甲斐みのり・文、福田利之・絵『ふたり』(ミルブックス)の表紙。
大きな窓から差し込む光の粒や、すぐ目の前にある公園の緑の景色と一体となり、それぞれの絵がのびのび気持ちよさそうに、深く呼吸をしていました。『ふたり』原画展は、広島・静岡にも巡回するので、お近くにお住まいの方には、ぜひご覧いただければ幸いです。
会期中、ギャラリーに通う中、胸を打たれたことのひとつが、お昼ごはんのまかない弁当。ギャラリーfèveのオーナーで、パン屋「ダンディゾン」の経営もおこなう引田かおりさんが「お母さんのようなお弁当をつくってくれる人」を探し、配達してもらっているのだそう。通称「fève弁」と呼ばれ、きびきび働くスタッフや、一週間の展覧会をなし遂げる作家の心身を支えています。
「たまちゃん」こと、たくまたまえさんのお弁当。
ひとつずつ、弁当箱の形も、弁当包みも違う、たまちゃんのお弁当。
「たまちゃん」こと、たくまたまえさん。「ちえちゃん」こと、中山智恵さん。「かえるちゃん」こと、松本朱希子さん。fèveにお弁当を届けるみんな、料理本やお弁当本も出している、人気の料理家さんたちです。
私がいただいた「たまちゃんのお弁当」。きゅっと力強く結ばれたお弁当包みを開くと、中には木のお弁当箱が。からあげ、ふきのとう、たまごやき......それから、ごまのかかった梅干しごはん。まさに滋味に富んだ母の味を思い出し、おかずやごはんとともにしみじみと、「おいしい」という言葉もかみしめました。
帰ってから私がしたことといえば、台所の奥にしまいこんでいた弁当箱をひっぱり出すこと。原画展に足を運んでくれた友人と、次の休みに桜の時期を過ぎた公園で、花見ならぬ「新緑見」をしようと約束したので。fève弁のようにはいかないけれど、不器用ながらもお弁当づくり、してみたくなって。
今年に入って眠ったままだったお弁当箱。
木製漆器の曲げわっぱ3種。
左は、ギャラリーfèveのオーナー・引田かおりさんの著書『私がずっと好きなもの』(マイナビ)。右は、私がよく活用しているお弁当本。木村緑さん『ロカの弁当』(京阪神エルマガジン社)。