私が作っているジュエリーには、この地球の一部を切り取った宝石と、それを研磨する人たちの心が宿っている
(『女(じぶん)を磨く 言葉の宝石 』P100より引用)
そう語るのは、ジュエリーブランドHASUNAの代表取締役、白木夏子さんです。
胸を張り、プライドをもって生きる白木さんは著書『女(じぶん)を磨く 言葉の宝石』のなかで自身の仕事に関してこう書いています。
できる限り、現地に赴き、作っている人の顔を見る。これなしでは良いジュエリーを作っていると胸を張って言えない。胸を張れないものを作るぐらいなら、いっそ作らないほうがましだ。
(『女(じぶん)を磨く 言葉の宝石 』P157より引用)
わざわざ自らの足で現地に素材調達に向かう。素材にたいするその誠実な姿勢があるからこそ、この本に描かれる世界が誠実なのかもしれません。
宝石にまつわる12の物語たとえば拳銃強盗が日常茶飯事というコロンビアで出会った、エメラルド商人が見せた思いがけない優しい行動。たとえば豊かな命の連鎖を肌で感じる、ミクロネシアの小さな島。
かと思えば結婚指輪をつくりにきたショップのお客さんなど。さまざまな場所でさまざまな人たちが暮らしていて、その一辺にふれたときに、言いようのない気持ちが沸きあがるのです。
そうやって白木さんが世界と日本を行ききしながら経験したたいせつなできごとが、誕生石とともに12の物語として紡がれているこの1冊。ジュエリーにたいする情熱的な想いと、紡ぎだす言葉の奥深さも相まって、読み進めると静かな感動に満ちてきます。
仕事に、人生に、「プライドをもって生きるためにはどうすれば?」そう悩んだとき、この本からたくさんのヒントを得られるのではないでしょうか。
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