心理カウンセラーの小高千枝です。
若いころの自分を振り返ると「もっともっとの欲求」がとても強かったな、と感じることがあります。
「欲」のバランスを整えながら、上手に付き合っていく「欲」が悪いことだとは思っていません。「欲」があるからこそモチベーションも高まり、何かを成し遂げようとする力もわくものです。「欲」のバランスを整えながら、上手に付き合っていくことって大切なんですよね。
20代は若さゆえの勢いとともに、心の根底には認めてほしい気持ちや、自信のなさ、不安感が背中合わせだったかもしれません。
ただ、自分のなかでざわめく葛藤を、ひとつひとつみつめるゆとりのなさも、ただ湧き出る感情に身を委ねることも、そのときは楽しんでいました。
そして、経験や年齢を重ねるごとに「欲」も落ち着いてきたような気がします。でも、体力がなくなってきたこともひとつの要因ですね。
勢いのなくなったいまの自分が「ちょうどいい」と心地よさを感じています。
客観視することは、以前の自分を思い返すきっかけになるまた、「欲」を出さず穏やかにことの流れをみつめていると、色々なことがおもしろく見えてくるから不思議。
「なんでこの人はこんなに怒っているんだろう」
「そうかぁ。このこだわりが要因なのね」
「そうやって何かに夢中になれることも、しあわせなことなのかもしれない」
「でも、疲れないかしら...」
なんて、冷静に人間観察してしまうことも。
でもそうやって客観視することは、以前の自分を思い返すきっかけになります。
「私もそういうことあったあった」とか、女性的な「白黒はっきりさせたい」気持ちや、正義感の強さから他人の行動や言動に対して「それは違うよ!」と軌道修正するように働きかけるとか。
これって、どれも自己満足の"欲深い"お節介なんですよね。
感情的になっても仕方のないという結末を何度も経験しました。
結局、人を変えるのではなく、自分の物事の見方や価値観、客観性を身につけることで、一緒にいるべき相手やご縁がある人とは必然的にともに成長し、変化していけることも学びました。
それから、引き際を覚え、必要以上に干渉しない、見守ることの愛情を身につけ、自分にとって心が安定する本来のあり方を受容できるようになったのかな、とも思っています。
「欲」はもつけど、多すぎないようにパートナーとの関係もそう。
若いころのように無理に会おうとしなくなりました。それぞれ生きる世界があって、その世界を尊重しあってこそ気付ける相手の魅力。
「会いたいな」と素直な気持ちも伝えますが、ぐいぐい相手の気持ちに入り込むことはしません。だって、信頼関係があれば、会えるときは必ず会えるから。
「欲」はもつけど、多すぎないように。人生にエッセンスを与えてくれるちょっとの「欲」を大切にしていくこと。
それが自分らしくいられるひとつの秘訣だと感じています。
写真/出川光
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