グリッティと姉妹サイト・ルーミーでは先日、アメリカ・カリフォルニア州のディズニー・アニメーション・スタジオを訪問し、『ズートピア』の制作に関わった方々を取材してきました。
グリッティでは5回にわたって、スタッフが語る『ズートピア』の世界を紹介します。
第1回目は脚本を手掛けたフィル・ジョンストンさん。『シュガー・ラッシュ』(2013)の脚本を担当した人物で、今作が2作目のディズニー映画だそうです。
あらゆる動物たちが共存する、まるで人間社会の縮図のような大都市ズートピアを舞台に、ウサギの警察官と相棒のキツネが謎の事件の解明に挑む今作。これまでの多くのディズニー作品とは違い、ヒロインのウサギのジュディは、立派な警察官になるという大きな夢を抱いたワーキングウーマンです。
今作が完成するまでに、実に400回(!)も脚本を書き直したというジョンストンさん。ジュディ誕生の背景を聞いてみると、故郷を離れて大都会で奮闘する彼女の上京シーンは、とある女性スタッフの学生時代の経験に基づいているのだと教えてくれました。
「カリフォルニア出身の彼女は、学生時代にロンドンに留学したんだ。小さくてボロボロで、気の滅入るようなアパートに住んでいたそうだよ。そこで彼女は、すごくホームシックになってしまったんだ」
確かに『ズートピア』では、大きな夢を胸に大都会に上京したジュディが仕事でくじけそうになり、ボロアパートで両親とテレビ電話するシーンが。思わず自分の経験と重ね合わせて、ジュディの気持ちが痛いほど分かり、涙があふれてしまいます。
とはいえ、ジュディはずっと落ち込んでいるわけではありません。ジョンストンさんが決めたのは、彼女が強い女性であること。
「世界中がジュディに反対しても、彼女は闘わないといけないんだ。でも、彼女は気高い目標を持ったヒーローで、決して諦めたりしないんだよ」
と彼は語ります。
「僕には6歳の娘がいて、彼女には世界を制して欲しいと思っている(笑)。強くパワフルな女性になってほしいんだ。今を生きる僕らフィルムメーカーには、女性を強いキャラクターとして描く責任があると思うんだよね。プリンセスが塔に閉じ込められているというアイデアは、とても時代遅れだ。往年の作品は素晴らしいけれど、僕らの住む今の世の中とは全然違うよ」
「ジュディというキャラクターを構築する上で、僕の頭には"崇高な職業に就くという高い目標を持った、強いワーキングウーマン"というイメージがあった。たとえ彼女が小さなウサギで、世界中が彼女に反対していてもね。僕にとっては、ジュディは『マッド・マックス 怒りのデスロード』でシャーリーズ・セロンが演じたキャラクターのような存在なんだよ(笑)。強くて闘う女性なんだ!それって、小さな女の子にとってのヒーローだろう?」
とジョンストンさんは加えました。
「現実は違うかもしれないけれど、ジュディの抱く自分のイメージは、強くて賢くてタフな女の子なんだ。それって、世の中のパパ全員が娘に求めることなんじゃないかな。だから、僕らが強い女性を描くことはとても重要なんだよ」
大都会で奮闘する小さなジュディと一緒に、泣いて、笑って、感動できる『ズートピア』。日本では4月23日に全国で公開されます。
『ズートピア』
製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:クラーク・スペンサー
監督:バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』/リッチ・ムーア『シュガー・ラッシュ』
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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2016年4月23日(土)公開
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Phil Johnston photographed by Kaori Kikuchi
取材協力:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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