女流落語家・立川こはるさんへのインタビューを通して、いまブームと言われる落語の魅力を紹介する連載。今回はファッションのお話です。
表立って見えないお洒落があってもいい着物に挑戦したい気持ちはある。でも、何を参考にすればいいのかわからない。そうそうきっかけもないし、着付けって難しそう...。
そう感じるなら、ぜひ落語を聴きにいってみてください。
着物姿のお客さんも多いし、落語家さんの着物姿は、サマになっていて魅力的。なによりも、粋な着こなしが見られます。切っても切れないのが着物と落語の関係。
「江戸時代には、『みんな派手すぎるから、服装を地味にしなさい!』と、お上(幕府)に言われていた時代があったそうです。それをきっかけに、江戸っ子は羽織の裏地や足袋のような目立たないところに、すごく派手な裏地を使うようになったんです」
そう語ってくれたのは、女流落語家の立川こはるさん。
着物を脱いだときに初めてわかるというのが、なんとも粋です。そんなこはるさんも、お洒落な着物の着こなしを目撃したことがあるそうで。
「その方はおじさまだったのですが、風が吹いたときにちらっと長襦袢が見えて。とても色鮮やかで、これにはびっくりしましたね。そういうのって、きっと値段もすごく高いですから」
流行りのコートやブランドのバッグ。もちろん欲しくて買ったものだし、別に自慢したいわけじゃない。そうして気がつけば、わかりやすいアイコンを選んだりしてしまいます。
「自慢したい気持ちはあるけど、あえて長襦袢にこだわる。そういうさりげなさや奥ゆかしさが"粋"っていうことなのかもしれないですね」
表立って見えないお洒落があってもいいのです。江戸時代に花開いた粋や洒落の感覚はそんな気持ちの表れ。
なにごとも無理はせず、自然体で雑誌やネットで情報収集して、「今シーズンはどんなメイクが流行って、合わせる小物はこれ!」 と、いろいろ買ってみる。
でも、そうしてがんばりすぎると、情報ばかりが増えて、お洒落はどんどん遠のいていきます。こはるさん曰く、落語や着物も一緒なんだそう。
「女性が着物にハマると、なぜかどんどん頭でっかちになって、大正レトロとかゴテゴテで派手な装いにしたくなっちゃうんですよね。着物はタオルを入れないとダメなんてことも言われていますが、そんなことありません。着物は、もっと自然体で楽しめばいいんです」
わざわざ着付け教室に通うこともないし、気軽に着てみればいい。着ていくところがないなら、それこそ落語会をその理由にしてしまえばいいのです。
落語だって一緒。何も知らなくてもいいので、とりあえず聴きにいってみてください。きっと、自分なりの楽しみ方が見つかるはずです。
開催日時:2017年01月25日(水)19:00開演
場所:横浜にぎわい座・のげシャーレ
木戸銭:1,500円
写真/出川光 取材・文/D.O.B
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