「イケメンだけどワープアなんだよね...」
女子会で恋愛・結婚の話をすれば、必ずと言っていいほど出てくる最頻出ワード「年収」。
国税庁の「民間給与実態統計調査」(2014年版)によれば、25~29歳の全国平均年収は344万円(男性378万円、女性297万円)、30~34歳では全国平均446万円(男性392万円、女性301万円)だそうです。東京は他県に比べて賃金が高いため、プラス50~100万はいっているでしょうが、それでもアラサーであれば平均年収は400万円台が妥当なところでしょう。
平均年収をぶっちぎるバリキャリ女たち
ところがバリキャリ友人たちは、だいたいこの平均年収よりもはるかに稼いでいます。経営者、外銀、大手広告代理店、医者、弁護士、芸能人、テレビ局、海外勤務のアラサー女性たちは、とにかくまあ皆よく稼ぎ、よく使う。
Facebookに「大人買いしちゃった☆」とアンティーク時計コレクターの子、40万円のピアスを掲載する子、ワインセラーに高級ワインを備蓄している子、デザイナーズ家具に100万を使った子、容赦なく自分の好きなものに資金をぶちこむ姿は見ていて大変気持ちがいいですが、彼女たちは「欲しいものを買ったよろこび」とともに哀愁をもって、こう言うのです。
「こういうお金の使い方をしてると、マジで男が寄ってこない」
金を稼ぎ使う女に、男は寄ってこない
それはまあそうだと思います。私のハイスペモラハラ父は、自分のお金で服やアクセサリーや靴を買いまくっていた私にこう言い放ちました。
「そういう高いものを買うと男は引くぞ。金がかかる女だと思われる」
「男は競争心が強いから、自分を脅かさない女、競争相手にならない女が好きなんだよ」
死ぬほど余計なお世話です。「男」というでかい主語を使うな。正しく「俺」と言ってくれ。
ですが友人たちの話を聞いていると、父のような考えを持つ男性陣に出会う子たちの多いこと。
「年収を言ったら引かれた」
「彼氏より先に昇進して転職もしたら年収に差がついたら彼が悩み、転職相談に乗ろうとしたら"バカにしてるんだろ!"と逆ギレされた挙句、浮気された」
涙なしでは聞けないような話が出てきます。
統計上、日本では賃金の男女差があり男性はデフォルトで「女性より年収が高い」状態にあるため、この基本条件を覆す女は未知であり、脅威と映るのでしょう。「年収が自分より高い女に奢るのか?それって不公平じゃないか?」という疑問がわくでしょうし、逆ギレして浮気した友人の元彼のように「自分は社会人として彼女より下だ」と比較してしまい、プライドを保てなくなるのかもしれません。
うん、正直マジで面倒くさい。
「自分より年収が高い男がいい」の罠
このような面倒くさい出来事を経て、年収の高い女性陣はこう言い出します。
「自分と同等か、自分より年収の高い男がいい」
もともと「男性は自分より優れていて欲しい」「尊敬できる人じゃないと嫌」というコンサバなタイプだけではなく、「恋人の年収はあまり気にしない。バンドマンじゃなければいい」「奢ってくれなくてもいい。自分の分は自分で払うし」と言っていたリベラルな女子までがこんなことを言い出す背景には、上記のような「年収を知られると男に引かれる」現象への疲れと失望があるように思います。
リベラル派の女たちは、仕事が好きだったり、お金を稼ぐことが好きだったり、やたら金がかかる趣味があるから稼いでいるだけです。キラキラ女子のように「奢ってくれない男なんて壁のシミ☆」とも言わないし、経済的に自立しているため「男に依存してやる!」という重いオーラもありません。
それでも、ただ「女である」というだけで、「自分より下でいて欲しい」「プライドを傷つけないで欲しい」と言われてしまうことがあるのです。それも結構、頻繁に。
だから疲れてしまい「自分と同じレベルならいいかな」と思うようですが、残念ながら彼女たちと同等の年収を稼ぐ未婚ハイスペは、婚活市場では激戦区。そして彼女たちにビビらない年上の男はだいたいが既婚です。
「いっぱいお金を稼いで、生活に余裕を持って、結婚したい」と願っていただけなのに、気が付いたら浮気・不倫・セフレの地獄コースへ。
年収はだいたいの男より高い。でも、結婚したい。
このようにして、年収が高いバリキャリ独身女は、20代の大半を浮気・不倫・セフレのどれかにぶっ込みますが、アラサーになると「こんな非生産的なことをしてる場合じゃない」と目が覚めるようです。ですが目が覚めたところで、彼女たちはもうすっかり疲れ、迷い、参ってしまっています。
仕事が好きで稼ぐのが楽しい男は評価されるのに、女は評価されないの?
「一人で生きていける」って思われない方がいい? 自分の足で立てない方がいい?
結婚したいなら年収が低くて暇な仕事に転職するべき?
年収や仕事を詐称すべき?
仕事にぶっ込んで結婚は諦めるべき?
尼になるべき?
「仕事か結婚か」「自分に嘘をつくか、男に嘘をつくか」。年収が高い男性だったらおよそ思いもつかないような悩みを抱え込んでしまいます。
マジョリティに合わせる必要はない
ですが私は、どちらかを選ぶ必要なんてないと思います。自分にも男性にも嘘をつかず、堂々と仕事に打ち込み、年収を隠さずに(見せびらかす必要はもちろんないけれど)堂々としているべき。
たしかに、こういう姿勢だとパートナー候補の絶対数は減ります。ですがこれは「コンプレックスがあり、相対比較で悩むような、打たれ弱い男はお断りします」フィルタなので、長期的に見ればパートナー候補となる男性の質は上がります。
この選択肢を選ぶ人は少数派ですが、選んだ子たちは時間がかかってもきちんとパートナーを見つけています。自分がマイノリティだからといってマジョリティに合わせようとすると、自分やパートナー候補に嘘をつくことになり、うまくいかないからやめた方がいい。
男女問わず、自分に嘘をつかずに正直に生きている人は格好いいし、私はそういうかっこいい人たちが好きです。彼女たちが昇進するたびに落ち込むのを見るのはつらいので、女子会で「年収が高いことは選択肢が増えること!素晴らしい!」とプロパガンダを打ちまくることが私の役割です。
撮影/出川光
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