そんななか、クライストチャーチの若者数名が中心になり立ち上げた「Whole House Reuse(ホールハウスリユース)」プロジェクト。1軒の小さな家(1925年建造)をていねいに手作業で解体し、そこに使われたたくさんのNZ原産の木材(すでに現在では入手不可能なものも)と、そこに住んだ人たちの何にも代えがたいくらしを再評価し、とりだした建材をリユースするプロジェクトです。
解体はプロ・アマチュアをとわずたくさんのボランティアが参加して数日かけておこなわれ、建材、ドアやステンドグラスの窓などがすべてカタログ化されたあと、収納されました。
現在までに本棚の作り方や彫刻のワークショップ、デザインコンテスト、子ども向けにあやつり人形製作のワークショップなどがおこなわれています。メディアでも取り上げられ、ニュージーランド全国で報告会や講演もおこなわれています。今年は美術館での作品の展示などが予定されています。
愛と敬意をこめて、新しい形に生まれ変わらせるとりこわされる家のひとつひとつに、それぞれの人間の暮らしがあったことを、愛と敬意をこめて思い起こし、また建材をゴミ埋立地に放りこむのではなく、新しい姿に生まれ変わらせて、これからまた愛と敬意をこめて使っていくという、過去と未来の両方向に視点をのばすこのプロジェクトは、国際的にも注目を集めています。
被害のスケールは違えど、おなじ時期に大災害に見舞われた日本とニュージーランド。両国がレスキュー隊を派遣しあって助け合ったことも記憶に残っています。これからの復興の歩みにおいても、お互いから得るインスピレーションは大切にしたいと思います。
解体のようすや、住んでいた家族のインタビューなどの映像はこちらから見ることができます。