駄目でね・・
 実際、飲み屋って・・水回り駄目ならお手上げ・・じゃない?

休みになっちゃって帰ろうとしたら・・交通費と飯代だって・・・
社長が偶然居てね、そう、此処の大学のOBだって噂なんだけど・・・

何時もご苦労って、臨時に此れ呉れたから・・覗きに来た。

ほれ、軍資金!・・・此の聖徳太子様が目に入らんかっ(笑)!!」

顛末を問わず語りしつつ=先輩=のかざした手の中には・・・
なんと中軍旗(五千円札)、音楽屋にいわせりゃG(ゲー)千円札。

因みに大軍旗は1万円(ツェー万円)小軍旗は千円(ツェー千円)・・・
まあ、此処までの全員分の飲み代にも匹敵しそうな戦利品が麗々しく踊っていた。

・・せ、先輩っ・・・いつも=ごっつぁん=すっ!
・・すいませ~ん、おっちゃん・・ビール追加3本ねえっ!
・・こ、こっちどうぞっ・・さあ、駆けつけ三杯っ・・あ、日本酒っすかあ!

雀の学校ヨロシク3回生が声を揃え、此の闖入者を上座に据えようとし
ぶつぶつ言う美樹を幾分無視しつつも、再び宴席がリセット、と言う
まあ、何時もながらの此の連中の貧乏宴会な状況に突入し始めたのだが・・

今夜の美樹は完全にスイッチが入ってしまったらしく、ちょいと朦朧な眼差しで
入ってきたのが誰か、確認しようと接近し・・つらつらと眺め・・

「わああ・・哲ちゃんだあ・・ 話題の哲ちゃあん・・   
少女漫画の先輩ぃ~、お兄ちゃ~ん、・・・ひぃっく・・・
哲ちゃぁ~ん~・・ああぁん、こっち来てよおっ・・
此の連中ったらさあ・・酷いんだよぉ・・・ねぇ~・・。」

いっきなり普段のお局さま、風紀委員ぶりは何処にと言った風情と勢いで
自分の隣に此の=朴念仁=を引っ張り込むように座らせると
まるで小さな少女のように座った=先輩=の膝にぴょこん、と乗った。

で、傍から見ると誰が恋人だかわかりゃしないような、妙な可愛さで・・で
生ビールのジョッキ手にしたまま睦言のように絡みはじめたのは逆にちょいと怖い(笑)。

「ねえぇ~・・哲ちゃん~・・昼間さあ大変だったでしょ~
でもぉ~、ああいう時ぃ、絶対にぃ・・食べなきゃ駄目だよねぇ~

おにぎりでも唐辛子でも梅干しでもなんでもぉ・・
可愛い後輩がさあ・・ひっく・・おんなのこがさあ、いっしょけんめい・・
それもさあ・・・まだ新人の子がぁ・・一生ぉ懸命ぃ・・作ってさぁ・・

哲ちゃんにってぇ・・・くすん・・持ってきてぇくれたぁ・・んだもんねえ・・
だからぁ・・なぁんにも言わずに食べたんでしょ~・・優しいもんねぇ・・

だっからぁ、哲ちゃんってぇ・・てっちゃんってえぇ~・・・くすん・・・
えへへっ・・好(す)ぅきぃい~・・・可愛いんだからぁ~~うぃっく・・・」

良く男を困らせる女は魅力的とか一般的に言うものの
この場合の美樹のぐたぐたっぷりは既に許容範囲ぎりぎりで
素面の=先輩=はこの段階でかなり困惑の表情に陥る。

尤も、其れは此の美樹と言う同期の姉ちゃんの
かなりぐっだぐだな壊れっぷりに、で、あって
妙齢の姉ちゃんに積極的にボディタッチされてるから、とか言う
まあ、此の年頃の兄ちゃんにありがちな若さゆえの理由ではない。

