前回は、初めてアメリカで引き受けた仕事の話をしました。
学校のカリキュラムが終了したあと、ビザの関係上、カナダのバンクーバーに帰らなければいけなくなってしまった私。
今回は、カナダに帰国後、デザイナーとして、あるときはフリーランス、あるときはオフィス勤務をしながら体験したおもしろい話を紹介します。
圧倒的な自然とやさしさに包まれたカナダオフィスにあるテーブルと癒される雑貨たち。
カナダに住む人々はアメリカ人のマイルド版と言われるほど気さくで大らか。生活の大部分はアメリカとそれほど大きくは変わりません。
トロントやバンクーバーには、毎年多くの外国人留学生がやってきます。移民に寛大な国だけあって、アメリカにいるときよりも過ごしやすいように感じるのはたしか。
アメリカのシリコンバレーで厳しい競争社会を経験した私にとってバンクーバーは、ミスをしてもやさしく包み込んでくれる、本当に温かく心地の良い場所でした。
職場に飛び交う多言語私が働いたふたつのスタートアップには、決まってインド人と中国人がいました。英語に加えて、それらの外国語が飛び交うので、そのカオスな環境が、いつもおもしろくてたまりませんでした。
シリコンバレーには、インド人や中国人の優秀なエンジニアが多くやってくることは有名な話。
でも、バンクーバーの職場環境もそれに負けていません。むしろ、それ以上。ロシア系やウクライナ系、アルゼンチン系、ブラジル系など世界各国から人が集まってきているのです。なので、職場で飛び交う言葉や会話のネタが本当にカオス。
育った環境が違うということは、自分が幼い頃に見ていたテレビドラマや憧れる芸能タレントも当然違います。ときにユーモアセンスが合わないということも発生したり...。それでもとにかく楽しそうに笑い合っている彼らを見ているのは、とてもおもしろい経験でした。
ちなみに、銀行や政府機関などでは、カナダ市民の従業員しか受け入れないというしばりがあるところもあります。私の話は、あくまでIT業界で経験したことなので、あしからず。
違いを受け入れることに慣れているカナダ人異動してきた社員や、出会ったばかりの部署の人たちとの会話のなかに、すぐに共通点を見出すことは簡単ではありません。
でも、受け入れる側のカナダの人は、そういった人の入れ替わりの多い環境への対応に慣れているので、コミュニケーションがとても上手。
アメリカの人は、「大声で自分の主張をすることで、初めて会う相手に受け入れてもらう」というイメージですが、カナダの人は初めて会う人に対して主張こそするものの、「違いがあることを互いに認識し合い、受容し合う」という表現が近いです。
私は、これほど適応能力が高く寛大なカナダの人であれば、ニューヨークやワシントン、シリコンバレーのような経済都市がカナダにもっとたくさんあってもいいのではないか、とすら思います。
あくまでも自分のペースは崩さない、そして精神的な豊かさにあふれているカナダに、気づけばすっかり魅了されていました。
仕事中でもおもしろい動画でもり上がるカナダのIT業界は、朝が早いです。
朝8時から会社が始まることはめずらしくなく、夕方5時にはオフィスを出てしまいます。おどろいたのが、12時のランチタイムにはジムに出かけ、1時間運動をしてきてから、オフィスのデスクで仕事をしながら遅めのランチを食べる人がいたこと。自由!
そして、コミュニケーションツールである「Slack」には四六時中、ネットで流行っているGIF画像やYouTubeのリンクが送られてきました。仕事中なのに、とてもリラックスした様子で仕事を楽しんでいました。
あまり多く送られてくるので無視することもあるし、みんな盛り上がっているけれど全然おもしろさがわからない! ということもあったりしましたが(笑)。
金曜の午後3時からオフィスにビールが並ぶ金曜夜に開催されたカナダのIT女子会。
IT系の職場では金曜の午後3時になると、オフィスのテーブルにビールが並びます。
「ええ! 昼間からオフィスでビールなんていいの?!しかも、まだ作業途中なんだけど...」
同僚にそう伝えると、「そんなのあとでいいから、はやくおいで!」と急かされます。職場のみんなに話を聞いてみると「いつもいかにはやく仕事を終わらせて、はやく帰るかを考えている」と話していました。
だから、金曜の午後3時になると、頭のなかはもう週末のスキーやキャンプ、ハイキングのことでいっぱい!
帰る時間がはやいので、仕事をするのもはやいのがカナダ人。もう少しがんばれないこともないけれど、そこはあえてがんばらない彼ら。
そんなカナダのIT系の人たち。大好きです!
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