そしてその翌日、キャリーの母で女優のデビー・レイノルズもあとを追うように亡くなりました。
「レイア姫」は、力強いお姫様「レイア姫」として一般的なお姫様ではない力強い女性像を描き出したキャリー・フィッシャー。
その生きかたもまさに型破りで波乱万丈でした。
映画『雨に唄えば』の女優デビー・レイノルズと歌手のエディー・フィッシャーの間に生まれ、15歳でブロードウェイに、18歳で映画界にデビュー。19歳でスター・ウォーズ第1作目の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』に登場し、母と同じスターの道を歩むことになりました。
ただ、華々しいキャリアの裏側では、双極性障害や薬物依存に悩んでもいました。それでも弟のトッド・フィッシャーによれば、キャリーはどんなときも「しっかりとして聡明で、ひょうきん」だったそう。
薬物依存から回復しようとする日々は自伝的小説『Postcards from the Edge』でオープンに描かれ、映画化もされています(邦題は『ハリウッドにくちづけ』)。この作品では母デビーとの確執と和解も語られましたが、その内容通り、後年のふたりは隣同士に住むほど近しい関係となっなりました。
トッドは母の死について、「これが母の運命だった」「母はキャリーから離れることも、キャリーを一人にすることもしたくなかったんだ」と語っています。
プライベートでもフェミニストキャリーはハリウッド社会での人生経験と人間観察から、ウィットの効いた名言の数々を残しています。「The Cut」にまとめられた名言からいくつか抜粋して、彼女の生き様を振り返ってみます。
キャリーにとってレイア姫は自分の分身のような存在だけに、そのあり方について複雑な思いがあったよう。
TV番組『The Late Show with Stephen Colbert』に出演した際、レイア姫がフォース(スター・ウォーズの中で、特別な者だけが使えるエネルギー)を持っていながらも、他の騎士のようにライトセーバーは使っていないのはなぜか聞かれて、こう言っています。
それは女性にとって悪いことよね。宇宙にだって、ダブルスタンダードがあるってことよ。
またレイア姫といえば白いローブが思い浮かびますが、シリーズ3作目の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』では敵に囚われ、それまでとは打って変わって露出度の高い金属製のビキニを着せられます。これについて『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」でヒロインを演じたデイジー・リドリーとの対談では、こんな風に語っています。
キャリー:自分の衣装のためには戦わないといけないの。私みたいな奴隷になってはだめ。
デイジー:わかったわ、戦うわ。
キャリー:あの奴隷の衣装に逆らって、戦い続けるのよ。
こうした発言からもわかるように、彼女はフェミニストとして強い意見を持っていました。結婚後1年で離婚したシンガーソングライターのポール・サイモンとの関係については、こんな言葉を残しています。
「自信がつくまで待つ必要はないの」私は女性が求められているほど協力的じゃないのよ。思うに、男って誰でも、少なくとも私が見つけた男たちには、同等の配偶者なんてものはなかったわ。
男はみんな王様、それが私の発見ね。本当に、男のファンタジーって、知的なゲイシャを自分のものにすることなんだと思ったわ。だから私は料理を勉強してマッサージの講座に通ったの。でもそれが全部じゃなかった。従わなきゃいけないのよ。
そして、自身が双極性障害を持ち、薬物に依存した時期もあっただけに、心の弱さを抱える人を助けるための活動にも精力的に取り組んでいました。
精神疾患の治療施設で講演したときは、心の問題を理由に夢を追うことを躊躇する人をこう励ましています。
怖がっていてもいいの、でもとにかくやってしまうことね。大事なのは行動よ。自信がつくまで待つ必要はないの。やってみて、自信はあとからついてくるのよ。
キャリーもその母のデビーも、若くしてデビューしてから最後までそのキャリアを広げ、深め続けてきました。その背景には、こんな覚悟があったようです。
人生には「私はもう成功したわ。昼寝くらいしてもいいでしょ」なんて言えるポイントはないのよ。
その言葉通り、最後まで走り続けたキャリー、そして母のデビー。心からご冥福をお祈りします。
[The Cut, Psychology Today, ABC News, The Late Show with Stephen Colbert]
写真/gettyimages
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