そのあたり、実は、此の=先輩=の変わったバイトが理由だったりする。
其の幾分切なくも在る理由は・・・まあ、おいおい述べようと思うが・・

そんな=先輩=の胸中は知らず、膝の上に座を占めた美樹女史は
おもむろに今度は自分の=おとこ=であるはずの森村の愚痴をこぼし始める。

$のすたる爺の電脳お遊戯。

「何よぉ・・いっつもいっつも・・人のことぉ・・
 胸が無いとかお子ちゃまだとか・・・・さあ。
 餓鬼あつかい、してぇ・・・・ぐすん・・いっつもいっつもいっつもぉ・・・

N大のチアの○子ちゃんはぁ・・お前みたいに餓鬼じゃなくて
胸が大きくてぇ色っぽくてぇ・・ひっく・・おんならしくてぇなあんて・・さあぁ・・

ちょっとは、育て、とかさああっ・・色っぽくしろ・・とかさあ・・何さああいつぅ・・

ひとの、人の気も知らないでぇ・・あいつうぅ・・・

う・・うぇえ~ん・・哲ちゃぁ~ん・・・」

独白の途中からもう此の気の強いはずのお嬢ちゃまは既に半泣き・・・

其れでも生ビールのジョッキ離さずに器用にひとくち飲んじゃ
ひきつづきぐだぐだと恋人?の愚痴を吹くと言う殆ど収拾不能の酔いっぷり。
時折、=先輩=が見かねて手で支えてやらないと膝上指定席から
転がり落ちて更に収拾不能になりそうなほぼお手上げ状態に突入中。

流石、岡惚れで森村のアパートに日参し、美樹から口説いたと言う噂だけの事はある。
此れだけ愚痴っても別れる切れると絶対に言わないのが妙に切ないのも確かだが
延々、此の小型雌トラに付き合わされるのも堪ったもんじゃないのも事実。

ああ、気の強い子に限って実は崩れるとぐたぐたってのは事実だな・・・と
ちょいとしたプチ修羅場に参加者全員が殆ど半ばお手上げになり
哲つぁん、来た早々済まん・・とか、先輩、やっぱ、無駄に優しいんですねえ、とか
流石に、こりゃあ・・酔ってる場合じゃねえんじゃね?と思い始めた時だった・・・

此の雌トラお嬢ちゃまの相手を如才無くやりつつも、其の隙を縫って
逆隣の3回生の前田にコップに日本酒注いでもらってた=先輩=が
其の=熱すぎる熱燗=に口をつけようとし、あの昼間の記憶が蘇ったのか
一瞬、苦笑しつつも、其の自分のコップに被害が及ばぬようちょいと遠目に置き
さっきから既に飲むと言うよりも持って振り回し状態のビールジョッキを
延々と愚痴ってるお嬢ちゃまトラから優しくもぎ離して同様に遠ざけると・・

「まあ・・でもなあ、美樹よお・・森村も外回り多い奴だし・・
 他の学校のメジャーやチアとも付き合い深いだろうから・・まあなあ。

其れに・・・胸って言うか・・乳、おっぱい、ああ、最近はボインって言うのか?
ありゃあ、厳密にいうと脂肪と乳腺の塊で・・まあ、肉っつうか・・・その・・
そうだなあ、解り易く言えばだなあ・・ああ・・何だっけ・・其の・・あ、あれだ・・

=バラ肉=なんだから・・気にすんな・・・そんな、大きいとか小さいとか。
大きくても小さくても対して生物学上の差異は、無いんだから。」

微笑しつつ真面目一方の口調で・・この のほほん兄ちゃんは・・
美樹女史の頭をまるで子供でもいいこいいこするように
くしゃくしゃっと撫でて・・おもむろに其の=暴言を言い放ったのである。

因みにバラ肉とは牛豚のあばら骨の上についた肉の部位の総称で
安いが生姜焼きなんぞにするとその脂がしこたま旨く・・・
とくに豚のほうは学生相手の安い飯屋の常備品な=お肉=で・・・閑話休題。

