福井のどこかにボクはいる・・・多分

【小話】目を閉じた世界

2013/02/22 22:50 投稿

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「目を閉じたら何が見える?」
 そんな質問されたら、きっと誰もがこう答えるだろう。
「真っ暗で何も見えないよ」
 でも、僕は見える。真っ暗な中に、白い輪郭線が……


 僕は目を閉じると、ついさっきまで見ていた景色の“輪
郭”だけが白い線になって浮かび上がってくる。それは、
現実逃避したくてもさせてくれない、自分への圧力みたい
な不可思議な能力。
 唯一の救いは、立体的じゃなく、無機質なものであるこ
と。例えて言えば、白と黒の絵の具で描かれた絵。そう認
識することで、改めて、自分が目を閉じて暗闇の世界にい
ることを実感する。


 でも、ふと思う。
 町のど真ん中で、目を閉じてみたらどうだろう、と。
 きっと、暗闇の中でいくつもの白い線が、有機物を無機
物に変え、無機物は平面の中に閉じ込められる。
 そして、僕は……
 そんな考えが頭を支配し始め、いつしか、僕の足は動き
始めていた。


 比較的、人通りの多い所で、僕は目を閉じた。
 今まで目に見えていたものが一瞬で消え、暗闇と化す。
しばらくすると、白い線が現れ、一筆書きのように様々な
方向に動き出す。重なり合って見える人の流れ、その場で
動かない自動車、色をなくした看板……
 そして、静寂。


「へぇ、変わった能力だね、それ」
 静寂を打ち破る声。暗闇の中に、白と黒の世界のはずな
のに、見事に色をまとった人の姿。
「逃げられないんだ、どこからも」
 近づいてくる人の顔に、僕は記憶を必死に辿った。誰
だ、この人は。


 生きているのか?


「あ、目を開けたら、ボクは消えるよ。どうやらボクは、
君の暗闇の世界の住人らしいから」
 面白そうに話す彼は、僕のすぐ目の前に立つと、
「しょうがないよね、君は“君の現実”からは、逃げられ
ないんだからさ」 と、小さく呟いた。


 思わず、目を開けた。
 僕にぶつかったサラリーマンが不審げに僕を睨み去って
いく。誰もが、ただ立ち尽くしている僕を不思議そうに
見、でも、何も言わずに通り過ぎていく。
 それが、僕の生きている現実だ。
 じゃあ、彼の言葉は……
 彼の存在は……


 僕は、足早にその場を離れた。少しでも早く、本当の現
実世界に戻りたくて。



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【さらにしょうもないあとがき】
 前回、某有名ボカロPって書いたんで、ちょっとだけ意識して、 <目を瞑る話> っぽく、書いてみましたwww
 直球すぎるけどなwww
 実際に<目を瞑る話>ってあったら、すみませんm(_ _)m
 まぁ、パクれるほどの文才もないけどさ・・・


 さて、暗闇の中に出てきた少年ですが、ボクの中ではちょっと考えていることがあります。
 でも、残念なことに、続きを書かない人なのでwww
 ただ・・・
 たとえ、暗闇の世界の住人であっても、現実世界で主人公とは関わりのある人間だと思います。だって、本人さんが言ってるから。
「君は“君の現実”からは、逃げられない」
って。いったい、誰だったんでしょうなぁ~


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