2015年8月8日(土)に公開される映画『彼は秘密の女ともだち』は、主人公が親友の夫のビミョーな女装に出くわすという、なんとも言えないシチュエーションからはじまる物語です。
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■親友の夫が女友だちになった日
主人公は、平凡な主婦クレール(アナイス・ドゥムースティエ)。
7歳からの親友ローラを病気で亡くし、悲しみに暮れています。そんななか、久しぶりにたずねたローラの家にいたのは、赤ちゃんをあやす見知らぬ女性。ベビーシッターかと思いきや、彼女こそローラの夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)の女装した姿だったのです!
ダヴィッドはあわてて「幼い娘には母親が必要だから」とごまかします。クレールは戸惑いながらも、女装したダヴィッドを「ヴィルジニア」という女性の名前で呼ぶことに。
それから、自分の夫には秘密のまま、新しい女友だちとして密会を重ねていきます。
■ヴィルジニアが女装にこだわる理由
映画の中でとくに楽しそうなのが、彼女たちの「女同士」ならではのやりとり。
服選びを手伝ったり、メイクのコツを教えたりしながら、絆を深めます。ローラを失った寂しさを共有するだけでなく、クレールにとっていつしかヴィルジニアは「第二のローラ」ともいえるほどの存在になっていくんです。
いつもカジュアルな格好のクレールとは反対に、ボディラインが強調される服を着たがるヴィルジニア。がっつりメイクして、見えない部分の脱毛だっておろそかにしません。
そこまで女装にこだわるのは、「自分に嘘をつくのがイヤだ」という思いから。「私は女よ!」というヴィルジニアの純粋な主張が胸に響きます。
■「女友だち」に感化されて、人生が輝きだす
そんなヴィルジニアに感化され、クレール自身にも変化があらわれます。
地味だった彼女が赤い口紅やワンピースをまとい、色っぽさを漂わせていく姿こそ、この映画最大の見どころ。一緒に過ごす女友だちの影響って絶大だな、と思います。
また、外見の変化と並行して、クレールの内面にずっと隠されていた欲望を自覚していく過程は、スリリングで目が離せません。
そんななか、クレールの密会相手に違和感を覚えた夫ジルが、疑いの目を向け始めます。そして、彼女たちの関係はどんどん複雑に......。
ラストには思いがけない衝撃が待っていますが、「女として」「友だちとして」という枠や常識を乗り越えた先に、シンプルでとても自然な結末を迎えたように感じました。
一度きりの人生を、イキイキと自分らしく生きる素晴しさを伝えてくれる、この映画。
今の自分を変えたい、やりたいことを恐れずにやる勇気が欲しい、そんな人にこそぜひ観てほしいです。
映画『彼は秘密の女ともだち』
公開情報:2015年8月8日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開!
原案:短編『女ともだち』ルース・レンデル著(小学館文庫)
配給:キノフィルムズ
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