こちらが一生懸命に話したつもりでも、内容がまったく伝わっていなかった、ということはありませんか? しかも、同じような内容をほかの人が話すと、なぜかみんなが理解した、といったこともあるかもしれません。実は問題は、話の内容よりも伝え方にありそうです。

そう気づかされたのは、『禅が教えてくれる美しい時間を作る「所作」の智慧』(枡野俊明著/幻冬舎)のなかのある言葉に出会ったからです。

たたみかけると、言葉は上滑りに

言いたいことが頭のなかにたくさんあると、つい「あれもこれも言わなくては」と気が急いてしまいます。そんなときは、つい早口になり、「たたみかけるように」話してしまうのではないでしょうか。

「たたみかけるように」という表現があります。速射砲のほうに言葉を繰り出して、相手を説得してしまう、といった意味あいで使われますが、ほんとうのところはどうなのでしょう。むしろ、言葉が上滑りしてしまうことのほうが多いのではないでしょうか。

(『禅が教えてくれる美しい時間を作る「所作」の智慧』p177より引用)

気持ちがせいていたり、心がざわめいているときこそ、所作をゆっくりするべき、と言っています。

不思議なことに、その所作に引っ張られるように、気持ちが落ち着いてくる。心が平静に戻っていくのです。

(『禅が教えてくれる美しい時間を作る「所作」の智慧』p176より引用)

「間」を取ると、相手は聞く態勢に

そして、話をするときは「間」をとるのが効果的だと言います。

ふっと間をとる。すると、相手はこちらの言葉を待つ姿勢になります。聞く態勢を整えるといってもいいでしょう。そこで発せられる言葉が説得力を持つことは言うまでもありませんね。「間」が相手をこちらのペースに引き込むのです。

(『禅が教えてくれる美しい時間を作る「所作」の智慧』p177より引用)

相手の心が聞く態勢になっていれば、自然と話は伝わる。大切なのは、話を聞く側のコンディションをこちらが整えてあげることなのかもしれません。

仕事でのプレゼンテーションの場や、家族に大切な話を伝えたいとき、心に留めておきたいと思います。

[禅が教えてくれる美しい時間を作る「所作」の智慧]

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