いつものように食事がとれないときも、とろみのある葛湯は、するっと喉を通り抜け、ぽってりお腹にたまります。そのうち手足の先までぽかぽかと温まり、寒気もやわらぎ快方に向かうのです。
京都みやげ。「二條若狭屋」の「不老泉」
京都からやってきた友人からおみやげにもらった「二條若狭屋」の「不老泉」。ここしばらく慌しい日が続き、体は疲れ免疫力が落ちているように感じたので、おやつはこちらで控えめに。うさぎ、松、桜の版画の小箱に、プレーン、抹茶、善哉と、異なる味の葛粉が入っています。葛粉は、葛の高級品として知られる吉野葛。とろみと滋味と上品な香りが、弱った体に染み入ります。
茶碗に葛粉を入れ、沸騰したお湯を注ぐと、粉の中に潜んでいた、千鳥の形のあられと、水玉模様のようなあられの粒がぷかぷかと浮かび、微笑ましい風景に。
小箱の絵は、京都生まれの木版画家・徳力富吉によるもので、中身がなくなると、クリップやら細々としたものを入れて再利用しています。見た目も愛らしいので、私も京都に住んでいたときは、お見舞いの品に利用していました。
京都メイドのおやつといえば、つい先日、私が監修を手がけた『京都おやつ旅』(PHP研究所)という本が発売となりました。まんじゅうからあんぱん、それからコーヒーまで、123点の甘いものと、10軒のカフェを紹介しています。新書サイズでバッグに入れて持ち運びやすいので、春の京都旅のおともにぜひ。
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