先日、NYのロウアー・イーストサイドにある「The Stone」で行われた大友良英さんのライブに参加しました。
The StoneはNYの前衛音楽界の重鎮ジョン・ゾーンが運営するライブ・スペースで、彼が指名したミュージシャンが毎晩2セットを6日間、合計12のライブを自分でオーガナイズして行う、というちょっと変わった仕組みになっています。
スタッフは皆ボランティアで、しかも、その晩の入場料は全てミュージシャンにチャージ・バックされると、聞いて驚きました。The Stoneはジョンが私財を投じて運営しているのだそうです。
だからでしょうか、そのスペースはチケット・ブースもないし、飲み物の販売もなく、特別音響設備が整っていたりするわけでもないのに、お客さんもアーティストもスタッフも、皆同じ気持ちで音楽に向かっているような感じの雰囲気が凄く伝わる、素晴らしい場所でした。壁には今まで演奏したアーティストのポートレートがずらりと飾られ、それも良い表情のものばかりです。
そんな場所で大友さんとSachikoMさんと演奏出来て、本当に素晴らしい時間でした。実は、NYに引っ越してからレコーディングや執筆、撮影などはしていましたが、ライブは3年振りだったので、 ちょっとドキドキだったのですが、演奏を始めた途端、ついこの間までずっと大友さんと一緒に演奏していたような気持ちになって不思議でした。
大友さんのギターはいつも私に何か特別なことを教えてくれるような気がします。大大大好きなSachikoMさんのサインウェーブもやはり本当に良かった! サインウェーブという楽器はとてもデリケートな音で、でも耳だけでなくて身体に直接、音が染み込んでいくような強さも同時にあるなぁと思います。大友さんのギターの弦の振動と、サインウェーブ、そして私の声が上手く重なると良い化学反応が起きるような感じがします。
昔デビューした頃は、大好きなレコーディングや写真撮影など制作ばかりしていて、大勢の人前に立つのが恥ずかしくてライブをするのが苦手だったというのに、いつの間にか、こんなにライブでの演奏を楽しんで幸せな気持ちになるとは、自分自身、ほんとうに感慨深い気持ちでした。大友さん、本当にどうもありがとうございました!