移民問題に揺れるヨーロッパ。人種の違いを超え、みなにとって幸せな社会の在り方、またどのように取り組んでいくべきかを問い、考えさせられる映画が今、話題となっています。

お互いに歩み寄ることを学ぶ

映画のタイトルは『ダンシング・イン・ヤッファ』。そのタイトル通り、地中海に面したイスラエルのテルアビブにあるヤッファ地区を背景にしたストーリーです。今でも、そしてずっと昔から紛争が続くイスラエルとパレスチナ自治。ここでは互いの人間のことをよく知らないまま、周りの大人たちのこころない言葉や学校の教育などから、偏見を植え付けられてしまう子供たちがほとんどです。それはすべて、宗教の違いから。過去どんな世界的争いを見ても必ず宗教が絡んできたように、これはもう解決することが到底難しい、根の深い問題のようです。

未来は子供たちの手のなかに

「すべての人間はみな平等である」こんな当たり前のことを取り戻そう、ダンスによって子供たちの間にある壁を取り除こうと、あるダンス教師が試みをおこないました。その教師とは、4度の社交ダンス世界チャンピオンに輝いたピエール・デュレイン氏。穏やかな物腰のジェントルマンで、チャンピオンとしてふさわしい威厳を携えています。しかしダンスに対する厳しさを時折のぞかせ、それは教える対象が子供であるからといって変わりはなく宗教が違う、といった理屈もへったくれも彼の前では関係ありません。そんな彼の情熱に子供たちは宗教や人種の違いを超え、いつしか「ダンスパートナー」として受け入れていきます。

ユダヤ人の女の子のコメントで

「イスラム教徒とダンスするところを見られたら、わたしお父さんに殺されるわ。だって(触れることも)禁止されていることだから......。」

YouTubeDancing in jaffa trailer』より引用」

ダンスを教える前から問題は山積みですが、まずするべき事は子供たちを取り巻くまわりの人々の頭を「柔らかくすること」。小学校の教師や親たちを説得し、キリスト教徒・モスリム・ユダヤ教徒などの宗教の壁を越え、ダンスという目的に向かって互いに協力しあうことを親も学びます。そして自分たちの子供たちがそうすることを許してゆくのです。世界中で多くのアワードを受賞したこの作品。大人だけでなく、たくさんの子供たちにも観てほしい映画です

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