1936年に撮影されたものの、映画完成前に大戦が勃発し、ドイツ軍によりプリントは破棄。その後、オリジナルネガが救出されていたことがわかり、戦後、1946年にパリで公開されたというもの。そして、2013年にデジタルリマスター版が完成し、ついに日本での公開されることになりました。
監督は、画家ルノワールの息子、ジャン・ルノワール監督は、ジャン・ルノワール。印象派の画家、ルノワールの息子だそうです。ヌーヴェルヴァーグの監督たちから「映画の父」と慕われたルノワール監督。この作品でも、ルキーノ・ヴィスコンティ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、といった後の巨匠たちが助監督として参加しています。
主演女優は、シルヴィア・バタイユ。フランスの哲学者、ジョルジュ・バタイユの夫人で、この映画の撮影には、ジョルジュ・バタイユも参加しているのだそうです。
彼女はのちにバタイユと離婚後、精神分析家のジャック・ラカンの夫人になったそうですが、さらにこの映画の配給担当のかたに聞いたところ、映画の撮影中は、プロデューサーのピエール・ブロンベルジェの熱愛も受けていたのだとか! なんとも知的で恋多い女性のようですが、それも納得。有名なブランコをこぐシーンをはじめ、スクリーンに映る彼女はどこまでも可憐で魅力的です。
映画の内容は、パリに住むある一家が、郊外でピクニックをする、というストーリーで、結婚を控えた娘の、恋の駆け引きがテーマになります。ストーリー自体はかなりシンプル。いつの世も、男女の駆け引きってこんな感じ、ということに逆に新鮮さを覚えました。
巨匠や哲学者たちが若いころにかかわった作品、というだけでも貴重なものですが、戦争をくぐりぬけて、いまあらためて日本で公開されることになった、という流れがとても幸福なことに思えます。
[ピクニック]
監督・脚本・台詞:ジャン・ルノワール
原作:ギィ・ド・モーパッサン「野あそび」
出演:シルヴィア・バタイユ
配給:クレストインターナショナル
6月13日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー