「ある者は明日に、ほかの者は来月に、さらにほかの者は10年先に希望をかけている。誰ひとりとして、今日に生きようとする者がいない」とは、哲学者ルソーの言葉。

今日のことはさておいて、つい未来を覗きたくなるのは、人間の性。初詣ではおみくじをひかないとはじまらないという人は多いのではないでしょうか。

おみくじの起源と作法

・おみくじはお参りを済ませてからひく

・占いたいことをひとつだけ決めてからひく

・結果が不本意だからといって、何度もひきなおさないこと

・おみくじの吉と凶は、運勢そのものではく、願いごとが叶いやすいか否かを表す

・利き手と反対の手で結ぶのがおすすめ

古代人は、占いと生活が密接に係わりあってきました。日本では平安時代後期から鎌倉時代にかけて「くじ」ということばが使いはじめられたようです。「串」状の竹やわらを使ったので、「くじ」と呼ぶという説や、「公事」からとったという説など、語源はさまざま。赤ちゃんの性別を占ったり、百人一首を書いた紙で恋占いをしたりと、庶民の生活にもくじ占いは急速に広まっていき、江戸時代には現在のような木箱にはいったおみくじが登場しました。

おみくじを引く際にまず気をつけたいのが、タイミング。神様からのメッセージを受けとるという意味でもありますから、かならずお参りを済ませてから挑みたいものです。おみくじをひく際は占いたいことをひとつだけ決めておき心に念じます。そして「願いごとが叶いますように」と祈りながらひきましょう。

誤解している方が多いのが、吉か凶かの結果だけで運勢そのものを判断しているのではないということ。これは、最初に願ったことが成就しやすいのか、それともしにくいのかということを表しています。吉が出れば、「願い事がかなう日は近い」、凶は「気をゆるめずに努力を。慢心を戒め、心して臨めば願い事は実現する」といった具合に受けとるようにしましょう。

おみくじのタブー

いくつかタブーとされていることもあります。

身分不相応の願いを立てて占ってはいけない。「くじは取り直さぬもの」というように、凶がでたからといってなん遍も抽き直してはいけない。ただし占いたいことがいくつもある場合、その一つごとにみくじを抽くことはさしつかえない。

(『一番大吉! おみくじのフォークロア』55ページより引用)

おみくじは持ちかえってかまいません。それでも凶が出ると、なんとなくすっきりしないものですよね。そんな時は寺や神社に置いていきましょう。これは凶から吉に転じるようにお願いする意味をもちます。おすすめの結び方は、利き腕と反対の手で結ぶこと。これは困難を克服し、吉に向かうように願う一種の修行的な手法とも言われています。

[一番大吉! おみくじのフォークロア]

photo by Thinkstock/Getty Images

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