種子島空港外観
それは「宇宙だより」というお酒(焼酎)。この焼酎、なんと宇宙へ行った麹(宇宙麹)と酵母(宇宙酵母)を用いてつくられているんです。
宇宙に旅立った麹・酵母
2011年5月に打ち上げられたNASAのスペースシャトル「エンデバー」に搭載された麹と酵母は、国際宇宙ステーションで16日間の宇宙滞在を経験し、同年6月に地球に帰還。
その後、鹿児島大学と鹿児島県内の焼酎メーカー12社により共同開発され、「宇宙だより」というネーミングで、各社1商品ずつ、計12の焼酎が2012年に発売されました。
私が購入したお酒(限定ボトル)
私が今回購入したのは、上妻酒造の「宇宙だより 南泉(なんせん)」。パッケージは2012年発売当初のものではなく、今年2月17日に種子島宇宙センターから打上げられたX線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」にちなんだ記念ボトルです。
宇宙に思いをはせつつ飲んでみた
さて、お味のほうは......ほんのりと甘く、口あたりやわらか。なのに、のど越しはスッキリとしていて、あと味はさっぱり。クセがなく、いわゆる「焼酎クサさ」みたいなものは感じません。いやぁ、本当においしいです!
何より、宇宙を旅した麹と酵母から生まれたものが体の中に流れ込んでいくと思うと、それだけでシ・ア・ワ・セ。宇宙と一体になれたような気分にさせてくれます。
実際のところ、宇宙へ行った麹と酵母を用いて仕込んだ焼酎は、通常のものに比べて「香りが高く、華やか」「キレが良い」のだとか。その理由ははっきりとわかってはいませんが、宇宙という無重力(微重力)空間にいたことで、地球では発揮することのない力が引き出され、味に影響を与えたのかもしれませんね。その微妙な味わいこそ、宇宙からの便りというわけです。
2012年に発売された「宇宙だより」12本。メーカーごとにお酒の名前が違います。
飲んでみたいという人は、「宇宙だより」でネット検索を。開発に携わった一部の焼酎メーカーの直販サイトやリカーショップ、アマゾンなど、いろいろヒットします。1本売りはもちろん、コレクターが喜ぶ12本セットなど、お好みで選んでみてください。
今後、宇宙開発が進む中で、「宇宙だより」のような物産はどんどん増えていくことでしょう。身近なものが、宇宙経由の原料でつくられている――そんな社会の実現は、もう夢の話ではないのかもしれません。
[上妻酒造]
photo by Thinkstock/Getty Images