カシミールはまるで楽園のような土地
「手仕事の取材旅行という目的で友人二人を同行し訪れた、インド・カシミール地方は、南アジアのスイスと呼ばれる風光明媚な場所でした。刺繍工房の子息である友人宅にホームステイしながらの旅で、ノスタルジックな街並みやイスラム文化独特の空気感、祈りと共に暮らす人々の純真な姿に魅了されました。
ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれ、まるで楽園のような美しい土地ですが、政情不安と闘争の歴史をもつ不遇の地でもあります。観光にお勧めできる土地とは言えませんが、その魅力はぜひ日本の皆さまにも知っていただきたいなと思っています」と渋谷さん。
旅の写真からも、カシミールという土地の魅力が伝わってきます。
本来のパシュミナを広めたい
そして「nukuiro」には、渋谷さんのこんな思いが込められているそうです。
「以前から興味を持っていたカシミールの手仕事、とくにソズニ刺繍と呼ばれる細密刺繍の作業現場に立ち会い、その崇高な美しさに感動したことがブランドを立ち上げるきっかけです。日本ではカシミールの代表工芸パシュミナ織りの誤った認識が広がっていることもあり、パシュミナ本来の素晴らしさを正しい知識と共に広めたいと感じました。
そして自らもより深く知りたいという思いが強くありました。私のその考えに共感し受け入れてくれた現地家族の協力を得られたことで、日本人の私とカシミール人の仲間との共同ブランドを立ち上げる方向へと繋がっていきました」。
仲間がいたから成し遂げられた
「友人ふたりと共に過ごしたこの濃厚な日々を何かにつなげたいという思いは帰国後すぐに生まれていました。自分ひとりでは叶わなかっただろうnukuiroの立ち上げも、仲間と一緒に旅をしたからこそ成し遂げられた結果だと思います」(渋谷さん)。
そんな「nukuiro」のストールと、カシミールの旅の様子がわかる企画展が、11月11日(水)より、「イトノサキ」にて開催されます。企画展では、渋谷さんとともに旅をしたフォトグラファーの田所瑞穂さんが撮影したカシミールの写真も展示されるそう。
素晴らしい手仕事と雄大な情景を感じに、企画展を訪れたいと思います。
「温い、色」nukuiro 1st exhibition
11月11日(水)~15日(日)11~19時まで(最終日は17時まで)
会場:イトノサキ 東京・南青山
[nukuiro]