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コンビニやスーパーで焼きそばパンを探すようになるコード【十三機兵防衛圏ネタバレ感想文】

2020/02/09 22:46 投稿

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  • 十三機兵防衛圏
  • ゲーム感想

十三機兵防衛圏(http://13sar.jp/)が面白過ぎて、生活リズムが一週間崩れ続ける羽目に陥ったので、そういう話をします。

ネタバレに配慮する気は一切ないです。配慮したレコメンドはプロアマ公式非公式含めていくらでもあるので、少しでも興味があるなら、今すぐブラウザバックしてそちらを一読することをお勧めします(絶賛が多過ぎてツイッターの検索候補にステマって文字が出るの笑っちゃった)。一番のお勧めは、体験版ダウンロードしてそのまま本編になだれ込むことですが。30時間程度で終わるし周回プレイも不要だしみんなやってるよ?(売人顔)








ストーリー表現媒体としてのゲーム
アドベンチャーゲームと銘打ってはいるものの、エンディングは一通り。分岐もバッドエンドもなく、選択肢で変わるのは晩飯のメニューとか自販機で買うジュース程度。それでも、このストーリーはゲームで描かれるのが最良だったと思います。

本にしろ映像にしろ、受け手に可能なのは、最後まで物語を追いかけるか途中で止めるかという選択しかありません。
対して、ゲームという媒体は、受け手の積極的な介入を必須とします。いくらリアルなオープンワールドであっても、プレイヤーがコントローラーで操作しなければ世界は静止したままです。コントローラーを握ることは、本のページをめくったり映像の再生ボタンを押したりすることとは決定的に違います。その世界のルールの中であれば、プレイヤーは何をするのも自由です。ラストダンジョン前でカジノに興じたり、同じステージを何回も繰り返してベストレコードを狙ったり、変な選択肢を選んで殺されたり、主導権が受け手に委ねられている。文字通り、世界のコントローラーになるわけです。

結果として、プレイヤーそれぞれの趣味嗜好が介入する余地が生まれます。設定上は弱いキャラクターにドーピングアイテムを突っ込んで最強にしたり、ブイズ統一パーティでレートに挑んだり、逆にどこまでも最適解を追求し続けたり。自分で操作することで醸成される思い入れが、十人十色のゲーム体験に繋がっていく。

無関係だった登場人物達のストーリーがふとした拍子にぶつかる瞬間が群像劇の快感ですが、本作においては、自らキャラクターを操作して物語を進めていくことで、自分がそれを引き起こしたような錯覚すら覚えます。そういった鮮烈な没入感が、キャラクターや設定、ひいては物語全体に対する思い入れを醸成させ、バラバラの時間軸と複雑な設定の織り成すストーリーに振り落とされず、しっかり読み解きたいというモチベーションに繋がります(そういった需要に応えるように用意されている究明編の整理されたUIが凄い2020)。

入り乱れる時系列や視点の難しさなど、ゲーム以外の媒体では表現が難しい要因もあるかと思いますが、自ら介入するという媒体の特性も、本作のストーリーがゲームで描かれるのが最良だったと思える所以です。

以降はストーリーの内容に踏み込んでいきますので、まだクリアしていない方はすぐにブラウザ閉じてエンディング見てね。














ニュートラル
東雲諒子はとんでもねえ女、というのは既プレイ者の感想から漏れ聞こえていたんですが、実際に目の当たりにすると本当にとんでもなくてビビりました。2188年の東雲博士が当時の井田鉄也に失恋、人類に絶望してDコードを仕込んだという下りを読んだ時、あまりの直情っぷりに最初は文章が頭に入ってこなかった程。今回の東雲先輩もその直情っぷりをしっかり受け継いで、自分を蔑ろにした井田先生に対する躊躇が全くなく、水なしでおくすりのめてえらいとかドヤ顔ダブルセントリーガンとか笑ってる場合じゃない。

井田先生は井田先生で、自分の如月兎美の為なら世界どころか生存している如月本人すら犠牲にしてしまえる人間なので、殆ど描写のない2188年のオリジナルがどれだけこっぴどく東雲博士を振ったのか、想像するに余りあります。

