バス通りに面した窓の前。大きなテーブルには、「higurashi」さんが買い付けた雑貨たちが。
そのうちのひとつが、西荻窪の「FALL」。国内外の雑貨、古道具、作家ものの器、独特の旋律を奏でるCDや、手をかけつくられた本。なんだかちょっと、風変わりなものが見つかる、ギャラリーショップ。オーナーの三品輝起さんは、町の景色や物音、一日のひとときを切り取りまるめて曲にしてしまう、音楽家でもあります。
店主の書斎のようなレジスペース。
器や絵やアクセサリーなど、週がわりで展覧会が催され、足を運ぶごとあらたな景色が見られるのも妙味のうち。肩に力が入るギャラリーとは違い「使うためのもの」や「暮らしになじむもの」とともに作品が並び、あんなふうこんなふうと、持ち帰ってからのイメージがむくむくわきあがってきます。店主のおしつけるような蘊蓄(うんちく)や見立てはなく、知りたいことを知りたい分だけ教えてくれたり、店内で小さな冒険を楽しむ間、距離感を保ち放っておいてくれるのも、個人的に慕わしさを感じる理由です。
しゃがんだり背伸びしたり。FALLで品々を見るときは、伸び縮みが必要です。
そんなFALLが4月の末に、これまでの店舗かそう遠くない場所へ引っ越しをしました。西荻窪のバス通りにある、元は美容室だった建物。年月を重ねてこっくり存在感のある木の壁や、大きな鏡はそのままに、床をはりかえ家具を運び入れて、すっかりもう何十年もそこにあったような貫禄をたたえた空間に。
個人店の多い西荻窪。散歩やスーパーでの買いもの途中に、ふらりと立ち寄る人もたくさん。
新開店したばかりの店へさっそくでかけて、店主と他愛ない会話を交わしたり、宝さがしをするようにしゃがんだり背伸びしたりしながら、店の隅々まで品物を見て回りました。
上段を占めるイギリスのロイヤルファミリー。中段右側のティー・コージー。下段のクマのぬいぐるみ。全て、異なるイギリスのおばあちゃんの手づくりなのだそう。
FALLから我が家にやってきたぬいぐるみと、愛猫。
その日は、海外のものを中心に珍しい雑貨を扱う「higurashi」さんの品々で満ち、私はその中からひとつ、イギリスのおばあちゃんが手づくりしたというクマのぬいぐるみを選びました。我が家に持ち帰ったぬいぐるみは、もうすっかり昔からの友だちのように、一日中愛猫と寄り添っています。