先日用事があり、マンハッタンのミートパッキング・ディストリクトに行ってきました。かつては精肉卸売業者の倉庫が並んでいたこの地域でしたが、高架鉄道の廃止と共に衰退していき、今ではおしゃれな店やカフェ、ギャラリーなどがどんどん増えて、注目のスポットになっています。
昨秋、この辺りに新しいグルメマーケットが出来たのを思い出して、ちょっと寄ってみる事にしました。「ガンズボート・マーケット(Gansvoort Market)」は、歴史的保存地区に指定されている通りにあり、築約200年という古い建築をリノベーションして作られています。この辺りは路上がコブル・ストーンという石畳で出来ていて、まるで時代を遡ったような独特な雰囲気があり、なんとなくパリを思い出させるのですが、このような石畳が残っている地域はNYではもう僅かなので、とても貴重な場所です。
ガンズボート・マーケットは、ここから近くにあるチェリシー・マーケットを小規模にしたような感じ。どのお店もこだわりがあって美味しそうです。ブリオッシュとマフィンを掛け合わせたブリフィンというペストリーが置いてあるベーカリーや、新鮮なロブスターのお店、フレンチなクレープにメキシカンタコス、タイ料理、ジェラート、ビーガン向けのカフェなど......とてもバラエティー豊かで選ぶのに迷ってしまいます。
ちょうど夕方だったので、私はギリシャ風ヨーグルトの専門店にしてみました。NYのスーパーに行くとヨーグルトの種類がとても多いので、ヨーグルト好きな人がずいぶん多いんだなぁと思っていましたが、実は昨年のNY州の議会で「ヨーグルトをNY州の公式スナックにする」という法案が可決されたそうなのです。議員さん達ってけっこう暇そう?......と笑ってしまいますが、そのおかげか、NYのヨーグルトは日本のものより進化していて凄く美味しいのも確か。このお店のヨーグルトも出来立てでとてもクリーミーで、ブルーベリーとハチミツのトッピングがピッタリ。とても美味しかったです。
オーガニックカフェでは、ちょうど気になっていたTigerNutという材料で出来たミルクを見つけました。タイガーナッツは、地中海沿岸地域や西アフリカなどで4000年以上前から食用されている植物の地下茎で、スペインでは国民的栄養ドリンクとして昔から親しまれているのだそうです。
繊維質、必須ビタミンとミネラルなどが豊富に含まれていて、生活習慣病の予防や改善、視力の回復、アレルギー改善、精神を安定させる効果やダイエットに役立つ食材と言われて、最近NYで話題になっている食材です。テイスティングをさせて貰ったところ、絞ったばかりのアーモンド・ミルクに似た優しい味でとても美味しかったので、翌朝用に買ってみました。来年あたり、本格的に人気になって普通のスーパーマーケットにも並ぶかもしれません。
マーケットには天窓が付いたフリースペースがあって、そこでテイクアウトしたお茶や料理を食べられるようになっています。そこも、レンガの壁や自然光、植物などがとても穏やかな雰囲気を作っていて、心地よい空間になっていました。
すっかり寛いで外に出ると、同じ道沿いの隣りの角に移転したばかりの新しいホイットニー美術館が、夕日に美しく照らされていました。その建物は、ハイラインという昔の高架鉄道の跡を利用して作られた遊歩道とちょうど重なるように出来ているのですが、古い街並みと近代建築、そしてハイラインの緑の豊かさが良い感じで混ざり合っていて、良い雰囲気。夕日が反射するハドゾン川を見ながら、のんびりする人達......。これから益々面白くなりそうな、素敵な場所です。
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