※この記事は、11月27日に掲載した「ライターコラム」を、特別に無料で再掲したものです。
貴方野チェロス氏の「ぜひ多くの方に読んで頂きたい」という願いのもと、今回の更新に至りました。
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天下一閃を導入したホールへの手紙
Daiichiが世に送り出した衝撃作『CR天下一閃』は、かつて一発台を愛したパチンコファンたちを狂喜乱舞させる出来栄えだった。
確変も時短もなく、一発の玉が1つの穴に入賞することで出玉を4千発以上獲得できるような一発タイプの新機種が、20年もの間ほぼ出なかったにも関わらず、「最も好きなパチンコジャンルは一発台」と一貫して言い続けてきたチェロス自身も、もちろんその1人であった。
関東地方に設置された10月17日から1ヶ月半の間、時間さえあれば天下一閃ばかりを打ち続けてきたオレが、いまホール関係者のみなさんにどうしてもお伝えしたいこと、お伝えしておかねばならないことを今回は書きたいと思う。そしてパチンコファンのみなさんにも、この記事から天下一閃という台の本質とあり余る魅力について、あらためて考えていただけたら幸いである。
天下一閃は、現時点で決して高稼働とは言えない状況だと思う。地域差はあるだろうが、『CR真・北斗無双』や『牙狼シリーズ』のシマ状況と比べてしまうと、賑わいの差は悲しいかな歴然と言える…。しかし、どうか勘違いしないでいただきたい。そもそも古くから『一発台』とは、デジパチや羽根モノと同じ『パチンコ』という枠でくくられてはいても、機種の特性から遊び方まで、それらとはあまりにも何もかもがかけ離れたジャンルなのである。
一発台が、ほぼ全てのホールで1シマ以上設置されていたおよそ25年以上前…。あの当時だって、一発の玉が1つの穴に吸い込まれるまで、ただひたすら玉を消費し続けるだけのあんなヒリヒリするトチ狂ったパチンコ台を、朝から晩まで打ち続けているような人がそんなにたくさんいただろうか…? 答えは「NO」である。
本来一発台は、待ち合わせまでに少しだけ時間がある時や、仕事帰りのお父さんが「夜からちょっとひと勝負」みたいなノリで打ってくれれば十分とされていたジャンルなのだ。ホールにとっては、そんな程度の稼働でも十分儲けを出せてしまうのが一発台の凄さなのである。昼間っから一発台がフル稼働なんて、そんなホールがもしあったとしたら、逆に何か悪いことでもやってんじゃねぇかと疑われたものだ。そういった特性を踏まえると天下一閃は、ここ20年以上もの期間を経てジリジリと業界全体に浸透していった『現代パチンコの常識』が、まったくもって通用しないジャンルといえるのだ。
しかも、である。ここからは本当に重要な話なので、よく聞いてほしい。
これまで20年以上もの間、パチンコ界ではほとんど液晶デジパチしか発表されてこなかった。その間に、かつて一発台をこよなく愛していたタイプのパチンコファンたちは、すでに大方パチンコという遊びから足を洗ってしまっているのである! せめて10年前なら、いつか出るであろう一発台に夢を馳せながら、「こんなもん、クソしょうもない…」と文句をタレつつも我慢して、デジパチを楽しんでくれていたファンも少なからずいただろう。しかし、20年はあまりに長すぎた…。いつからか確変デジパチが過激化の一途をたどり、一発台なんか足もとにも及ばないような金額のやり取りになってしまった時。悲しみに暮れながら大好きだったパチンコと決別してしまった一発台ファンが、全国に相当数いたのは100%確実なのである…。
だから『CR天下一閃』は、オールドファンに向けた台と考えてはいけないのだ! かつて一発台を愛したオールドファンたちは、もうホールにはほぼいない。今、ホールに残っているオールドファンは、25年前からすでにデジパチが何より大好きだった人たちなのである(もっとも25年前だって、一発台ファンよりデジパチファンの方が圧倒的に多かった)。
だから『CR天下一閃』を、若者にもオールドファンにも受け入れられなかった時代にそぐわないパチンコ台だと、軽々しく判断するのは大きな誤りだと強調したい! この台が今置かれている正確な状況をズバリ言おう。それは、これまで一発台を知らなかったお客さんや、確変を搭載したCRデジパチが一番面白いと信じきっているファンたちに、一発台という未知のパチンコジャンルのとんでもなく奥深い面白さを、少しずつ伝えていこうとしている真っ最中なのである!!
