・三番叟(さんばそう)
・猩々(しょうじょう)など
「観たひとが、豊かな1年を送ることができますように」そんな、これからの1年を言祝(ことほ)ぐ意味がこめられている能を「祝言能(しゅうげんのう)」と言います。
たとえば「三番叟(さんばそう)」。最古の能と言われる「翁」という演目の一部で、「五穀豊穣」の祈りがこめられる特別な舞です。三番叟だけが、ハレの日に演じられることも多く、「喜びあれ、喜びあれ」というセリフに代表されるように、まるで神事のような儀式とも言えるような、ちょっと特別な能です。「実り多き年となりますように」という祈りがこめられます。
もうひとつは「猩々(しょうじょう)」。
こちらは若い少年のような酒好きの妖精が、酒売りの高風という男と知りあい、その酒を讃え、高風という男と知りあえたことを喜び、舞います。赤い髪の猩々の舞は水上を歩むような美しさがあり、一見の価値ありです。
能楽堂やお寺でほかにも狂言の「末広かり」や、能の「菊慈童」なども、それぞれストーリーは違えども、観た人の未来が祝われる祝言能と言えるでしょう。
お能や狂言は、各地の能楽堂や、劇場で観ることができますが、それ以外にも、お寺での「薪能」、「ろうそく能」などもあり、ストーリーのみならず雰囲気もいっしょに楽しむことができます。個人的にいちばん好きなのは、広島の厳島神社の能楽堂。海上の能舞台で、ひじょうに幻想的な空間です!
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photo by Thinkstock/Getty Images