「え~~~~っ?  ば、ばっ・・・=バラ肉ぅ~っ=」

其れを聴いて同席の女性陣全員が無意識に両手で
其のおっぱいの辺りを抱え込み何とも憮然とした表情で此の 
のほほん兄ちゃんを睨んだのは言うまでもない。

$のすたる爺の電脳お遊戯。

其れに気づいてるのか気づいてないのか
此のけったいな兄ちゃんは膝の上で朦朧としつつ、
バラにくぅ?ばらってあのぉ薔薇ぁ・・なぞと
意味不明にして幼児退行な独白を呟く=美樹=嬢をあやすように続ける。

「へえ、そうでしたか、と・・知りやせんでしたねえ・・そうですかあ・・
 乳ってのは・・脂肪と乳腺・・言ってみりゃあバラ肉ですかぃ・・
んなこたあ、あっしゃあ夢にも思わねえもんで・・ああ、そうでがすか。
大きいのはありゃ塊で、薄いのは、ああベーコンって奴で。

へえへえ、男ってのはしゃあもねえもんですねえ・・・
脂身触って、いやんばか、なんつって言われて喜んでって
こりゃあ、掛け値なしの・・まあ、馬鹿ってえもんで・・・ねえ、旦那ぁ。」

聴く人が聞けば一発で判る、古典落語=青菜=のなかの
鯉の洗いを初めて喰った植木屋が漏らす爆笑物の述懐の部分を
思いっきり鯉の洗いとバラ肉の生産物を器用に入れ替えて
往時人気の小朝の落語風に滔々と独演じはじめたのだ・・其れも真顔で。

此の席の連中より先に、カウンターの中で料理していた此処の親父
まあ、下町育ちっぽいちょい無口な親父が・・思いっきり・・吹いた。

「に、兄ちゃん、や、やめてくれっ・・
ほ、包丁が・・どっかいっちまうわあっ(笑)」

其れに釣られて、其のパロディの大元を知ってはおらぬものの
女性陣の反応と居酒屋の親父の大笑いと膝の上の美樹女史の
バラ肉ってえ・・薔薇のぉ・・なあにぃ・・とか、言い続ける酔っての天然ボケと
緊張感とくだぐだ感に満ち溢れた妙な場の雰囲気に触発され・・
3回生の兄ちゃんが笑いだし・・徐々にその笑いは全員に伝染し・・・

て、哲っ、おま、飲みもしねえで何言いだしやがんだあっ・・とか

ひっど~ぉい、哲先輩、そんな目で見てたんですかぁ~・・とか

ば、バラ肉って・・学食の生姜焼き食えなくなりそうじゃねえかっ・・とか

い、言うに事欠いて=バラ肉=っすかあっ?先輩っ!・・とか

あ、あたし、豚のほうかしら、牛の方かしら・・いやん、もうっ・・なぞと

無茶苦茶な談論風発、狂騒的罵言の投げ合いに発展
瞬時に=乞食宴会=どころか=殿、大ご乱心大会=レベルに到達し
最後は、笑い疲れが幾分脱力感として残らんばかりの莫迦騒ぎに。

で、もって、其の莫迦騒ぎにひょいひょいと茶々を入れつつ
日本酒コップにあけて手酌で飲みはじめた此の=先輩=は
面白そうにのぞきに来て、サービスだ、と親父が呉れた
マヨネーズ付きのスルメをもぐもぐ如才無く咬みながら・・・
彼の膝を枕にちょい涙目で微笑みながら眠っちゃった
美樹女史の頭をさっき同様、そおっと優しく撫でてやり・・

