月は見下ろすものだった
実はかつて、月は見上げるものではなく、見下ろすものでした。平安時代に中国から伝わった名月鑑賞の風習を実践しはじめた平安貴族たちは、池の水面や盃に映った月を見て楽しんだのです。そこには、月さえも見下ろしてしまうほどの位の高さなのだという、貴族たちの自尊の気持ちが込められています。
水面に映る名月を見る
平安貴族のプライドの高さはさておき、水面に映る月を愛でるとは、なんとも優雅ではありませんか。ぴーんとはった水面に映る美しい月。やさしい秋風が水面を撫でて揺らぐ月。夜空の中を移動すると同時に、水面を移動していく月。さまざまな表情をみせる水面の月は、風流を好む平安貴族を大いに楽しませたに違いありません。
というわけで、とっておきの楽しみ方とは「水面に映る名月を見る」です。公園の池や、川、海など、ウォーターフロントでお月見してはいかがでしょう。私の経験からいうと、空高く昇った月を見続けるのって、意外と首や肩が凝るものです。その点、水面に映る月ならば、いくら見ても疲れませんよ。そして何より、水面に映る月って趣きがあって、最高にロマンチックです!
カップに月を閉じ込める
もうひとつ、盃に月を映すという方法もオススメ。盃がなければ、ティーカップやカフェオレボウルなど、口が広い器を用意してください。水でもお酒でも、好きな飲み物をなみなみと注いで月を映すと、器の中の月光がまばゆくて、とってもきれいです。その器を、そっと口元にもっていってゴクリと中身を飲めば、名月のパワーが体のすみずみにまでしみわたるかのよう。月を味方につけたような、うっとりとした気分を味わえます。
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