『この世界にようこそ』作:広瀬裕子 絵:アリシア・ベイ=ローレル 出版社:ミルブックス 定価:1100円(税抜)
ページをめくるたびに出合う、シンプルなのに心の奥底にすっと入り込むフレーズと、そのフレーズにフィットしたイラスト。
私たちはなぜ生まれてきたのか、何をすべきなのか、何が大切なのか、そんな漠然とした不安や、巡る想いを感じたとき、ぜひ傍らに置いて、ゆっくりと言葉のひとつひとつを味わいたい。絵本『この世界にようこそ』は、そんな大切な存在になりそうです。
季節がめぐるように、いのちもめぐるいくつもの場面と風景
ながめたり
歩いたり
かけぬけたり
ときに
家族と
友人と
恋人と
ときに
ひとりで
景色が変わっても
いのちは変わらない
季節がめぐるように
人生もめぐる
(『この世界にようこそ』より引用)
この絵本の作者である広瀬裕子さんは、この絵本で「季節がめぐるように、いのちもめぐる」ということを書きたかったのだとおっしゃっています。
私たちは、繰り返される毎日のなかで、どれくらいの時間を、どんなことに、誰と費やしているのでしょう。
めぐる季節のなか、さまざまな、ひとやモノとの出会いや別れがあり、たくさんのできごととともに、喜怒哀楽を感じる。それを大変だと思うのか、楽しいと思うのか。
絵本のなかで、とても印象的なフレーズがあります。
必要なものは
そう多くない
たくさんの荷物をおろし
すがすがしい気持ちで
(『この世界にようこそ』より引用)
いまの時代を象徴するであろう、物質に支配された社会。そんななかで、いかにシンプルに暮らすか。
余計なものを削ぎ落して行くと、軸となる輪郭が表れるように、日々の暮らしにおいても、必要最低限なものだけで過ごしてみると、本当に大切なものが簡単に見つかるのかもしれません。
アリシア・ベイ=ローレル原画展開催「この世界にようこそ」刊行を記念して、アリシアさんの原画展が鎌倉および、都内で開催されます。
広瀬さんの紡ぐ、シンプルで美しい言葉からインスピレーションを受けて描かれた、アリシアさんのやさしく素直な絵の数々。これらの原画に合わせて、1970年に発行されて以来、世界中で愛されている自然生活書『地球の上に生きる』の原画も展示されているそうです。(原画は一部を除き購入可能)
眺めているだけで心が安らぐ、シンプルで優しいアリシアさんの世界観を、この機会に堪能するのも素敵です。
[アリシア・ベイ=ローレル原画展]
・鎌倉「moln」
会期:2015年7月2日(木)~7月19日(日)
営業時間:11時~18時(月・火曜日定休)
会場:「moln」鎌倉市御成町13-32-2F
・等々力「巣巣」
会期:2015年7月24日(金)~8月16日(日)
営業時間:10時半~18時半(月曜日定休)
会場「巣巣」世田谷区等々力8-11-3
※8月1日に広瀬裕子さんとアリシア・ベイ=ローレルさんによるトークセッションを開催。詳細は巣巣のサイトHPにて確認を。
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