「どうも・・一席の・・・え、おあとが宜しいようで・・」 

そう呟いて、ちょいと悪戯っぽく、にこっと笑った。

追加の瓶ビールしっかり1本キープしつつ手酌してた管理の深沢が、
其の妙に子供っぽい笑いと膝の上の美樹女史の寝顔を見比べ・・胸中で密かに・・

そんなの・・=あの子=がつくってきたお結びだから
何も言わずに喰ったんだよね・・ねえ、哲くぅん。
まあ、前から女の子には基本優しいけどさあ・・・
今回のはちょっと特別ってことなのにさあ・・・
誰も気づかない、ニブちん揃いなんだからさあ・・・こいつら(笑)

なぞと、さり気なく感想に冷笑を交えてひとりごちたあと・・・
美樹女史を妙に優しげな眼でみている此の=先輩=に向かい
此方は歌舞伎の大向こうからの掛け声に似せた様な声で

・・・よっ、吹奏一(いちっ) 女殺しっ・・と、

此れも小さく呟いて笑ったのを耳にしたのは、
さて、誰かいただろうか居なかっただろうか。


で、此の5月のドリル合宿前の奇妙な事件と
其れに続くぶっ壊れた飲み会は、此れ以降、
大きく尾ひれが付きまくって部内で語られることになる。

まず、翌日、女子部員の比率が9割近い木管楽器群の
セクション練習で此の話を聴いたサックスの牟田口が、
練習に参集した講堂会議室の木管女子部員を見回しながら
感に堪えぬ様な微笑で=バラの苑(その)満開?=と
珍しくも詩的(笑)に表現して爆笑とひんしゅくを買ったことで
話はさらに大きく拡大しつつ全部員に流布されることとなり

で、今度は口の悪い金管の男どもが女子部員の、
まあ、乳の大きさを比較しつつ推定Dカップから上を密かに
=バラ組=と名付け・・・それ以下を=前原さん=
つまりバラに至らぬ・・まあ、胸の無い=貧乳姉ちゃん=、と
類別・品評して密かに楽しんでたのが明るみに出、
首謀者悉くきついお灸を女子から据えられたり、てな事もあり

此の一件は若い男女が集まった集団ならではの他愛ない莫迦ネタとして
かなり長期間話題にされ続けると言う結果に成った。

実際、其の後も暫くの間、密かに女子部員の中でさえ
ね、あんたどっち?・・薔薇、其れとも前原?・・と、言う
妙に張りあってるような茶化しあうような会話が暫く続いたとこをみれば
案外女子部員のほうも満更では無かったらしい

・・まあ=薔薇該当者=の方(ほう)は特に(笑)。

で、何時しか此の騒動は往時と言うか、ちょい以前流行していた歌謡曲にちなみ
=五月のバラ(笑)=騒動と、おちょくられつつも長く語り伝えられることになる。

が、其の大元の原因を作った=先輩=はと言えば・・・
翌日以降、すっかり己の発言を忘れたかのように・・・
俺、バラ肉好きなんだよなあ・・特に、フキノ屋の生姜焼き・・などと
近隣にある行きつけ学生安食堂のメニューなぞ賛美しつつ
=薔薇の苑(その)=って、高そうな飲み屋にあるよなあ・・とか
のほほんといつも通り、実に他愛のない述懐を漏らしながら
嬉々として、其の・・=バラ組選考審査=に加わったりさえしていた。

で、不思議なことに此の朴念仁の推測と言うか、観察眼と言うか
=薔薇(笑)のサイズあて=的中率が殆ど百発百中に近い確率で在ったため
後輩一同が瞠目と同時に畏敬の念を抱き、何時しか此の朴念仁は
=薔薇鑑定家の哲先輩=なる幾つ目かの異名を奉られることに成る。

で、そんなある日、低音金管のパート練習が終わった夜のこと。
結構ハードな曲を休みなしに吹き続けて脳に振動でも回ったのか
二回生のチューバ吹きの川崎と言う幾分剽軽な後輩が・・・

