「やちむん」とは沖縄の言葉で焼きもののことで、約330年前に琉球王府が各地に散らばっていた陶工を壺屋に集めたのが壺屋焼の歴史のはじまりなのだそう。緑溢れる裏路地やゴロゴロとした石畳、赤瓦の屋敷など、今でも昔ながらの面影を残す通りは、活気のあるお隣の市場とはうって変わり、のんびりと静かな時間が流れていて、ただ歩いているだけで幸せな気分になります。
今回、娘は初めてやちむんの窯元を訪れて、ロクロの上で魔法のようにかたちを変える粘土に夢中になっていました。匠の技はあまりに見事であっという間に器を作り上げてしまうので簡単そうにみえるくらい。でもその中にどれだけの時間や鍛錬、情熱が宿っていることでしょうか。そんなことを思うと、自分の中にまでエネルギーが湧いてきます。
娘もやはり影響されたらしく、その日以来、大人になったら器を作る人になりたい、と言うようになりました。次に沖縄を訪れる時は、娘と一緒に器作りが出来たらいいなと思っています。
技を受け継ぐ窯元や器の店、骨董屋を覗いたり、裏路地を探索して猫に出会ったり......。のんびり過ごしても小一時間で一周出来てしまう小さな場所ですが、毎回訪れたくなる素敵なところです。