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銀行を必要としない、ニューヨークの「スス・システム」とは

2015/10/29 12:30 投稿

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金銭感覚は人によって、また国や文化によってまったく違います。

以前インドの「子供銀行」を紹介しましたが、世界中にはわたしたちの知らなかったお金に対する考え方と深い信頼関係が存在することに気づきます。

移民女性たちのための銀行「スス」とは?

ニューヨークでベビーシッターとして働く女性たち。その多くは、ジャマイカなどから来たカリビアンの移民たちです。なかには違法滞在の人もいますが、彼女たちは銀行口座を持つことができません。

そのため、急な葬儀や、結婚式、子どもの入学資金など、大金を用意しなければならないとき、調達に苦労することがしばしばあるそう。

そんな移民の女性たちだけで結成したのが「スス(susu)・システム」といわれているもの。いわゆるアンダーグラウンド・バンキングのようなもので、New York Timesの記事によると、ヨルバ人の表現「エスス(esusu)」から発祥、「経済的な協力関係」を意味するのだそう。

どんなしくみ?

週末の礼拝日、入口である女性が立って待っています。この人物は、みんなが信頼するバンクマネージャーのような存在。メンバーは彼女にススの「週の貯金料」を100ドル支払います。

たとえば10人いたなら、集金した全額1000ドルのなかからマネージャーは約20ドルを賃金として受け取り、残りはメンバーひとりが受け取れます。そしてその支払日は、毎週違うメンバー一人ひとり、順番にまわってくるというしくみ。

毎週きちんと貯金料金を支払えない場合、支払い日が最後にあとまわしにされます。そういった支払い順もマネージャーに決める権限があります。

1周したら、マネージャーは違うメンバーにチェンジ。現金回収、現金支払い、利子なし。10人全員が一度は980ドルをもらえることになり、またマネージャーとして働くことで収入を得ることもできます。

このように非常にわかりやすいのがススの魅力でもあり、また正規の仕事が見つからないメンバーにとっては、とくにマネージャーとして働くことは誇り。実際ニューヨークだけでも何千ものグループがあるそうです。

「スス」のメリット

知り合いとはいえ大事なお金を託すわけですから、そこに大きな信頼関係が生まれます。そんな信頼関係はやがて、移民としての様々な心の痛みや苦労などもわかち合える、家族のよう。さみしい心のよりどころともなっていて、「家族だから裏切ってはいけない」という感情を伴います。

ときに金銭関係の仲というのは、感情というものは排除され、ないに等しいもの。けれど、互いを結びつけるススの大きな信頼関係は、この感情なくして成り立たないのです。

また比較的若い人には将来に対して備えるという貯蓄の大事さ、きちんと決まった日を守って月謝を支払うという自己責任をも促すスス・システム。とても興味深いです。

Global City NYC

image via Shutterstock

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