行動を起こす源──。それが原動力。

世間からは「なんで?」と思われることでも、本人に聞くときちんと理由がある。そんな個人の「原動力」に迫ります。

──サトツーさんが「ほぼ日」の「カレーの学校」に通い始めたのはいつ?

「去年の秋ぐらい。第1期生です。隔週で全6回の講義を受けるんです。なので、一期がだいたい3か月くらいで終わります」

──どんなことを勉強するの?

「カレーは一切食べなくて、ひたすら座学です。19時半から21時まで、1コマ1時間半。カレー研究家の水野仁輔(みずの・じんすけ)さんが講義してくださいます」

──内容は?

「最初の講義では、カレーとは何か、という話をしてくれます。これはカレーなのか? でも、これもカレーと言える...みたいな。哲学的な感じです」

──へぇ! 結局、何がカレーなの?

「それが、答えは出ないんですよ。その答えは、誰もまだわからないし、きっと人それぞれカレー観が違うから。私は、カレーって"概念"だと思うんですよ。いろいろな価値観、文化、言葉、思いが混ざった『うねり』のような」

──ほかにはどんなことを学ぶの?

「玉ねぎの炒めかたの研究とか」

──それも座学?

「それも座学で。先生が玉ねぎを炒めているのを囲んで、観察するんです。よく『飴色になるまで炒める』って言うけど、その飴色とはなんぞや? みたいなのを実際に目で確かめることができます。ほかにもビジネスの面からみたカレーの講義もあって。カレーのお店を出すために必要な減価率の話とか。とにかくいろんな面からカレーを学べます」

──そこまでカレーを突きつめるなんて、おもしろいね。

「そうですね。カレーが好きな人からしたら、すごくワクワクしますよ」

──全6回の講義を受けたら、最終的にはどうなるの?

「卒業証書みたいなものがもらえます(笑)。『ほぼ日』の糸井重里さんから直接手渡しでいただきます」

──貴重な体験だね。将来カレーのお店出したい、とかあるの?

「ぜんぜん考えてないです。あくまでも愛好家でいたい。ビジネスとしてカレーを見ちゃうと、私は苦しくなっちゃうと思うんです」

──そうなんだ。サトツーさんって、カレー毎日食べてるの?

「はい。毎日食べてますね。朝はヨーグルトとかで軽く済ませますけど、昼・晩にはカレーを食べます。たとえカレーが食べられないときがあっても、持ち歩いてるMYガラムマサラをふりかけたり。ほかにも唐辛子とか持ち歩いています」

──MYガラムマサラすごい。カレー以外でふりかけて美味しかったものは?

「納豆とかきんぴらごぼうとか」

──意外と合うんだね。ところで、いつからカレーにハマったの?

「大学卒業する前からなので、2、3年前ですかね」

──きっかけは?

「これ! っていうきっかけは無いんですよねぇ...。それまでも、ちょいちょいいろんなものにハマってたんですけど、気づけばずっとカレーばっかり食べるようになってたんですよ」

──もともとすごく好きってわけではなかったんだね。

「それなりに、って感じでした。でも、昔から食オタで、食べることは大好きでした。死ぬまでにあと何食食べられるのかなって考えたら、一食一食に超こだわりたくて。だから、大学でも栄養学を専攻していました」

──じゃあ、仕事も食関係?

「いえ、仕事はシステムエンジニアをしています。パソコンを触るのが好きだったので、ずっとやりたかったんです。何かを作ったり、没頭できるのが好きなんですよね。人と接するのが苦手なので...(笑)」

──いままでどれくらいのカレー屋さんに行ったの?

「日本のカレー屋さんはだいたい700件くらいかな。この間は、カレーを食べに福岡と佐賀に行きました。5日間で12、3件くらい回ってきましたよ」

──そんなに食べるんだ! でも、そのわりにはぜんぜん太らないね。うらやましい。

「栄養管理士の免許を持っているので、そこらへんは気をつけていますね。私、カレーって完全食だなって思ってるんです。炭水化物もお肉も魚も野菜もとれるし、塩分のとりすぎも防げるので。あと、歩くのが好きなのもあるかも。この前は、千葉の愛宕から埼玉の八潮まで4時間かけて歩きました」

──4時間も...。それはカレーを食べに行ったの?

「そうですね。愛宕にあるカレー屋さんに行った帰りです。ちょっと歩いてみようか、ってなって」

──すごいねぇ。食べに行くお店は、いつもどうやって見つけてるの?

「食べログで検索したり、カレー好きの仲間から教えてもらったり...。みんな私がカレー好きってわかっているから、何かあるとすぐカレー情報を教えてくれます」

──カレーを食べた感想とかは残したりしてる?

「カレーを写真に撮って、インスタに載せています」

──いままでに行ったお店のなかで、いちばん美味しかったのは?

「それすごく聞かれるんですけど、決められないんです! それぞれのお店に、それぞれのカレー観があるので...」

──なるほど。リピートするお店はあるの?

「たまにリピートすることもありますけど、基本的には、まだ行ったことのないお店に行くことが多いです。好奇心が強いので、未知なものに出会いたい。小さいころは好奇心が旺盛すぎて、虫とか食べてたんです(笑)。気になるものがあると、口に入れたくなっちゃって。そこらへんの草とか。どんな味なんだろ? って」

──虫!?

「アリとか。すっぱいんですよ(笑)」

──どんぐりなら小さいときに食べたことあるけど、虫はないなあ...。

「最近は、ゲテモノが食べられるお店に行くことがあります。ミャンマー料理の店では、タケムシを揚げたものを食べました。『かっぱえびせん』みたいで、美味しいですよ。あと、昨日は羊の脳みそを食べてきました。白子みたいなクリーミーな食感」

──チャレンジャーだね(笑)。カレーだと、どんなのがいちばん好き?

「南インド系のカレーがいちばん好きです。インドのなかでも、東西南北で味が違って、南インドはスパイシー。あと、日本のカレーってドロドロコテコテしてるけど、水みたいにサラサラしてます」

──へぇ。インドカルチャーに興味は?

「最近興味が出てきて、ヒンディー語を勉強したくて、本を持ち歩いてるんです。いまは文字を書く練習をしています。来年インドに行く予定があるので、挨拶とかかんたんな言葉は言えるようにしておきたいなって思って。やっぱりインドの人とカレーについていっぱい話したいじゃないですか」

>>連載「原動力を聞く」を読む

撮影・取材/グリッティ編集部

こちらも読まれています

1日1人は新しい人と出会うっていうのを自分に課してる。佐藤ドンドコの原動力

東京女子の「30歳までに結婚したい」に世界からの処方箋 #sponsored

髪は女の命じゃなかった



【参照サイト・画像・動画へのアクセスはこちら】

RSS情報:https://www.glitty.jp/2017/08/063797sato2_gendoryoku.html