深刻な顔で作品の前に立ってみても、どこをどう見て、どう感じればよいのか戸惑うばかり。
結局よくわからないで(もしくはわかったフリをして)ミュージアムを後にすることも...。
でも、こんなアートなら楽しいそんな固定概念をくつがえす「Take me(I'm Yours)」と題した斬新な展示がニューヨークの「Jewish Museum(ジューイッシュ・ミュージアム)」で開催中です。
展示の入り口にはビニール袋が用意されており、気に入った作品はそれに入れて「お持ち帰り」という参加型。
様々なジャンルの新旧42名ものアーティストが、インスタレーション、デジタルメディアなどの方法で作品を提示し、それに私たちのリアクションを加えてアートが成り立っていくというシステムです。
作品に触れ、一部をピックアップし、家に持って帰ってシェアするという行為までを含めアート、というコンセプト。
一見、不可解な言葉たち。
私は「EVERYWHERE there are hornets(スズメ蜂がそこら中にいる)」と書かれたカードを持ち帰りました。
冷蔵庫に貼って、ふとした時間にその言葉の背後に隠された意味を想像しています。
ピンバッチ、古着のジーンズ(持ち帰り可能)やタトゥーを題材にしたファッションっぽいアート。
フォーチュンクッキーや、キャンディ、スパークリングウォーターなどの、食べ物を題材にしたものも。もちろん飲食可能。
ジューイッシュ・ミュージアムだけあって、すべてユダヤ教の規定に沿った「Kosher(コーシャ)」フード、というこだわりにも感心してしまいます。
新旧幅広いアーティストが参加していますが、大御所オノ・ヨーコさんのガチャガチャアートも発見。
25セントを入れると出てくる空のケースには、見えない何が詰められているのか、想像が膨らみます。
ヨーコさんのリクエストにより、収益はジューイッシュ・ミュージアムに寄付されるとのこと。
先入観をもたないと楽しくなる!これまでは、すでに完成された作品からアーティストのメッセージを受け止めようと、頭でっかちになっていたかもしれません。
でも、こんな風に参加するアートなら先入観なく、まっさらな気持ちになれて楽しい!
頭で考えるだけではなく体験する、というのが、いままでアートに抱いていた感覚をくつがえす、まったく違う体験をさせてくれます。
未来に向けて、すごいスピードで日々変幻するアート。
まだまだ実験的ではありますが、SNSでなんでもシェアする時代にこんなアートのあり方も新鮮です。
開催期間:2017年2月5日(日)まで開催中
開催場所:Jewish Museum(1109 5th Ave at 92nd St New York, NY 10128)
開館時間:11:00〜17:45(水曜日定休)
土曜日入場料無料
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