止せばいいのに、以前から興味持ってたと思しき風情で
同じく幾分、ぼ~っとしていた此の=先輩=にひょいと何の気なしに・・・

「・・先輩、先輩・・あのっすねえ・・・あのおちびちゃん。

 フルートの弓丘って・・どっち組ですかねえ・・・
 小さいのに結構・・在りますよねえ・・俺、バラだと思うんすけど。」

と、ある意味凄まじく的確なパッシングショット・・・もしくは、
ど真ん中ストレートの絶好球を無意識に放ってしまったのである。

正直に言えば・・既に此処までの段階と幾つかの騒動を経由することにより
あの、少女マンガおちびちゃん=弓丘稚美=嬢は・・・さもあらん、としても
実は、此の朴念仁若親父の=先輩=の中にさえも、ある種のもやもやした
何か、 ちょいピンク色で切ない感じの気分が奇跡的に創製されていたらしい。

まあ、周囲よりも当の本人二人が一番其れに気づいていないあたりが
此の後も幾つかの=騒動=を巻き起こす事になるのだが。

で、其の時=先輩=の・・・暫く沈思黙考したかのような表情の後に出てきた答え。

「うん・・まあ・・ちょっと蕾(つぼみ)っぽいけど・・・=薔薇の女王=?」は

$のすたる爺の電脳お遊戯。

女っ気なしでは吹奏一と此処まで言われ続けていた此の=朴念仁=の口から
直接無警戒でぽろっと漏れた一言と言う、此れも奇跡の莫迦ネタであっただけに
翌日、自由練習に来た男子部員のなかに光の速度で拡散し・・・在ろうことか
わざわざ弓丘稚美嬢の=バラ(笑)=をこっそり視認しに来るやつが出るに至るほど
引き続き、此の吹奏の音楽莫迦おとこたちを悶々とさせるに至ったりもした。

=隠れボイン=(往時巨乳と言う言葉は存在せず~笑~)、弓丘の麗名と共に。

其れと同時に・・此の世にも珍しい男女の珍無類な組み合わせに対しても・・・

=先輩=・・実は好きものなんじゃない?、女の子に興味無さそうな顔して・・
あのちっこい子に=大バラ(巨乳)=って、マニアには堪んねえだろうなあ・・
やっぱり、哲つぁんも男だわ・・でも大丈夫けえ?体格的物理的に(笑)
なんか、児童虐待みたいになりませんかねえ、其の・・×××の時に・・

なんぞと言うちょい淫靡な囁きが男女問わず伝播するところとなり・・
此の=お花畑おちび=と=朴念仁おとこ=の微妙な関係?も、半ば確定?、と
全ての部員が期待感と尋常ならぬ興味を以って見守る結果になったのは、
まあ、時の勢いと言うか成るべくして成ったと言うか・・・・

一説に依れば、10代中盤から20歳そこそこの男女間に於いて
一般的に=恋=と呼ばれる関係が発生するためには3つの条件が在るらしい。

一つ、男の子が女の子を意識する事。
二つ、女の子が男の子を意識する事。
そして、最も重要にして必須の成立要素とは・・
三つ、周囲が其れを意識して興味を以って煽ること。

此れによって生まれるのが恋と言う一連の精神的化学反応であるとすれば
此のお花畑ちゃんと朴念仁くんは其の典型にして最高の症例だったのかも知れず

で、此の妙にほんのりして何処か浮世離れな二名の関係は
予想通り、後に伝説となるその年の5月の=ドリル合宿=での
吹奏楽研究部史上稀にみる=爆笑宴会=と
其の前後幾つかの
幾分甘酸っぱく気恥ずかしい事象によって
ほぼ完成する事になるのだが・・


ただ、・・・恐らくそういう感情に関して
とことんまで鈍く、
ある意味誰よりもお子ちゃま・・
かも知れない此の二人は
周囲の騒ぎや生暖かい視線に
一切気づくことが無かったし


其の合宿で起こる、ある意味の大椿事など・・・
想像だにせず、ひたすら=のんびり=と日々を送るのだった。




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