そこで今、この台を導入しているホールさんへ、オレからいくつかの提言をしたい。とりあえずこの台は、今の時点でどんなに稼働が悪くても、最低2台はホールに残すことを強く強くオススメする。なぜ1台ではダメなのか? それは一発台というジャンルが、運任せ要素の強いデジパチとはまったく別物だからである。自らの技術を駆使して役モノ内へ玉を飛び込ませ、勝利を掴む…。そんな、運だけじゃなく『実力』が重視されるという点がゲーム性の根幹にある以上、勝負する台を客にしっかり選択してもらうという行程が、楽しいプレイを実現するためには必要不可欠となってくるのだ。
そして、現行機で『10分あればひと勝負できる機種は天下一閃以外にない』ということもよくご理解いただきたい。たとえばここ数年、残業などで帰宅が遅くなったパチンコファンに、「夜、22時からひと勝負しよう!」といった選択肢はほぼなかったと思う。そんな人がいたら、むしろ結構危険なレベルのパチンコジャンキーであろう…。しかし天下一閃なら、22時から40分も打てれば十分すぎるほどの勝負感を味わえるのだ! これは今後なにかのハズミで、天下一閃の面白さに気付けたファンが新たに現れた時、時間を選ばずホールへ足を運んでくれる大きな動機になるハズだ。だから、いま客がついていないからといって、不用意に撤去してしまうのはあまりにもったいない選択なのである。
そういった天下一閃の強みを、最も長期的に活かすことができる営業形態。それは、やはり『1回交換』ではないだろうか? 短時間勝負で戦える天下一閃の魅力を活かすためには、長時間遊技でプレイヤー側に生じるメリットは極力消し去ったほうがよいからだ。もし1回交換というルールに抵抗があるホールさんがいたら、べつに今すぐ変えなさいとは言わない。年明けぐらいまでは、まぁ無制限営業でもいいだろう。それ以後に、思い切って1回交換ルールへ電撃的に変更することで、お客さん側の「もう1度ためしに打ってみようか?」という意欲の喚起にも繋がるだろうし、ここで上手に使えれば長期的に天下一閃を愛してくれる根強いファンをつけることもできるハズだ。
今、まだ天下一閃の面白さに気付けていない人たちが相当数いる。そして、デジパチ全盛期であっても一発台をずっと見つめ続け、自宅で一発台の中古機を山ほど打ち続けてきたオレだから断言する。今後、もしどこかのメーカーが一発タイプの機種を作ったとしても、正直言って天下一閃を越える台を作ることはおそらく難しいだろう…。それぐらい、この機種はメチャクチャよくできているのだ。ドツキや揺らしや磁石ゴトがこれだけやりづらく、それでいて玉の動きをこんなに楽しめる役モノなんてこれ以上想像できない。だからこそ、天下一閃はすべての設置ホールが当面は大事に扱うべきなのだ。何より、アナタのホールのために。そして、パチンコを愛するすべての人々のために。
最後に……。かつて、一発台がホールで市民権を得ていた頃。一発台コーナーにしっかり客をつけていたホールの1台あたりの利益率は、打ち込み玉数に対しておおよそ3%ぐらいで稼働させていたそうだ。そして、どんなに面白い大人気機種であっても、10%も回収したら客はブッ飛んだという…。そんな『一発台の常識』を付け加え、今回のコラムをシメさせていただきたいと思う。
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