そんなアンティックバティックの創始者でありデザイナーを務めるガブリエラは、旅好きであり、夢見る情熱的なアーティスト。様々な国を訪れては、 旅先で出会ったたくさんのインスピレーションをスーツケースに詰めてパリのアトリエに帰ってくるそうです。クリエイションと人生にとって欠かせない「旅」について、また、ものづくりへの思いについて伺ってきました。
ーー旅を通して得たいろいろな発見や出会いの中で、アンティックバティックを立ち上げるきっかけになったこと、一番思い出に残ったことは何ですか?
「各国の伝統工芸、とくに刺繍にとても惹かれたの。母から娘へと代々受け継がれる手工芸には、時代や故郷を超えて伝わる基礎技術があって、世界中の伝統工芸を比べてみると、チベット、北米、南米には似たようなモチーフがあるのよ。私の祖母はハンガリー出身なんだけれど、ハンガリーの伝統工芸にもインドの伝統工芸に見られるようなデザインがあるの。おかげで、アジアには常に親近感があったわ。アジアに魅了されたのは、もちろん旅を通してでもあるけれど、それよりも伝統工芸の影響が大きかったと思う。時間をかけながら、手作業でひとつひとつの作品を丁寧につくりあげる姿勢に、とても惹かれたの。今では希少な技術だし、ものづくり本来の姿だと思うわ」
ーー旅はものづくりのインスピレーションの源?
「旅は私の人生に欠かせないことよ。旅に出ることで仕事やパリでの日常のストレスから解放されるし、普段なら会えないような人との出会いや、すばらしい想像へ導かれるいい機会なの。日常の縛りから解放されて、想像力や思考を自由にすることが大事だと思う。それと、昔から色や柄に惹かれていたということもあるわ。インドやメキシコの民族の伝統的なモチーフだったり、その国でしか見られない四季の色だったり......。あらゆるものによって想像力がかき立てられるの」
ーーアンティックバティックのテーマは「旅」。作品を手にした人に、それを感じさせることを意識している?
「作品を手に取って、旅に出たような感覚を体験してほしいと思っているわ。だから旅先での空気感、雰囲気、象徴的なものをコレクションに取り入れるようにしてるの。旅先では美しいと思って買ったものの、いざ帰って改めて見ると『なんでこんなもの買ったんだろう!』なんてことない? そんな旅のアイテムまでもモダンに工夫して、日常でも身に着けられるようにアレンジしているの」
ーーアンティックバティックはファッションブランドだけど、トレンドに左右されないボヘミアンシックの提案は、ライフスタイルにも通じそうですね。
「ボヘミアンシックな母を見ながら育ったから、彼女が常にインスピレーションの源になっているの。そう考えるとトレンドではなく、ライフスタイルを軸としたブランドと言えるわね。アンティックバティックは『生きる芸術』。だから、アパレルに限らずじつはホームウェアも揃えているの。ファッションを超えて、アンティックバティックの世界観を思いきり楽しんでもらえるとうれしいわ」
今月の『マイ リトル ボックス』でもガブリエラがデザインした、エクスクルーシブなコラボバッグが入っているそう。いつものコーディネートに合わせるだけでも、気分はボヘミアンガール。小さすぎず大きすぎず、財布にスマホ、リップ、サングラスを入れるのにちょうどいいサイズは、ちょっとしたお出かけや旅先で使うのに重宝しそうです。