それは「母子同室」。日本のように、出産後しばらくは赤ちゃんを新生児室で預かり、まずはママの回復を優先させる、といった考え方はないようです。よほど特別な事情がない限り、産後はすぐに母子同室となり、さっそく赤ちゃんのお世話が始まります。
休めない、眠れない、精神崩壊寸前
長期戦の末、真夜中に出産となったわたし。まだまだいろんな痛みが残るなか、疲労困憊の状態でいきなり始まった「母子同室」。
休みたい気持ちでいっぱいだけれど、赤ちゃんにとってそんなことはおかまいなし。ぎゃんぎゃん泣くし、おむつ替えだって授乳だって......。何とかしなきゃと思っても、初めてのことで、右も左もわかりません。けれども、病院側の対応はじつにあっさり。自分から手を挙げて聞かなければ教えてくれないし、産婦ひとりひとりに寄り添ったケアも特にないのです。
入院していたのはこんな2人部屋
意識もうろうとするなか、どうにかこうにか赤ちゃんを寝かせ、自分も横になって目をつぶると、今度は他の赤ちゃんが泣きだし......。そう、ドイツでは2人部屋が基本。隣の赤ちゃんが泣けば、当然そのママが、部屋の電気をつけて、オムツを替えて、授乳して。やっと静かになって電気が消えたと思うと、今度はまた自分の赤ちゃんの番。
「あぁもう、3時間でいいから預かって! 私を寝かせてください!!」
何度も発狂しそうになりながら、気づけば夜明け。結局、一睡もすることなく翌朝を迎えたのを覚えています。
家に帰った方がラク? 即日退院のツワモノも
そんな理由からか、あるいは質素すぎる入院食のせいか、病院にいるよりも、さっさと自宅に帰ってしまったほうがゆっくりできる、と考える人も多いドイツ。入院期間は短く、だいたい自然分娩で2~3日、帝王切開で4日~1週間程度です(体調によっては延長も)。なかには出産後、数時間病院のベッドで休み、その日のうちにサクッと退院してしまう人もめずらしくありません。(わたしには考えられませんが......)
退院してからも眠れぬ日が続くのが新生児育児。せめて病院にいる数日間ぐらいは、ママのからだの回復優先で、赤ちゃんのお世話をサポートしてくれる体制があってもいいのになぁ。入院食同様、これまた日本で出産するママ達を羨ましく思うのでした。