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「勇者の冒険」第3回 デジタルゲーム事業部 妄想記録【96日目】

2014/10/16 13:00 投稿

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こんにちは、すすろです。
リレー小説の第3回を書いていきたいと思います!
第2回はこちら
http://ch.nicovideo.jp/neet-coltd/blomaga/ar638016



リレー小説「勇者の冒険」第3回/全10回

さあどうしたものか。
想定していたよりもはるかに質の低い武器を手に、俺は計画の変更を迫られることになった。
俺の計画では、このまま森を直線方向に進み、「緑の泉」と呼ばれる場所に出る。
そして、その周辺に生息する、グリーンドラゴンを1体狩って試験終了とする予定だった。
だが、この武器でグリーンドラゴンを相手にするには、少々不安がある。

試験の際に渡される武器はランダムであり、したがってどのようなリプルが発動するかはわからない。
また、試験用の武具によって発動するリプルは、さほど強力なものではない。
よって、リプルの効果に頼らない計画を立てるのが鉄則である。
試験用の武器はランダムとはいえ、各地域によってある程度の傾向があり、この村では、ほぼ刀剣類が選択されることはわかっていた。
そうなると、グリーンドラゴンは最適な獲物だと思われる。
常に単独で行動し、飛行せず、斬撃に弱い。
リプルに頼らずとも、ある程度の性能の剣であれば、狩るのはたいして難しくない。

実際、俺はグリーンドラゴンを以前に倒したことがある。もちろんリプルなしで。
勇者の証を持たない者のこの山への進入は、いちおう禁じられてはいるが、ある程度の年齢に達した者に対しては、たいていの大人は黙認するのが普通だ。
この村で一人前になるということは、魔物を狩る力を身につけるということであり、若者が禁を犯して山に入るのも、その練習段階だとみなす風潮があるからだ。
だから、リプルを用いないで山の魔物を狩る経験は、俺もそこそこ積んでいるわけで。
山の入口周辺に生息する、スライムやシッポコウモリ、浮遊クラゲなどなら、このオンボロ武器でも、いやむしろ素手でも、楽に狩れる自信はあった。

それならなぜ、それらを狩らないのかと疑問に思われると思う。
試験に合格するだけなら、それで十分なのだ。試験に魔物の指定はないのだから。

試験に魔物の指定がないのは、実際のところ、全受験者に証を与えるという目的のためだろう。
都市以外では、いまや勇者の証なしで、つまりリプルなしでの生活は困難なのであり、取得が必須な状況になっているからだ。
こんな辺境の村では、村から一歩出れば、スライム程度の魔物はすぐに出てくる。
農村では畑を魔物の害から守るために。ひどいところでは、村の中にも頻繁に魔物の侵入がある地域もあるという。
そういった魔物は、だいたいリプルなしでも対応できるほど弱いが、毎日のことなので、リプルがなければ、倒すのには効率が悪く、生活に支障が出てしまう。

というわけで、勇者職につかない者も、成人であれば勇者の証は大多数の者が持っている。
勇者の証は身分証明書にもなるので、持っていれば便利だから、都市住民でも一応、証の取得だけはするようだ。
そういった人々は、「ペーパー勇者」「スライム勇者」とよばれる。

「スライム勇者」という名称は、どこからきているか。
それは、試験の際に狩った魔物の名前が、「証」に記入されることが原因だ。
そういった人々は、とにかくさっさと試験に受かればいいので、スライム等の弱い魔物を狩る。
そうすると「証」の「狩猟魔物名称」欄に、「スライム」と書かれる。

「スライム勇者」。実際に「勇者」にならない人なら、それでいい。
しかし、「勇者」にとって、「証」は己の実力を示す証明書にもなるのであり…。
そこに「スライム」と書かれているのは、非常に見栄えが悪い。
5年経てば更新試験があり、その際に魔物名も更新されるものの、5年間は「勇者」でありながら、スライム呼ばわりされ、肩身の狭い思いをしなければならない。
このような厳しい事態を避けるため、俺は、「証に書かれていても恥ずかしくない等級の魔物」であるグリーンドラゴンを倒そうと思ったのだ。

だが、想定外の事態が起こった今、ターゲットを変えるべきかもしれない。



以上、第3回を終わります。
第4回に続きます。




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