ひとつ口にしたところ、じわじわじわと、懐かしさがこみ上げてきました。ん?この素朴な味、覚えがあるぞ......。しばし記憶を探り探り。ぴかんと思い浮かんだのが、子どもの頃、編み物教室帰りの祖母がときどき買ってきてくれた「かにぱん」。祖母行きつけの、近所の小さな商店で販売していたのです。
ひとつめは、そのまま口に。ふたつめは、いちごジャムをつけて。みっつめは、パン焼き網でほのかにさくっと焦げ目をつけて。3たび違った食べ方で、おやつのコースを食べたような満足感。そういえば、つい夕方にかにぱんを頬張って、夜のごはんを食べきれず、母に叱られたことがあったな。コアラパンをきっかけに、切ない記憶を思い出したり。味と記憶は、きらきら輝く銀色の糸で結ばれているのでしょう。
コアラパンを求めたのは「MUJI新宿」
コアラパンを求めたのは、今日3月5日(土)から11日(金)まで、地下1階のMUJI BOOKSコーナーで「甲斐みのり『地元パン手帖』刊行記念展 あの町の地元パン」を開催いただく「MUJI新宿」店。打ち合わせに伺ったときスタッフの方から、「実は無印良品にもパンがあるんですよ」と教えてもらって、持ち帰ってきたのです。
袋の中には、まだいくつかのコアラが。明日の朝はスープに添えていただくことといたしましょう。
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