意識はタイムトラベルするクセを持っている
朝目覚めてから夜に眠るまで、わたしたちの意識はほとんどの時間、未来を向いています。次から次へとやってくる日常のタスクをこなしながら、次はなにをするのかを考えてすこしでも効率よくものごとを進めていくことに一生懸命です。
一方で、何かことがうまく運ばなかったり慣れないことをしなければならない場面では、過去の苦い経験を思い出して、不安になったり自信をなくしたりします。過去の記憶をもとに自分へのダメ出しをしてしまう習慣がある人も、多いのではないかと思います。
こんな風に生活していると、いったいどこに「いまこの瞬間」があるのかがわからなくなってしまうのは当然のこと。わたしたちの意識はいま目の前で起きていることを全身で感じることよりも、過去や未来へ旅することのほうに慣れているようです。
いまこの瞬間にひたる贅沢
いまこの瞬間をたいせつにすることは、この意識のクセをすこしだけ調整してあげることからはじめることができます。例えば、お茶をいれている時間は、お茶をいれることに意識を集中させること。
次にすることを考えたり、悩みや不安について考えるのをいっさいやめて、していることにのみ意識を集中します。こうやっていれたお茶はいつもよりも格別においしいはずです。そして味わうときにも、五感を使って静かにお茶のおいしさを感じます。すると、単にお茶をいただくという行為が、とくべつで贅沢な「いまこの瞬間」に変化します。
いそがしい自分のマインドとはうらはらに、自分のまわりの世界が平和で穏やかであるということに気がついて感謝の気持ちが芽生えるとともに、「すべてが大丈夫だ」と思えたりすることもあります。こうして五感を使って感じた「とくべつな瞬間」は、脳にポジティブなメッセージを送ることにもなり、こころを明るく保つことにもつながっていきます。
いまこの瞬間をたいせつにすることは、自分で意識して「いまにひたる時間」をつくることです。1日にほんのすこしだけでもこの贅沢な時間を持つことで、当たり前の日常をキラキラと輝かせることができそうです。