仕事もプライベートも、少しずつ余裕が出て弾みがついてくるのがアラサー。その両方は思い切り楽しみたいし、一度きりの人生、自分の気持ちにはいつも素直に突き進みたい。
女性のしあわせ先進国、フィンランドにヒントがあった
鮮やかな北欧デザインが心をくすぐるマリメッコやイッタラに、かわいい妖精としても同じみのムーミン。
フィンランドといえば、そんなイメージが強いかもしれませんが、じつはフィンランドは意外にも「女性のしあわせ先進国」。
これからも仕事は続けるし、いずれはその先に結婚や出産などの出来事もあるかもしれない。いまはまだピンとこないけど、女性のさまざまな選択肢、知っておいて損はないはず。
DrREHNフィンランド雇用産業大臣の来日レセプションでは、女性の活躍や雇用に詳しいマルクス・コッコ参事官が、「女性がしあわせでいる秘訣」を教えてくれました。
勇気ある男性、勇気ある女性たちが世の中を変えていった
なぜ、フィンランド女性のライフワークバランスが良好なのでしょうか。同じ女性として、彼女たちの生き方にはたくさんのヒントがありそう。
ーーフィンランド女性が家庭でもキャリアにおいても満足できる人生を送れるその秘訣を教えてください
「まずはじめに、我が国がずっと前からこのような状況ではなかったということをお伝えしておきます。女性の活躍、そして女性の幸福度が高い水準にあるということ、それは長年に渡って起きた変化なのです。たとえば20年前は、働いている女性はいまほど多くなかったですし、男性も家庭に積極的に参入していたかというとそうでもありません」
「家庭か仕事」。まるで二者択一のようにすり込まれてきた女性のしあわせという勝手な価値観。
でも、「このどちらか一方だけ手に入れられたら、私はしあわせ」と、心から言える女性はどのくらいいるでしょうか? 本当は、キャリアのしあわせも家庭のしあわせも、どちらも手に入れたい。
ーーどのようなことがきっかけで、現在のような結果に至ったのでしょうか
「確実に言えることは、『勇気ある男性と勇気ある女性』の存在です。まず、男性陣が家族にもっともっと関わりたいという強い想いがありました。仕事と同じくらい高いモチベーションを家庭に対して持っていた。やる気があった。男性がそう思うからこそ、女性も出産後もキャリアを続けられ、仕事での成功を手にするチャンスを得られる。そのような相乗効果が少しずつ積もっていった結果なのです」
ーー小さなきっかけでも、そのような大きな社会改革につながるのですね
「もちろんです。仕事でも家庭でも男女が平等に扱われれば、男女の姿勢や認識も変わってきます。人が変われば法律も追いついてくる。政治家は市民の想いを反映させたいと思いますから」
「自分だけが頑張っても社会は変わらない」そう偏屈にならずに、ひとりひとりが想いを行動に反映していくこと。投げやりにならないで、勇気を持って道を拓いていけば、誰かがきっと見ていてくれる。フィンランドはそうやって少しずつ、変革を起こしていきました。
男性が変わることで、社会も変わる?
楽しいことは何でも溢れている東京。欲しいものは簡単に手に入るし、オシャレだってできる。こんなに恵まれた国なのに、女性のしあわせの選択肢は一向に増えないまま。
ワークライフバランスを保ち、いくつものしあわせを手に入れる女性は、まだまだ限られた「特別な人だけ」なのでしょうか。
ーー現在、そんなフィンランド女性と対極にあるともいわれている日本女性、また私たちがおかれている環境はどのような印象がありますか
「日本の新聞を読んだり、実際に話を聞いたりして得た情報をもとに考えることは、いまの日本は20年前のフィンランドに非常に似ているということです。現在の日本社会の構造は、まだまだ『男女平等』には適していないように感じます。女性をサポートできるような法律がしっかりと整っていない。日本政府ががんばっていることもよく知っていますが、この状況を打破するためには、男性の姿勢を変える必要があると思いますが、それは強制するものではない。自発的に変わらなければ意味がありません」
これらの問題は私たち女性がジタバタしていてもダメ。理解ある男性、社会の協力をなくしては成し遂げられないこと。
ーー私も仕事に家庭に日々追われがちですが、毎日ほんの少しでも自分の自由な時間の捻出をするようにしています。マルクスさんのご家庭では、どうでしょうか
「私も妻と同じくらい、家庭には関わるようにしています。とりわけ、小さい子供には手がかかります。現在妻は子育てに注ぐ時間が一日の大半を占めていますが、私が『もっと育児に関わりたい』と日々思う理由は、子どもが大きくなる成長過程の一瞬一瞬を見逃したくないからです。そうやって男性が家庭のことにもっと大きな価値を感じれば、自ずとそこに時間を割きたいと思うようになるでしょう。そうすることによって、女性にももっと自由な時間が生まれます。現に私たち夫妻がそうであるようにね」
世の中が変わるには非常に長い時間を要します。でも、あきらめないで私たち生活者ができることをする。それが大切のようです。
「もっと素直に、もっと私らしく」日本のアラサー女子にエールを
仕事も頑張りたいし、自分自身の幸せも手に入れたい。欲張りかもしれませんが、少なくとも私はそう思う。同じように思う日本女性も多いのではないでしょうか。
ーー日本の女性はキャリアにプライベート、その狭間に立たされさまざまなな選択をしなくてはならないことが多いのが現状です。ときにその選択はとっても酷だったりもする。そんな私たちに、エールを送るとしたら...
「そうですね。『Take the RISK』そう伝えたい。例えばその両立の難しさから、プライベートの充実よりもキャリアを選択しなくてはいけないとき、そんなシーンもあるかもしれません。また、その逆もあるでしょう。結婚し家族が欲しいと思ったのなら、また子どもを授かりたいと思ったのならば、いったんはキャリアを失う(停職する)ことも重要な選択のひとつです。そういった様々な選択のシーンに立たされたとき、まだ見ぬ先の自分を想像し不安に負けたり、恐れたりすることなく、"リスクをとってほしい"。そう思います。
見逃してしまったら、後戻りはできないこともあるかもしれません。どんな選択をしても、自分が選んだ道なら後悔はないはずです。自分を、そして直感を信じて、自分が正しいと思う道を突き進んでほしい。皆さんにはあえて『リスクを冒せ』と、伝えたいです」
キャリアにプライベート、何かと変化の多いのがアラサー女子。
そのたびに大事な決断を迫られますが、一度きりの人生を後悔しないために、まず最初の一歩踏み出すこと。そう、しあわせは自分でつかみとるもの。
フィンランドという国から「素直に生きる」ということの勇気、そしてその先に広がる希望や可能性を教えてもらったような気がします。
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