冷静に究明編を追いかけると、この二人の所為で人類の生存難易度がエクストリームになってしまったと言えるんですが、作中で明確に彼等を悪だと断罪する描写はないんですよね。全ての真実を知っても登場人物達は彼等を責めない。シナリオ側からは、登場人物達の価値観についてジャッジしないことを徹底しています。2188年の沖野と比治山が恋人同士であることについて何の説明もなかったことは、昨今の風潮からしても珍しくないなあという印象でしたが、人間とドロイドやAIといった機械存在の位置付けにすら上下を付けていないのがあまりに当然と言った顔で描写されているので(ドロイドに意識の移った如月の狼狽は死んだと思っていたのに生き返ったことに対してであって、機械になったことはすんなり受け入れています)、エンディングでAIである美和子ちゃんと再会した時、冬坂さんや如月と同じ喜びを僕も自然に感じられました。

本作で描かれたのは悲壮な未来やテクノロジーの是非ではなく、登場人物達それぞれの人生です(価値観のジャッジはしない一方で、網口君と井出先生しかり、冬坂さんと雪村先生しかり、同じ遺伝子を持っていても違う人間なのだと作中で明言したことは示唆的です)。
ラスボスや黒幕ではなく、各々の目的を持った登場人物一人ひとりがストーリーを牽引していく様を、十三人プラスアルファ分自らの手で追いかけてきたからこそ、思い入れはひとしおです。それを誰かに責任を押し付けるような語り口で濁されることがなかったからこそ、渚のバカンスをバックに穏やかに描写される旅の帰結を、晴れやかな気持ちで味わうことが出来たのだと思います。



積み上げた日々が届く先
好きな台詞やシーンについては枚挙に暇がありませんが、因幡深雪の、「どんなにテクノロジーが発達しても、奇跡は人が起こす」という台詞が特に好きです。
1945年からの40年ですら、比治山君や三浦君が驚いたように埒外の進歩と言えるし、85年から現在について考えても、世界は全く違った形に進歩を遂げています。更に40年後には、今からでは全く想像もできない世界になっているに違いありませんし、2188年なんて本当に人類が滅亡していてもおかしくない。

それでも、それは40年経った瞬間にタイムスリップしたみたいに切り替わるのではなく、人類が一日一日を少しずつ積み上げていった結果であり、14600日の軌跡です。そうした日々の軌跡が歴史であり、遥か宇宙の彼方まで届く奇跡です。ならば、生活リズムをゲーム一本にぶっ壊された一週間も、きっとどこかに届くのでしょう。それは人生の肯定で、人類に対する賛美です。遥か未来に届くまでの最初の一歩が今日なのだと、0%から100本弱のストーリーを追いかけて少しずつ真相を掘り進めた日々が、5000年のループの末に外宇宙の遥かな惑星の大地に自らの足で立つに至った十三人の背中が、雄弁に語るのです。



おわりに
一週間のほとんどをゲームに費やしたことを何とか正当化しようとする不様なオタクの長文にここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

ヴァニラウェア作品というと、朧村正のBGMが滅茶苦茶良くてサントラだけ持ってたという程度の付き合いしかなかったのですが、周りのフォロワーや著名なクリエイターが、ヴァニラウェアの新作が発表される度に湧き立っていた理由が分かった気がします。海外ドラマみたいな話を誰もやらないの何でだろうなって思って実際に作ってみたらその理由が分かったっていう神谷氏のインタビュー通り、とんでもない労力と熱量のゲームだったし、ブランドの新作が発表されたら僕も湧き立つに違いない位滅茶苦茶面白かったです。10万本と言わずもっと売れて、メギドのどら焼きみたいにコラボ焼きそばパン出してほしい。

そもそも興味を持ったきっかけが、一周30時間程度で全部終わるという、昨今のコンテンツにしては珍しい口コミからだったんですが、プレイ中は次々に予想を覆され続けた所為で、追憶編をコンプリートしても本当に終わるのか不安だったくらいです。ちゃんと終われているのがエンディング見てこうして感想書いてる今でもちょっと信じられないレベル。あまりに潔く終わり過ぎて続編や別展開などは望むべくもないですが、2月末にはサントラが出るから、それを楽しみに生きていこうな。


それじゃ最後に

十三機兵防衛圏最高~~~!!!!!


バーイサンキュー。


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